ブログラジオ ♯4 Thank You | 浅倉卓弥オフィシャルブログ「それさえもおそらくは平穏な日々」Powered by Ameba

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いや、全然Stairway to Heavenでもよかったんだけれど。
Rain Songも考えなくはなかったのだけれど。
でもなんとなく今回はこちら。ツェッペリンである。

このバンドもやはりその偉大さに感じ入ったのは
後年になってからのことである。
だって僕がレコード屋に出入りするようになってから
リアルタイムで発売されたのは
最後のCodaだけだったんだから、
そこは容赦してもらえるんじゃないかと思うんだけれど。
だめだろうか。

とにかくだから、僕がロバート・プラントをシーンで初めて耳にしたのは
遺憾ながらあのハニードリッパーズだったし、
その頃ジミー・ペイジはファームなんて地味なバンドをやっていた。
チャートに食い込みことしたけれど、いっちゃ悪いがなんとなく二人が二人とも、
いわば斜陽の感とでもいうべきものをどうにも拭いがたく
全身にまとってしまってでもいるかのようだった。
少なくとも当時高校生だった僕の目にはそう映ってしまった。

さて、レッド・ツェッペリンというバンドの歴史は、
ドラマー、ジョン・ボーナムの事故死によって
唐突にその幕を下ろしてしまう。
実質12年、オリジナルアルバムにして9枚。
あまりにも短い活動期間だった。
それでも彼らがいなければおそらくホワイトスネイクやデフ・レパード、
あるいは海を超えボン・ジョヴィに連なるようなスタイルの音楽は
おそらく出てこなかったであろうこともまた疑いを挟む余地はないはずだ。

いやしかし、どうしたってジョン・ポール・ジョーンズの名前を出すのは
四人の中で最後になってしまうのだなあ、とついついここまで書きながら。
バンドのサウンド全体に対する彼の貢献というのは
たぶん測り知れないものがあるだろうと十分わかってはいるのだが。
なのにどうしてもこうなってしまった。
あのプラントのハイトーンのシャウトと
それからペイジの独特なギター・リフを
活かすために為された計算の多くが
おそらくは彼に拠っているのだろうと思われる。
基本ドラムとギター以外の楽器の扱いは、
どうやらほとんどこのベーシストに任されていたらしい。

だからたぶん僕がこの曲を好きなのは、彼らのカタログの中ではめずらしく、
バリバリのギターサウンドではないからなのだと思う。
もし太陽が輝くことを拒んだとしても――。
そんなフレーズで歌は始まる。
ロバート・プラントも今回は少し音域を抑え気味だ。
バックトラックのメインはキーボードで、この音色のチョイスが見事。
言葉の印象と相俟って冒頭からいきなり
壮大なスケールを感じさせずにはいない。
なのに全編の内容は至ってシンプルなラブソングなのである。
まったく、茶目っ気すら感じてしまうではないか。

ちなみに『サムライ伝』執筆時のメインのBGMはこのツェッペリンである。
とりわけ戦闘シーンは主にAchillessを聴きながら書いていたりする。

では最後に例によってトリビアを一つ。
ジョン・ボーナムのバスドラの音色というのは相当強烈で、
ロック史上最強のキックとして、
今でもあちこちでサンプリングされているのだそうである。
たぶんマイケル・ジャクソンのBadのあのイントロ辺りにも、
おそらくは使われているんじゃないかと思う。
いや、確かめてはいないんだけどさ。