『ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2013』 コンサートレポート 後半 | タクトTVのブログ

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今年のラ・フォル・ジュルネのテーマは「パリ、至福の時」。
19世紀後半から現代まで、パリを彩ったフランス、スペインの作曲家たちの色彩あふれ、情熱みなぎる150年間の音楽のパノラマが繰り広げられた。
クラシック音楽でも人気のある名曲が多数ラインアップされたので、「今年は来た」という人もけっこういた。
3日間の音楽祭のトータル来場者数は51万人だそう。
そして毎日演じた朝のパフォーマンス。
ここで再会という方がかなり多かった。
ちゅうことは、ぼくにとってもこの音楽祭は「帰ってきた」場所になっている。
来年のテーマは、噂では「アメリカの音楽」。
また来年のラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2014は10周年を迎えるため、特別企画として過去にお目見えした作曲家10名も再び姿を現すとのこと。
モーツァルト、ベートーヴェン、ブラームス、ショパン、シューベルト、グリーグ、ドヴォルザーク、チャイコフスキー、ラヴェル、ガーシュイン(ナントのテーマが「アメリカの音楽」だから特別参加みたい。なんかプロレスの次期シリーズ告知みたいだね)。
さあみなさん、来年もラ・フォル・ジュルネで会いましょう。
では『ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2013』コンサートレポートの後半を始めます。

5月4日

③公演番号213 14:30~15:15会場ホールA
デュカス:交響詩「魔法使いの弟子」
サン=サーンス:交響曲第3番 ハ短調 op.78 「オルガン付」
アーティスト:読売日本交響楽団、川瀬賢太郎 (指揮)

いま、ほんとうに円熟期を迎えている読響、そのオーケストレーションが華やかに発揮されるこのプログラムは聞き逃す手はないでしょう。
若きマエストロ川瀬さんは1984年生まれ。やりたい音楽、メッセージがはっきり伝わってきて、聞いていておもしろかった。名人オケにお願いするのも大変だったでしょうに。
このホールには自前のオルガンがなかったと思うので、その辺も興味深かった。
細身でひょろっと長い手足がめいいっぱい広げて指揮をするのを見て、こりゃあ、カラヤンー小泉ー川瀬のやじろべえ系図だなと一人でほくそえんでしまった。
「この公演は1日パスポートが有効」って何のことかなと思ったら、ホールAの5公演がセットになったオトク(7,500円)が新登場!
うわっ、こんなのがあったんだ。
他にもセット券とかいろいろバラエティなバリエーション券が今年はあって、どうりでソムリエでいろいろ質問されるわけだ。
音楽祭の営業も販売促進のための企画つくりが大変ね。
タクトTVもパスポート制度を採用しょうかな、ってずっとただやがな。

④公演番号244 16:00~16:45会場ホールC
ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
フランク:交響的変奏曲
ラヴェル:ボレロ
アーティスト:ベルトラン・シャマユ (ピアノ)、フランス国立ロワール管弦楽団、パスカル・ロフェ (指揮)

牧神とボレロが組んだら、チケットが売れへんわけない。
それにしても「ボレロ」、以前は解説にオーケストラの団員の個々の力量が問われる恐怖の音楽なんて言われていたけど、ここぞ出番!とばかりにソロを担当する人は嬉々と演奏し、最後のフィナーレで会場が「ブラボー!」の嵐になるのを見て、なんかラヴェルはクラシック音楽がある限り、ずっと名前が残るなと思ってしまった。
ぼくが25年前になんば花月で演出した「風呂屋のボレロ」も、最後に張り付けておくね。音は片っぽしか入ってないけど。

⑤公演番号266 18:00~18:45会場ホールG409
ジャダン:ピアノ・ソナタ第2番 嬰ヘ短調 op.4
デュポン:「砂丘に建つ家」より第1番「澄みきった朝の砂丘」、第10番「うねり」
ラヴェル:水の戯れ
ドビュッシー:水に映る影(「映像」第1集より)
プーランク:即興曲第15番 ハ短調「エディット・ピアフに捧ぐ」
プーランク:3つの小品 op.48(田園曲、讃歌、トッカータ)
アーティスト:マリー=カトリーヌ・ジロー (ピアノ)

ジローちゃんはルネ・マルタンが今年イチオシのピアニスト。
なので見に行ったら、ジローって言うから男かなと思ったら、かわいらしいおばさんやった。
でもこの女性、凄腕やわ。
フランスの知られざる曲を次から次へと初演し、それもすごく印象的な音を出すもんやから、まさに「隠れた名曲発掘人」だった。
その衝撃、どっかで似た体験をしたなと思ったら、わかった。
ヴォルク・ハン(Volk Han)や!
リングス旗揚げ時に前田日明にスカウトされ、リングス第4回大会の前田戦で日本デビューしたとき、見たことのない技が次から次へと繰り出され、あまりの卓越したサブミッション技術で一躍人気者になった、あのハンの再来や!
ヴォルク・ハン…独特の間合いから一瞬で技に引き込むスピード、技の精度の高さは稀代のテクニシャンとしての名を不動のものにした。ハンのファイトスタイルと洗練された技術は、現在の格闘技界でも度々比較対象に挙がる。「ロシアの狼」「千のサブミッションを持つ男」「魔術師」などの異名で呼ばれた格闘家。ロシア・ダゲスタン共和国出身の元軍人。
でもおもろいのが、このジローおばちゃん、マルタンがジローおばさんを今年のイチオシに挙げていることすら知らず、本人は後で聞いてびっくりしたらしい。
意外とそんなもんかもね。

