この記事についてaiに評価してもらいました
「えこひいきはよくない。」
職場では誰もが納得する考え方である。
そのため、多くの記事では、「公平に接しましょう」「特定の部下だけを優遇しないようにしましょう」と結論づけられる。
しかし、この説明だけでは浅い。
本当に考えるべきなのは、「公平とは何か」ではなく、「なぜ部下は不公平だと感じるのか」である。
■「公平」と「同じ扱い」は違う
よくある対策として、
発言機会を均等にする。
声を掛ける相手をローテーションする。
全員に同じ時間だけ対応する。
などが挙げられる。
しかし、これは「同じ扱い」であって、「公平」とは限らない。
例えば、
新人には教育時間を多く使う。
重要案件を担当している部下とは相談時間が長くなる。
経験豊富な部下には大きな裁量を与える。
このように対応に差があっても、不公平とは限らない。
部下が見ているのは、差があることではない。
その差に納得できる理由があるかどうかなのである。
■部下が評価しているのは「組織の原理」である
記事では、「小さな差が積み重なると不満になる」と説明している。
もちろん、それ自体は間違いではない。
しかし、本当に問題なのは、小さな差そのものではない。
部下は、その差を見て、
「この組織では何を基準に評価されるのか。」
「仕事はどのように任されるのか。」
「支援はどのような基準で受けられるのか。」
という組織の原理を推測しているのである。
例えば、
「努力すれば評価される。」
「成果を出せば重要な仕事を任せてもらえる。」
「相談すれば必要な支援を受けられる。」
このように、人は「ある状態が成立すると、次にどの状態が成立するのか」という予測を頭の中で形成している。
本稿では、この予測を「成立仮説」と呼ぶ。
ところが、
「努力しても評価は上司の好き嫌いで決まる。」
「仕事は能力ではなく気に入られた人へ回る。」
「相談しても対応してもらえない。」
という成立仮説が形成されると、部下は組織全体への見方を変えてしまう。
つまり問題は、差があることではない。
組織の評価や支援が恣意的に決まるという成立仮説が形成されることである。
■本当に変化しているのは行動生成式である
一度その成立仮説が形成されると、部下は組織から公正な評価や必要な支援を期待しなくなる。
人の行動は、
行動 = 機会 × f(想起 × 理解 × 納得 × 実行可能 × 評価期待)
によって決まると考えられる。
想起 = その場面で行動を思い出せるか。
理解 = 何をすればよいか分かるか。
納得 = その行動の意味や価値を受け入れているか。
実行可能 = 実際に実行できる状態か。
評価期待 = 行動した結果として評価や成果が返ると期待できるか。
今回のテーマで特に影響を受けるのは、評価期待である。
「努力しても正当に評価されない。」
「相談しても必要な支援を受けられない。」
と予測するようになると、評価期待が低下する。
その結果、挑戦や提案、報告、協力といった組織へ貢献する行動が減少していく。
モチベーション低下や離職は、その帰結として現れる現象なのである。
■リーダーが操作すべきなのは公平感ではない
では、リーダーは何をすればよいのだろうか。
記事では、「公平感を意識すること」が大切だとしている。
しかし、公平感そのものは操作できない。
リーダーが直接操作できるのは、部下が形成している成立仮説である。
例えば、
「なぜこの仕事を任せたのか。」
「なぜこの判断になったのか。」
「評価基準は何か。」
を説明することで、部下の成立仮説は更新される。
その結果として、
「この組織は公平である。」
という評価が形成されるのである。
つまり、
成立仮説の更新。
↓
公平だという評価。
↓
安心感。
↓
評価期待の向上。
↓
行動の維持。
↓
離職防止。
という構造なのである。
公平感は目的ではなく、適切な組織運営の結果として形成される評価なのである。
■公平とは「同じ扱い」ではなく「納得できる原理」である
えこひいきをなくそうという考え方自体は間違っていない。
しかし、本当に重要なのは、全員を同じように扱うことではない。
部下が、
「この組織では、どのような原理で評価や支援、仕事配分、意思決定が行われているのか。」
を理解し、納得できることである。
リーダーの仕事とは、公平感という感情を直接つくることではない。
判断理由や評価基準を適切に伝え、部下の成立仮説を更新し、評価期待をはじめとする行動生成式の各変数を成立させることである。
その結果として、公平感が形成され、安心して働ける組織が実現するのである。
