昨日、診療が終わってから人形浄瑠璃文楽を観てきました。
四月公演の1番の話題は、豊竹呂太夫さんが十一代目豊竹若太夫を襲名したことでしょう。
リンクの記事にも書いてあるように、豊竹若太夫は文楽における大名跡です。
ただ呂太夫を襲名されたのが70歳だったので、このまま若太夫は名乗られないのかと思っていました。
しかし今回77歳になってからの襲名には、ご本人も期するところがあるに違いありません。
実際今回のプログラムに掲載されているご本人のインタビューでも「自分はまだまだ伸び代がある」と語っておられます。
確かに私は英太夫さんの時代からずっと聞いてきました(文楽鑑賞歴38年)。
そして実は呂太夫襲名披露の舞台も観ていて、その時の「菅原伝授手習鑑」寺子屋の段は今でも覚えています。
その後、特に住太夫さんが鬼籍に入られてからの充実ぶりは際立つものがありました。
やはりご自身が文楽を支えていかなくてはならないとの気持ちがさらに強くなられたのだと思います。
昨日聞いた「和田合戦女舞鶴」市若初陣の段でも、子を思う親の気持ちを熱演されていて観客の涙と拍手を誘う大熱演でした。
そしてその若太夫さんを後押しするかのように、観客席も久しぶりに多くのお客さんで埋まっていました。
今文楽では、三味線の部と人形の部には人間国宝がおられます。
しかし太夫の部にはそれがおられません。
切場語りの錣太夫さん、千歳太夫さん、それに若太夫さんの3人で、太夫の部をさらに盛り上げていただき、人形浄瑠璃文楽がもっともっと数多くの方々に観ていただける伝統芸能になってほしいと切に願います。