ラジオエクストラ ♭61 Karma Chameleon | 浅倉卓弥オフィシャルブログ「それさえもおそらくは平穏な日々」Powered by Ameba

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このCOLOR BY NUMBERSは
もちろんまずレギュラー(♯11)で
取り上げてしまった一枚なので、

どうしようかなあ、と
ずっと思っていたのだけれど


やっぱり80年代を追いかけていて
この曲を放っておく訳にもいかない。


そういう訳で二度目のこのジャケ写。
もちろんカルチャー・クラブである。


Colour By Numbers/Culture Club

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前の時にも書いたかもしれないけれど、
83年の作品である。


当初日本盤にのみ追加収録されていた
Time(♭35)を除いた上で、


全10曲中、最終的に計7曲が
シングル・カットされたという、
ある意味怪物級の一枚である。


なお、上で最終的に、と
断り書きをつけなければならないのは、


VictimsとBlack Moneyとの二曲は
本国イギリスのみでのカットだったり、


あるいはアルバムの発表から
ずいぶんと時間が空いてからの
ある種リヴァイバル的な
リリースだったりしたからである。

ただどちらも、当初から、
何故これをプッシュしないのかと
思うくらいの名曲だったことは間違いがない。



ちなみに、上の7という数字には
南アフリカ共和国のみでの
シングル・カットというのも、
一応カウントしていたりする。


確かにこのMr. Manも佳曲だったが、
他のトラックに比べると、
やや見劣りする感は否めない。

もっとも同国では、以前触れた
クライミー・フィッシャー(♯63)が


何故か爆発的に売れたりもしているので、
たぶん独特の嗜好性があるのだろう。



さて、いろいろといいつつも、
3rd シングルMiss Me Blindや
続いたIt’s a Miracleが

楽曲として弱かったなどと
いうようなことは全然ない。


むしろMiss Me~など
曲そのものはもちろん、
PVのインパクトも強烈で、


シングルの切り方の順番としては
決して間違ってはいなかったと思う。

とりわけMiss Me~は、いわば、
ボーイ・ジョージでなければ
絶対に歌えないであろうリリクスが、


いかにもカルチャー・クラブらしい
独特のシャープさを誇る
ギター・サウンドに載せられていて、


このKarma Chameleonの
次のシングルとしては
方向性もちょうど真逆な感じで、

バンドのサウンドの幅を見せ付けるのに
相応しい選択だったとも思っている。



まあだから、収録曲が粒ぞろいで、
どれがシングルになっていても
おかしくはなかったよなあ、という


ある種極めて贅沢な悩みを
今でも呼び起こしてくる一枚なのである。

ま、30年も前の話なんだけれどもね。


さて、Do You Really Want to Hurt Meと
続いたTimeなどの大ヒットで、


このカルチャー・クラブは
当時からすでに全米でのブレイクも
十分に果たしていたと
いってよかった訳なのだが、

だから、周囲がセカンド・アルバムを
刮目のうちに待望する中、


まずアルバムのB面トップを飾ることになる
Church of the Poison Mindが
シングルとして発表された。


ちょうど空前のブームが起きていた
ボウイのLet’s Danceに阻まれて、
トップこそ逃してはいるものの、
同曲も、全英では二位を記録している。

そして、満を持しての
アルバムのリリースの
タイミングで登場してきたのが、
このKarmaだったのである。



ちなみにこのKarmaという単語、
業とか、因縁とかいった意味の、
仏教用語のカルマと同じスペルである。


まあたぶん、バンドとしては
そういう含みを持たせたつもりも
多少はあったのだろうけれど、

歌詞からは、そういう印象は
さほど強くは感じない。


ただ、ボーイ・ジョージが
インド仏教に少なからぬ興味を
抱いていることは、
たぶん間違いはないと思う。


他の曲だが、ハーレ・クリシュナとか
両手合わせながら歌っていたりするし。

ちょっと曲名まで、
すぐには出てこなかったのだけれど。
アルバムの収録曲ではなかったはず。



さて、余談はともかく、今回はこの
Karma Chameleonなのである。


まず冒頭のギター・リフからして、
実は相当すごいと思う。

80年代の音なのに、
しかもイギリスなのに、
なんだかひどくトラッドっぽい。
むしろアメリカのそれ。


そのうえたぶんここが
四七抜きに近いスケールで
出来ているせいで、


冒頭からいきなり並行して
独特のエキゾチズムが醸し出されてくる。

こういう旋律の使い方で
このカルチャー・クラブに、


あるいはボーイ・ジョージに勝るような
センスの持ち主は、
ほとんどすぐには浮かんでこない。


なんていうか、
ぎりぎりダサいはずなのに、
それがむしろ決まってしまっている。

陳腐ないい方だけれど、
やはり極めてユニークなのである。


しかも、このイントロに割り込んでくる、
ハーモニカのラインがまた
非常に気が利いているのである。


いうなれば、適度にポップへの
進化を遂げたスキッフル、
あるいはカントリー・ミュージック。

ハーモニカの音色と、旋律とが、
このトラックを、たちまちにして
そういう手触りで彩ってしまうのである。


だから、ファンキーといえば
やっぱりファンキーなのだけれど、


華やかではないはずなのに何故か華やか。

そういう不思議な曲である。

見た目のインパクトも
もちろんあったろうけれど、


実はこういったユニークさが、
あの当時のこのバンドの爆発的な、

人気の高さを裏打ちしていたのだろうと、
改めてそう思ったりもしてしまう。



個人的にはサビの歌詞の最後の箇所が
当時からひどく印象に残っていた。


Red, Gold and Greenなんて
色の名前の羅列が繰り返されているのである。

なるほど、これがだから
カメレオンの配色なのかな。


まあそんなふうに納得したような記憶もある。

ちなみに同箇所を含む前後の
コンテクストは大体こんな感じである。


もし君の色が僕のとすごく似ていたなら、
きっと愛ってやつだって


もっとずっと簡単だったろうね。
赤、金色、緑。赤、金色、緑。



――うーん。やっぱりわからん。


ところでそういえば、
カメレオンって、
日本語ではどういうんでしょうね。


なんかすごい漢字が
当たってたりはしないのでしょうか。


極彩変色蜥蜴とか。

一応書き出してみたけど
これはやっぱりまだ普通だなあ。


いや、因業極彩変色蜥蜴とか、
ただやってみたかっただけなんですけどね。



と、ここまで書いてから
きちんと調べてみたところ、
中国ではカメレオンのことを、
避役とか、変色竜とか書くそうです。

――因業避役。

ひょっとして、
何がなんだかわからなくて、
なかなかいいかもしれません。