『君の名残を』のことなど | 浅倉卓弥オフィシャルブログ「それさえもおそらくは平穏な日々」Powered by Ameba

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コロナも落ち着いたとは

到底言えないような状況下で

今度はよもやのウクライナで、

 

やっぱりなんかこう、すっきりとは

宣伝ばかりしていてかまわないような

感じにもなれずにいる訳ですが、

 

とはいえ僕自身も、毎週楽しみに

『鎌倉殿の13人』にチャンネルを合わせ

 

とりわけ小池栄子さんの

ほとんど顔芸といってもいい演技に

 

圧倒されるやら手を打って喜ぶやら

させてもらっているわけでして、

 

それでも日常は続く、とか

いってしまってもいいのかな、などと

とりとめもなく

考えないでもないでおります。

 

 

初回で頼朝に、とことん積極的に

粉をかけていく一連のお芝居も

相当見応えあったのですけれど、

 

前回の放送はまた

すごかったですね。

 

無表情という訳では決してなく

静かでかつ

背筋も凍るような怒りなのか

 

でもそこには明らかに

嫉妬も紛れ込んでいて

 

とにかく唖然としました。

 

今からもう尼将軍政子様の

演説の場面が

ものすごく楽しみでたまりません。

 

 

では以下、いろいろと近況的なあれこれを。

 

まず『デイジー・ジョーンズ~』の著者

テイラー・ジェンキンス・リードの

かなり長めのインタビューが

 

先日『ローリングストーンジャパン』さんの

ウェブの方に上がっております。

 

こちらになります。

「ロックと女性の物語」ベストセラー小説『デイジー・ジョーンズ』はどう生まれた? | Rolling Stone Japan(ローリングストーン ジャパン)

 

ちなみに翻訳も浅倉がやっております。

 

また同書については、先の日曜日の

J-WAVEさんの番組でも

取り上げていただいたようで、

 

ありがたいかぎりです。この本ですね。

 

フリートウッド・マック

ブロンディ、イーグルスといった辺りに

思わず反応される方には、

 

絶対面白く読んでいただけると思います。

 

アルバムの制作やツアーといった部分が、

本当にリアルに描かれていて、

 

これが全部フィクションだなんて――、

とでもいった、本書がくれる驚きは、

なかなかほかにはない気がします。

 

 

それから、こちらはつい昨日なのですが

『ミッドナイト・ライブラリー』の

三刷りが決定した旨

版元様よりご連絡をいただきました。

 

 

こちらも深謝です。

 

思わず m(_ _)m こんなになりました。

 

少し前になってしまいましたが

『本の雑誌』さんのウェブの方でも

取り上げていただいておりまして、

 

それがこちらになります。

【書評】『ミッドナイト・ライブラリー』マット・ヘイグ - 横丁カフェ|WEB本の雑誌 (webdoku.jp)

 

さて、ではそういうわけで今回は

少しだけ自著『君の名残を』のお話を。

 

当然冒頭の『鎌倉殿の』の話題は、

こちらのネタふりでありまして。

 

気がつけばもう、富士川まで

来てしまっておりまして、

ちょっと慌てていなくもない。

 

おかげさまで、新装版をきっかけに

つい読みなおしたという声は、

僕も目にさせていただいております。

 

 

 

そういえば18年前の発表当時は

こんなブログも

まだやってはいなかったので、

 

改めて自分で少し

紹介させていただくことにしました。

 

端的にいって

〈タイムスリップ平家物語〉なのですが、

本書、こんな目次になっております。

 

  

 

 〈第一部 生々編〉

  友恵之章

  武蔵之章

  萌芽之章

  修羅之章

 

  幕間

 

 〈第二部 流転編〉

  六波羅之章

  倶利伽羅之章

  粟津之章

  壇ノ浦之章

  平泉之章

 

  結

 

――こんな感じです。

 

上巻が六波羅之章までですね。

 

で、まあ、もうまずいきなり

ある種のネタバレに

どうしてもなってしまうのですが、

 

巴の字をどこで使うかってのは、

けっこう悩んだ気がします。

 

これでギリギリだよなあ。

 

ここが本作の一番の仕掛けで、

最初の二章の章題は

それぞれ主人公の名前なわけです。

 

そして中身なんですが、

 

友恵之章では

史実に登場する以前の時代の

木曾義仲を、

 

武蔵之章では

鞍馬に預けられた頃から

平泉にくだるまでの義経を

 

萌芽之章では

木曾、平泉、鎌倉の三箇所で起こる

騒乱の前夜の挿話をそれぞれ扱い、

 

続く修羅之章は、一旦本筋を離れ、

本編の狂言回し的存在を勤める

文覚の前身、遠藤盛遠と

その恋人、袈裟の悲劇、となっています。

 

そして幕間を挟んで第二部に入り、

ここからいよいよ

本格的に平家物語が始動します。

 

六波羅之章

鹿ケ谷の陰謀、安徳帝誕生の辺りから

富士川の戦い、清盛の死、

頼朝と義仲の和睦といったところまで、

 

倶利伽羅之章

木曾進軍と、これを迎え撃った

平家の北陸出兵の失敗と

その後の都落ちが中心で

 

粟津之章

鎌倉勢の侵攻と木曾の敗退、

 

壇ノ浦之章に入って

一の谷、屋島から壇ノ浦へと至る

義経の活躍と平家の滅亡を扱い

 

最後の平泉之章

同地での義経の最後の合戦の

仔細を描くといった

流れになっております。

 

――いやだから、

 

気がつけばもう『鎌倉殿~』が

富士川の合戦にまで来ておりまして、

 

まあ是非この先、

同番組のお供というか

 

ある種の副読本的に

本書も手に取っていただければな、と

思って今これを書いている次第。

 

上下巻それぞれ530頁超という

大部なのではありますが、

 

それでも、これだけの全体の流れを

きっちり扱っているうちでは、

かなり短い方ではないかと自負しています。

 

本当、原典の『平家物語』は

いろんなエピソードの宝庫ですし、

 

しかもたぶん、三谷さんは

『盛衰記』だけでなく

『吾妻鏡』までかなり丁寧に

拾ってらっしゃる感じです。

 

ですから、個人的には

ああ、ここをこういうふうに

膨らませるんだな、とか

思いながら楽しんでおります。

 

水鳥の羽音の原因とか

頼朝と義経の対面のところとか、

 

『名残』では設定上

あまり掘り下げられなかった

部分だったりもするもので。

 

ちなみに頼朝と政子の登場は

萌芽之章の後半からになります。

 

そしてこの『君の名残を』は

菅田将暉さんの退場まで。

 

義時政子の姉弟がメインであれば

間違いなく承久の乱が

最後のクライマックスなので、

 

ひょっとすると義経でさえ、

夏くらいには

いなくなっているかもしれません。

 

またその辺りが近くなったら

今度は『黄蝶舞う』の方のお話を

 

ここでも少ししようかな、とも

企んではおるのですが、

 

それはまだ少なからず先なので、

次回はまた改めて

 

こちら『名残』の話を

もう少し続けるつもりでいます。

 

まあ、いつになるかわかりませんし、

『デイジー』も『ライブラリー』も

 

書きたいことはまだまだあるので、

そちらもまたやるだろうとも思います。

 

書きかけの記事も実はある。

 

 

さて、幾度か同じことをここでも

申し上げているかとも思いますが、

 

読み終わった時に

またいつか読もうと思っていただけて

 

しかもその再読の際も

十分楽しんでいただけていそうだなと

思えることは

 

本当に励みになっておりますこと

末筆ながら、改めて。