夫と付き合って1年ぐらい過ぎた頃、私はカトマンズに1年間ほど滞在したことがある。


カトマンズに滞在中、日本人会カトマンズ補習校というところでアルバイトをする機会を得た。


そこは、日本にルーツのある子どもたちが週末に集まって、日本語や日本文化を学ぶところだった。


補習校にやって来る子どものほとんどは、お母さんが日本人でお父さんがネパール人だった。


ネパールで根をはって、ネパール人の一員として生活しているお母さんたちの井戸端会議に、聞き耳をたてた。


「うちなんてさ〜、私が外人だからケガレてるって料理させてもらえなくって。いつも台所の隅に地べたに座らされて玉ねぎの皮むきよ」


「姑が嘘ばっかりついて、もう気が狂いそうになるわ」


「新しい冷蔵庫買ったらさ、親戚が自分んちに持って行っちゃったのよ。信じられないわ」


人ごととは思えず、心穏やかに聞き流すことができなかった。