鈴鹿山脈 滋賀県側トレイル再興計画 | 強化人間331のブログ

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サイボーグである強化人間331の、つれづれ山行記録。
さしておもしろくもないのは、ご愛嬌。

忍び寄る退屈!

 

過日(5/19)、前日に登山を終えた日曜日にそれは起こりました。5/18に岐阜県奥美濃にある貝月山というマイナーピークに春日村から意地でも登るという無茶な計画を立案、実行してきました。

 

その行程があまりにも過酷すぎて翌日はゾンビさながらといった様子だったのですが、部屋の汚濁具合が限界に達していたため掃除を敢行、快適さを取り戻しました。

 

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ところでいきなり脱線するけれども、5/18は本当はアプリの女性と会う予定になってました。けれども当該女性(31歳、体型自己申告:ぽっちゃり。つまりデ……)は返信が極端に遅く、場所や時間を決めるためのやり取りですら4~5日に一度の返信という、まことに舐め腐った態度でした。

 

それが3回続いたのち、わたしのなかでなにかが音を立てて切れました。「こんな女と会う必要なくね?」。会ったところでその後の関係が景気よく進展していくはずがない。わたしにはいつどこで会うというような、必要事項すら早く決めようとしない女性はすべてにおいてルーズである、という持論があります。

 

女性優位というアプリの特性上、いた仕方ない部分があるのは承知してます。わんさと男からアプローチがくるので、いちいち即座に対応していられないという事情でしょうよ。ですから平気でダブルブッキング、トリプルブッキングを彼女らはやらかしています。

 

わたしは過去に何度も、前日――ひどいと当日の1時間前に「体調不良なので会えない」、「おばあちゃんの容態が急変した」とドタキャンをされてます。書くまでもありませんが、本当は本人やその親族はピンピンしてるけれども、スケジュール管理ができていなくて予定がかぶってしまったとか、直前で億劫になったとかのしょうもない理由であります。

 

約束したところでこの女もどうせそうなるに決まってます。途端にやり取りする気が失せて、5/18の予定をそれ以上詰める気がなくなってしまいました。そのまま返事をせずに放置したわけです。するとどうですか。なにかこう、いわく言い難い晴れやかな気分になってきたのであります!

 

いままで散々アプリの女性たちから舐めた態度をとられ続けてきたことへの、ささやかな抵抗。おそらく当該女性にはなんらのダメージもないでしょうが、わたし個人としては一矢報いた格好となり、心の清涼剤になったのでした。

 

本事例からわたしが性格の悪いロクデナシだと断ずるのは自由だけれども、このような精神状態へ追い込んでくるアプリの女性たちのほうが数倍、性格に難がある旨を強調しておきましょう。

 

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閑話休題、5/19は掃除をなんとかこなし、昼からは図書館へ行って本の借り換えを実施、さらに喫茶店でトマ・ピケティの「21世紀の資本」を(周囲へのマウントとして)読みふけり、1週間分の食料品を買い出して帰宅したのが20:00。

 

さらに取り込んでおいた洗濯物をたたみ、すべての家事が終わってからはお楽しみタイム。スーパーで値引きされていたネギトロ丼とビビンバ丼をメロンクリームソーダをお供に食べる。総額800円程度でした。おいしい食事とよいものを安く手に入れたという二重の達成感。最高のひとときですね。

 

問題はここからです。食事を終えて歯を磨き、時刻は21:00すぎ。寝るまでにまだ時間はあるんですけど、見事に

 

することがない!

 

のであります。執筆しようにもお題に沿った掌編がすぐ思いつくほどアイデア豊富ではないので、これはまたの機会。本は日中読んだ。するともう、証券口座のページを開いてよさそうな銘柄がないか、ファンダメンタルズの確認くらいしかすることがないのですね(そしてあろうことか、そのまま衝動的に買ってしまうという始末。もっとちゃんと選ばなあかんぞホンマ……。ちなみに5/31現在、案の定約定したその日から株価は下がるいっぽうです。個別株難しいねんな)。

 

ところで人間の生物学的な寿命はおそらく、50歳前後だと思われます。根拠は生理周期の停止であります。ヒトのメスは50歳前後で閉経しますが、他の動物は死ぬまで現役。これをどう考えるか。ヒトだけが特別だとしたいところですが、自然状態での寿命だと考えればスッキリしますね。

 

人間以外の動物たちは厳しい環境下で生きており、ほとんどの死因は事故か飢餓です。老衰なんてありえません。老衰はいわば、贅沢な死に方といえるでしょう。人間を除けば犬猫あたりがそれを享受しています。

 

さて人類は文明を発達させ、飛躍的に寿命を延ばしてきました。つい80年くらい前の戦前なんて、男女ともに平均寿命は50歳くらいだったのですよ。もちろんこれは2人に1人が50歳で死ぬという意味ではないですが(乳児死亡率が数字を引き下げている)、それにしても低い。

 

医療技術の発達や栄養状態の改善により、日本では平均寿命が80歳以上に達しています。換言すれば文明の利を得られないのなら、われわれは50歳前後でだいたい死んでいくのではないでしょうか。わたしはずっと閉経の進化的な意味を考えてきたのですが、それをついに見出せませんでした。そうです、意味などないのです! そこで〈閉経期は人間の本来の寿命である〉と帰納的に結論したのでした。

 

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ここでようやくやることがなかったわたしの悲惨な休日に戻るんですけど、上記考察が正しいとすれば、40歳前後から中年の危機やら更年期やらが出来するのもうなずけます。だってもう本当は死への秒読みが始まってるんですから。中年の危機や更年期というのはホルモンバランスの変化で起こるのですが、いままで恒常的に循環していたホルモンが分泌されなくなる=死ではないか?

