ブログラジオ ♯113 In for a Penny, In for a Pound | 浅倉卓弥オフィシャルブログ「それさえもおそらくは平穏な日々」Powered by Ameba

浅倉卓弥オフィシャルブログ「それさえもおそらくは平穏な日々」Powered by Ameba

浅倉卓弥オフィシャルブログ「それさえもおそらくは平穏な日々」Powered by Ameba

だからアラベスクは、実は
ドイツ出身のグループなのである。

英語でしか歌っていないような
気もしないでもないのだけれど。


プラチナム・ベスト アラベスク/アラベスク

¥2,700
Amazon.co.jp

70年代の末だったと
記憶しているのだが、
例のノーランズ(♯105)や


Wantedのドゥーリーズと並んで、
この人たちも、なんだか
ものすごく流行っていた記憶がある。

まあ、まだ僕がどっぷりと、
洋楽にはまってしまうよりも
前っちゃ前の時期なので、


何もかもなんとなく
おぼろげではあるのだけれど、


やっぱりあの、トラボルタの
『サタディ・ナイト・フィーヴァー』を
ある種のきっかけの一つとして、

こういう音が、
巷にあふれるようになって
いったようにも覚えている。


確かにビージーズの
Stayin’ Aliveには、


子供心に、という年でも
すでに決してなかったのだが、

それなりに相当
びっくりしたものである。


まあ、もう少ししたら、
ビージーズもここでちゃんと
やる予定ではいるので、


詳細はそちらに
譲ることにするけれども、

How Deep is Your Loveとか
Melody Fairとか
やっていた人たちと、


同じアーティストの
レコードなのかと、


耳を疑うといったら
やや誇張が過ぎるかもしれないが、

とにかくそういう気分に
させられもしたものである。


しかしところでこのビージーズ、
いったいどこで扱うべきか
本当のことをいうと、相当迷った。


音はなんか、すっかり
アメリカそのものの

ような気がしていなくも
なかったのだけれど、


実はこの兄弟、
イギリスはマン島という場所の
御出身なのだそうで。


かといっていわば自国イギリスで、
レコード・デビューを
はたしたという訳でもないらしい。

でもまあ、詳しいことはやっぱり、
正面からちゃんと扱う時に
譲ることにしようと思う。



それから上のドゥーリーズも
やっぱり実はイギリスの
グループだったらしいのだけれど、


名前を出すのさえつい、
すっかり忘れてしまっていた。

正直いって、この辺りは
自分でもまだ全部いっしょくたに
なっている部分がなくもない。



さて、では本題のアラベスクに行こう。

だけど、キャンディ・ポップなんて
くくり方がされるようになったのは、
いったい何時頃からなんだろう。

確かに上に名前を挙げた
このアラベスクを含む三組を、


ユーロビートとか、
イタロ・ディスコとか、


そういった言葉で扱ってしまうのは、
ちょっと無理がある気がしないでもない。

欧州大陸発祥の、
ダンス・ビートという意味では、
確かにそれはそうなのだが、


どちらかといえばやはり、
アバとかそれこそビージーズとか、


その辺に近いノリを
前面に押し出している気がする。

なんというか、
M.フォーチュニティ(♯106)や、
あるいはS/A/W一派のサウンド、


すなわちいわゆる
ユーロビートの楽曲群と
比べてしまうと、


基本ほとんどピコピコしていない。

まあ活動時期が違っているのだから、
楽器側の技術的な問題も
多分にあったことは確かだろうし、


ひょっとして通底しているものは
同じなのかもしれないが、


それがなんなのかは
今のところ上手い言葉が見つからない。


しかし、とりわけこのアラベスク、
振り返ってみれば
相当なビッグ・イン・ジャパンだったと
いわざるを得ない感じである。


記録を調べてみたところ、
いったい何枚シングルで
リリースしてるんだよ、
という感じである。


ざっと見て、活動八年で、
実に20曲が、シングルの
タイトルとして上がっている。

ほとんどアイドル並みだなあ。

いや、多分にそういう
位置づけだったのだろう。


でも、こういうなんというか、
少しでも商機を見つけたら、

嵩に懸かって攻めに出るとでも
いったような姿勢は、


基本的には大好きである。


さて、その数多あるシングルの中から、
今回僕がピック・アップしたのは、

In for a Penny, In for a Pound
(邦題:『恋にメリーゴーランド』)。


彼ら、あるいは彼女たちの
キャリアの中でも
いわば中期のヒット曲という
ことになるだろうかと思われる。


だけどこれ、81年の楽曲だったんだ。

もうちょっと前かと思ってました。

後知っているのは、
もちろん78年のデビュー曲
Hello, Mr. Monkeyと


それから82年のCaballero
(邦題:『キャバレーロに夢中』)
くらいなものである。

逆にいえばでも、
アルバムすら手に取ったことないのに


三曲も知っているのは
やっぱりすごいのかもしれない。


それから、日本語のカヴァーが
あったような気もしたのだが、
それも存在してはいないようで、

まあ記憶なんてやっぱ、
まったくいい加減なものなんだなあ、と
改めて思ったりもした次第。



もちろん個人的な感想なのだけれど、
やっぱりこの
『恋にメリーゴーランド』が
一番いいかなあ。


この不思議な原題は、
本来はイギリスの諺なのだそう。

ドイツでも有名なものなのか
どうかまでは、
さすがに知らない。


1ペニーで入ったのは、
1ポンドで入ったのと同じこと。


これが転じて、

やりかけたことは何でも
最後までやり通せ、と
いったような意味になるのだそう。


――大事なことだと思います。

書き始めて最後まで
到達できていない
原稿なんて山ほどあります。

でもいつか必ず仕上げる。

そう自分にいい聞かせるしか、
この仕事、やりようないもので。



いや、でもまあ改めて、
結構変な音楽やってたんだなあ、
などと思いながら、

今回僕も、このIn for a Penny~、
実に久し振りに聴きました。


とりわけミュート・カッティングの
ギターのパターンが変わっている。


なんだかクチャクチャいいながら
ガムでも噛んでるみたいな感じ。

だからキャンディ・ポップなのかって
いうのはちょっとこじつけが
過ぎるかなあと、
自分でも思わないでもないけれど。


まあでも、ノーランズにせよ、
このタッチはなんだか不思議ですね。


難しいことなんて、
考えなくていいんだよ、って
真っ向からいわれている気がします。

時にはまあ、そういう時間も
必要なことは確かだから。


たとえば書きかけの物語が、
全然進まなくなったような局面とか。


だからまあ、そういう種類の音楽です。


ではそろそろ締めのトリビア。

まあ今回はいつも以上に
愚にもつかないネタですが。


検索してみてわかったのですが、

本邦では大黒真季さんに、
『恋はメリーゴーランド』、


それからORANGE RANGEと
あとONIGAWARAというグループに
『恋のメリーゴーランド』という


楽曲が、それぞれあるようです。

どれも聴いたことないけど。

聴く予定もないなあ。

だけどまあ、改めて、
この『恋に~』の「に」を選んだ、

当時のA&Rはなかなかの
つわものだったんだなあと思った次第。


フックという訳でもないけど、
こういうちょっとした違和感は、


長く記憶に残っていく、
いわばそのよすがにも
なってくれるような気がします。

原詞の意味からすると
普通なら「恋は」か
「恋の」が順当だったろうと思います。