ブログラジオ ♯64 Close to You | 浅倉卓弥オフィシャルブログ「それさえもおそらくは平穏な日々」Powered by Ameba

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いや、カーペンターズではないのである。

あちらは前にカッコ書きの部分がつくし、
それに、本企画がアメリカへ至るのは
まだまだずっと先なのである。


さてこの方、マキシ・プリーストとおっしゃる。

グレイテスト・ヒッツ・アンド・レアリティーズ/マキシ・プリースト

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そっか、この人もイギリスの人だったか。

いや、いろいろ確認していくと、
全然思い違いをしてしまっている場合が
結構少なからずあるものである。


この方と、それからビリー・オーシャンとは、
もう絶対にアメリカのアーティストだと
信じて疑わずにいた。


ビリー・オーシャンなんて、
間違いなくライオネル・リッチーの
友達か愛弟子だろうくらいに思っていた。

このビリー・オーシャンをここで、
取り上げないとならないかどうかは
今現在まだ思案中。


あの頃本当にすごい勢いで売れていたのだが、
実は僕は全然手を出していないのである。


やや語弊があるけれど、いわばベタ過ぎて、
なかなか手が伸びなかった
というのが正直なところである。


ひょっとして今聴くとすごくいいなと、
思ったりもするのかな、と
思わないでもないでいる自分に
ちょっと引いてしまうかもしれない。


とりわけライオネル・リッチーなんて
向こうの演歌みたいなもんだろう、くらいに
思っていなくもなかったし。



ああ、好きな人にはごめんなさい。
でも若かったんです。どうか御容赦。

しかし、『天城越え』を
はっきり名曲だといえるようになったのは
いったい幾つの頃からかなあ。



まあとにかく、今回はこの
マキシ・プリーストなのである。


このClose to Youが、あの頃
嫌になるほどかかっていたのだけれど、

今はむしろひょっとして、
Love Somebody for Lifeの作者といった方が
通りがいいのかもしれないな、とも思う。


こちらは「踊る大捜査線」の
TVシリーズの主題歌ですので念のため。



ブリティッシュ・レゲエという括りが、
どれほどの範囲にわたるのか、

UB40はともかくとして、
マッドネスをここに数えていいのかどうかは、
僕にも正直よくはわからないのだけれど、


そういう訳で、この人の場合は
そのスタイルを前面に押し出して、
プロモーションしていた感がある。



本名をマックス・エリオットという彼は、
ジャマイカからの移民の子で、
9人兄弟の下から二番目だったそう。

母親がプロテスタントの分派である
ペンテコステ派の熱心な信者であったことから
幼少から教会でゴスペルを歌っていたらしい。


ちなみにこのペンテコステ派というのは、
ゴスペルを中心とした、
現代の賛美歌群の成立に、
大きな役割を果たした一派である。



さらに加えて、イギリスつまりは英語圏で
生まれ育ったこのマックス少年は、

ビートルズやマーヴィン・ゲイ、
フランク・シナトラなどと一緒に、


レゲエの大御所であるデニス・ブラウンや
グレゴリー・アイザックスといった
アーティストのレコードを聴いて
育ったのだそうである。


なんとなく、このバック・グラウンドには
大きく頷けてしまう気がする。


彼が本格的に音楽に乗り出したのは、
どうやら84年頃のことで、
この時期から、インディーズながらも
幾つかのトラックをレコーディングしている。


88年、ようやくソロとしての
メジャー・デビューを
いわゆるセルフ・クレジットのアルバムで果たす。


ここからWild Worldなるトラックが
英米ともにスマッシュ・ヒットとなり、
これを受け、90年にいよいよ
BONAFIDEという作品が登場するのである。

同作のリード・シングルである
今回ご紹介のClose to Youは同年10月に
一週ながらついにビルボードのトップに立っている。


それもR&Bとかワールド・ミュージックとか
そういうジャンルごとのチャートではなく、
HOT 100での出来事である。


だから本当あの頃、この曲は
至るところでオン・エアされていたのである。


さて、個人的にはさほどハマった訳でもないので、
手元には上のベスト盤が一枚あるきりである。


それにしても、このベスト盤、
カヴァーばっかりだなあ、という印象である。



おそらく最初に本国で注目を集めることに
成功したであろう87年の
Some Guys~は、元々は73年の楽曲で、

彼以前にすでに、ロバート・パーマーと、
ロッド・ステュワートといった重鎮が
それぞれ82年と84年に取り上げている。


ほかポリスのMessage in a Bottle、
フォリナーのWaiting for a Girl Like You、
ブロンディのThe Tide is High、


Everything I Ownはカルチャー・クラブの
ボーイ・ジョージがソロでトップ1まで
押し上げた後のピック・アップだろうと思われるし。

しかもLove Somebody for Lifeは
本邦の織田裕二のカヴァーだし。


――いや、これは冗談だけど。


あと、上で触れたWild Worldの作者である
キャット・スティーヴンスという方は、

以前エクストラで取り上げた、ロッドの
The First Cut is the Deepest(♭22)を
書いた人だったりもしたりする。


やっぱり、些か多過ぎる気がしないでもない。

しかも、かといってどのトラックもが
レゲエのリズムでちゃんと
解釈されなおしているのかというと
実はそうでもないのである。


でもそれこそ、今回のClose to Youや
Groovin’ in the Midnight、That Girl、
One More Chanceなんて辺りの


美しい、あるいはインパクトのある楽曲を
共作とはいえ
ちゃんと自分で書けるのだから、


もうちょっと頑張ってほしいよなあ、と
正直思わないでもないかなあ。

まあ、あるいはこの選曲は、
セールスを鑑みたレコード会社側の
アイディアなのかも知れないけれど。



ちなみに彼は今も現役で、
昨年は七年ぶりのニュー・アルバムを
発表している模様です。



ではそろそろ締めのトリビア。


今回思わず名前を出してしまった
ライオネル・リッチーの
80年代の代表曲の一つが、
All Night Longという作品なのだけれど、


この曲、古今最強の空耳ソングとしても
一部では超有名なのである。


曲の後半に、アフリカの言語で、
コーラスを入れている箇所があるのだが、

これがどう聴いても、
日本語にしか聞こえない。



しかも、その内容が、いわば奇天烈である。

こんな感じ。


田んぼに行って捨ててこいや
イェーイ 田んぼ田んぼ



何捨ててくるんだか。



ええと、今回はなんというか、
コモドアーズとライオネル・リッチーの

熱心なファンの皆様には、
万が一お気に触ってしまったら
本当に申し訳ありません。


ちゃんとEndless Loveも聴いてます。
We Are the Worldが彼抜きには
成立しなかったことも十分にわかっています。



でもどうしても、
ライオネル・リッチーというと

今でも小林まことさんの
ホワッツマイケルが
何故か浮かんできてしまうのです。



この記憶、
田んぼに行って捨ててきたい。