⑥公演番号215 19:00~19:45会場ホールA
ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調
ラヴェル:ラ・ヴァルス
アーティスト:小山実稚恵 (ピアノ)、ラムルー管弦楽団、フェイサル・カルイ (指揮)

この公演、押さえておいてよかった~。
前の日記でも書いたように、ラムルー管弦楽団で2010年まで17年間首席指揮者をしていた佐渡裕さんが、マルタン氏の招きで突如サプライズ出演し、「ボレロ」を指揮しました。
おそらく佐渡さんの登場はぶっつけ本番だったのだろう。みんなビックリクリクリクリックリしていたし、佐渡さんはほとんど指揮をせず音に身を任せ、それが楽団の熱き思いとあいまって感動的な演出となっていた。
演奏が終わると、5千人のホールが大喝采。
女性演奏者の中には泣いている人もいて、それがホールのビジョンにクローズアップされると、なんかこちらまでもらい泣きしそうになった。
すっかりサプライズに隠れてしまったけど、小山実稚恵さんのラヴェルのPコンも大変な名演だったよ。
それにしても今年の公演は、押し(予定終了時間が伸びる)が多い。
きのうの村治佳織さんのときもアンコールに「禁じられた遊び」をやったり、声援に応えてアンコールをしちゃうと10分以上は伸びる。
今年は超解釈で演奏が伸びることは少なかったけど、お客さんの声援がおおいと、つい終わりも遅れ気味になるのはしょうがないわな。
お客様もそれがわかっていて、今はチケットの取り方もキチキチにしないで、次の公演まで45分ぐらい開けて前売りを買っているようだ。
それでも次がすぐの人は、大慌てで会場をあとにして、カーテンコールに応えている演奏者を戸惑わせることになる。
この公演はさすがに聴衆のヒートアップが異常で、予定終了を30分もオーバーし合計1時間15分の演奏会となっていた。
みんなご満悦ちゅうかんじやったけどね。

⑦公演番号227 21:15~22:00会場ホールB7
ドビュッシー:ヴァイオリン・ソナタ
フランク:ヴァイオリン・ソナタ イ長調
アーティスト:オーギュスタン・デュメイ (ヴァイオリン)、児玉桃 (ピアノ)

もう説明いらんやろ。
史上最高のヴァイオリンソナタの名曲(フランク)を、史上最高のバイオリニストが弾いたら、こうなるちゅうこっちゃ。
ほんまに震えがとまらんかった。
なんでか牧伸二会長を思い出して、泣きそうになった。

5月5日

①公演番号356 19:45~20:30会場ホールD7
ショーソン:いくつかの舞曲 op.26
フォーレ:ヴァルス=カプリス第1番 イ長調 op.30
デュティユー:ピアノ・ソナタ op.1
アーティスト:マリー=カトリーヌ・ジロー (ピアノ)

この日は朝の芸とソムリエのあと、国立演芸場の出番で、とんぼ返りできて見たのがこの公演。
ジローちゃん、また来たで。
エスプリあふれるフランス音楽、ありがとう。
パリのポンピドーセンター前の広場で大道芸をしていたころを思い出せてくれたわ。
これらの曲は「名も知らぬ花」。あ、高田京子さんに同名の歌があったな。でもあっちは演歌やけど、こっちはエスプリや。

②公演番号316 21:45~22:30会場ホールA“ファイナル・コンサート「パリの花火」”
サン=サーンス:序奏とロンド・カプリチオーソ op.28
ロドリーゴ:アランフェス協奏曲より 第2楽章
ラヴェル:ボレロ
ヒメネス:≪ルイス・アロンソの結婚式≫より 間奏曲(カスタネットとオーケストラのための)
アーティスト:ファニー・クラマジラン (ヴァイオリン)、カニサレス (ギター)、ルセロ・テナ (カスタネット)、ラムルー管弦楽団、フェイサル・カルイ (指揮)

フィナーレは音楽による花火で華やかに、演奏者も客もみんな盛り上がってえらいこっちゃ、えらいこっちゃ♪
ルセロ・テナおばちゃん、アンコールにカルメンの前奏曲を何度もさせられてへとへとになってたわ。
それにしてもこんだけ大盛りに盛り上がったファイナル・コンサート、今までで一番ちゃう?
みんな立ってたし、テナちゃんのカスタネット一つで5千人のハートを鷲掴みしょった。

ルセロ・テナ
http://www.youtube.com/watch?v=Lx67bQV80ik


ふろ屋のボレロ
http://www.youtube.com/watch?v=5_BlQTGnGjU


ファリャ 三角帽子「粉屋の踊り」
http://www.youtube.com/watch?v=5MhgdaZliSY



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