この記事についてaiに評価してもらいました
「リーダーに必要なのは根拠のない自信である」
こうした主張を見かけることがある。
確かに、不安そうな上司より、自信に満ちた上司のほうが頼りになりそうに見える。トラブルが起きたときも、「大丈夫だ」と言い切ってくれる人のほうが安心できるように感じる。
しかし、この説明には大きな問題がある。
それは、「自信」「安心感」「信頼」といった言葉を原因として扱っていることである。
実際には、それらは原因ではなく結果だからである。
■ 「自信があるから信頼される」は本当か
記事では、
自信
↓
安心感
↓
信頼
↓
チームが機能する
という流れで説明されている。
しかし現実には、部下は「自信」そのものを評価しているわけではない。
例えば、トラブルが起きたときに上司が、
「大丈夫だ」
と言うだけの場合と、
「まず顧客へ連絡する」
「原因調査は私が見る」
「責任は私が持つ」
と言う場合を考えてみよう。
多くの人が後者に安心感を覚えるはずである。
なぜなら、そこには具体的な対応方針があり、自分がどう動けばよいかが見えるからである。
部下が評価しているのは、自信ではない。
自分が望む状態に近づけそうかどうかなのである。
■ 部下は何を評価しているのか
組織の中で人が上司を評価するとき、その背後には状態実現構造が存在する。
主体 = 部下
成立させたい状態 = 安全に成果を出せる状態
制約 = トラブル、不確実性、情報不足、能力不足
操作 = 上司へ相談する、任せる、指示に従う
部下は、
「この上司を経由すると、自分が成立させたい状態に近づけるか」
を見ている。
つまり評価対象は、
上司が自信を持っているか
ではない。
上司が、自分にとって望ましい未来状態の成立確率を上げてくれるかどうかなのである。
■ 安心感は原因ではなく結果である
記事では、
自信
↓
安心感
という説明になっている。
しかし安心感とは何だろうか。
例えば、
問題が起きても支援してもらえそうだ。
責任を押し付けられなさそうだ。
方針を示してもらえそうだ。
困ったら助けてもらえそうだ。
こうした予測が成立すると、人は安心する。
つまり安心感とは、
自分にとって望ましくない未来状態の発生確率が低い
という予測の結果なのである。
安心感という言葉だけを見ていると見落としやすいが、その背後には複数の成立条件が存在している。
■ リーダーの仕事は安心感を与えることではない
ここで重要なのは、
リーダーの仕事は安心感を作ることではない
ということである。
リーダーの仕事は、
部下が成立させたい状態の実現確率を高めること
である。
例えば、
方針を示す。
優先順位を決める。
役割を整理する。
支援する。
責任を引き受ける。
必要な資源を確保する。
これらはすべて、組織の状態を変えるための操作である。
そして、その結果として、
安心感
信頼
頼りがい
といった状態が成立する。
つまり、安心感や信頼はリーダーが直接作り出しているものではない。
適切な操作の結果として生まれているのである。
■ 「根拠のない自信」という処方箋の危うさ
記事の結論は、
「自信があるように見せればよい」
というものである。
しかし、この考え方には危険がある。
なぜなら、自信があるように見えることと、問題を解決できることは別だからである。
短期的には、
「頼りになりそう」
と思われるかもしれない。
しかし、
大丈夫だと言ったのに解決しない。
責任を取ると言ったのに取らない。
支援すると言ったのに支援しない。
こうしたことが続けば、部下の成立仮説は更新される。
この人を経由しても望ましい状態は成立しない。
そう学習されれば、信頼は失われる。
つまり長期的に評価されるのは、自信の演出ではない。
実際に状態を改善できるかどうかなのである。
■ 本当に必要なのは何か
この記事の問題意識そのものは間違っていない。
リーダーが過度に動揺すると、その不安がチームに広がることは確かである。
しかし、そこから
「根拠のない自信を持て」
という結論を導くのは飛躍がある。
部下が見ているのは、自信ではない。
この上司を経由すると、自分が成立させたい状態に近づけるかどうかである。
そのためリーダーに必要なのは、
自信を演出することではない。
部下が成立させたい状態を理解し、その実現を阻害している制約へ介入することである。
方針を示す。
支援する。
責任を引き受ける。
優先順位を決める。
必要な資源を確保する。
こうした操作の積み重ねの結果として、
「あの人は頼りになる」
「あの人は信頼できる」
「あの人は自信がある」
という評価が後から付与される。
本来、リーダーが目指すべきなのは、自信を持つことではない。
望ましい状態を実現できる組織を作ることなのである。
