年度が変わって、診療所の近くに引っ越して来られる方もたくさんおられます。
その中でエピペンを前医から処方されていて、引き続きこちらでの処方を希望される親御さんも複数人診療所に来られました。
そんな方にエピペンを渡す時、私が必ずしてもらうことがあります。
それはエピペンのパッケージに同梱してあるトレーナーを渡し「はい、これを使って実際と同じようにやってみてください」と言って、目の前でエピペンを使う模擬訓練を見せてもらうのです。
今まで何人もの方にやってもらいましたが、ちゃんとできた人は一人もいませんでした。
聞いてみると、トレーナーを使って練習したのは最初にエピペンを処方された時だけで、それ以降は一度もやっていないとの回答がほとんどでした。
ひどい人は、最初の処方時にすら練習したことがありませんでした。
これではいざという時にエピペンを使うことは絶対にできません。
だって、我が子が全身蕁麻疹が出て顔色が悪くぐったりし出している時に、慌てず的確な処置をするには相当慣れていないと無理だからです。
「3ヶ月に1回程度の頻度で練習しておかないと、緊急時には使えませんよ。前の先生からはそんなことを聞いていませんか」
と尋ねると、これまたほとんどの人が
「初めて聞きました」
とおっしゃいます。
そうなると、医者側の問題になります。
どちらにしても、エピペンの普及率は高まっているのに、これでは宝の持ち腐れです。
エピペンを持っていたら、それだけでアナフィラキシー防げると思っておられるのであれば、それは大きな勘違いです。
「エピペントレーナーでの練習の重要性を皆さんにより一層伝えていかないといけない」と思う昨今です。