 

独身のアラフォーはあらゆることに興味を持てなくなり、時間を持て余す。これはむしろ人間の自然寿命を所与とすれば、当然の成り行きでは? そんなようなことをあまりの暇さ加減に考えた日曜なのでした。

 

おわり

 

っておーい! 野心的な滋賀県ルートの開拓は?

 

寒いノリツッコミのノルマも消化したので、登山の話に移りましょう。

9:05 石榑トンネル出口付近の滋賀県側駐車場~9:45 焼野~10:20 指導標地点~10:35 長池~11:00 白谷越~11:35 962メートルピーク~11:55 稜線合流~12:05 竜ヶ岳~12:50 石榑峠(ランチ)~13:25 出発~14:40 三池岳~14:50 八風谷ドロップ開始~15:50 八風谷登山口~16:10 石榑トンネル出口付近の滋賀県側駐車場(車回収)

 

日時 2024年4月10日(水曜日) 

天候 快晴

メンバー 強化人間331(単独)

装備 軽量化装備(調理器具、雨具、食料、非常食、水3リットル)

距離 約18キロメートル

推定累積標高差 約1,300メートル

所要時間 7時間5分(うち昼休憩35分、その他小休止含む)

備考 滋賀県IN滋賀県OUT

 

1 滋賀県側トレイル再評価

再評価とはとても大切な概念であります。メンデル遺伝もそうでした。後世の学者たちが我が物顔で優性・劣性遺伝の法則を見せびらかしていたところ、とっくの昔に修道士のメンデル氏が発見していたという事実が明らかになった。

 

昨今ではネットの発達によって科学論文を一度に検索することができるようになり、こうした空振り的な研究は少なくなったようです。学者先生たちの界隈ではそれでよいでしょうが、われわれ一般人たちにはまだまだそうした情報は降りてきづらい状況ですね。

 

こと登山においてはいったん忘れ去られた登山道は、その性質上廃道化一直線になってしまう。そのフローは次の通りです。通行量の減少で整備されなくなる→誰も通らなくなる→ネットに記事が上がらない→存在そのものが忘れ去られる。

 

こうした末路を辿りつつあるのが、鈴鹿山脈の滋賀県側登山道全域であります。これ、なぜなのでしょうか? 滋賀県側登山道でまともな代物にお目にかかったことがない。整備されつくした三重県側登山道にはない魅力が滋賀県側にはあります。それを再評価すべく、立ち上がったのが鈴鹿山脈の博士号保持者、強化人間331なのです!

能書きが長くなりました。最終的に八風谷を下ってくるので、その近辺の路肩に駐車し、まずは車道歩きです。出発は9:05。記憶が確かなら4月上旬は婚活に忙殺されており、土日は女性との会合でつぶれてしまってました。そのため無理に週の中日に有休をとり、山に登ったという顛末。ちょっと病気と違うか? したがって9時発は超早出の部類に入りますね。

 

国道421号を少し歩き、茨川林道へシフト。焼野と呼ばれているただっぴろい砂利エリアから入山します。

焼野登山口、9:45着。ここからしばらく尾根に沿ってつけられた林道っぽい巻き道を行きます。この巻き道は最終的に山腹へ消えて立ち往生するので(1敗)、どこかのタイミングで尾根芯へシフトしてください。そちらへ登っていく道と随時分岐しています。

尾根芯に乗ると比較的明るい雰囲気。巻き道はジメジメしていていかにもヤマヒルが出そうな様子でした。4月上旬なので大丈夫だとは思いますが。

10:20、指導標分岐に到着。一昔前に本ルートを使った際はこんな豪華な案内はいっさいなく、ほとんど見捨てられた人跡未踏の僻地といった塩梅でした。変われば変わるものです。滋賀県もようやく重い腰をあげ、鈴鹿山脈の整備に乗り出したようですね。

10:35、長池とやら。基本的には尾根をひたすら辿るルートですが、このあたりは船窪(尾根が近距離で並走している地形)になっており、ちょっとわかりづらい。ペナントも疎らなので道を見失わないようにしてください。

まだ芽吹く前の季節だったので尾根は比較的明るいです。本ルートのなにがよいといって、人がまったく入っていない点。人混みが極端に嫌いなわたしには多大なるメリットであります。

白谷越というコルへ向かって下っていくあたり、ちょっと道がわかりづらいので要注意。基本的には尾根芯を辿っていけばよいのですが、踏み跡も薄くペナントも疎らなのでご留意を。おまけに角度も急でした。

11:00、白谷越。年季の入った銘板が力尽きたように落下してました。噂によればこのコルに詰め上げるルート(古語録谷経由?)があるらしいです。谷をのぞき込むと、幽かに踏み跡のようなものもありました。いつかそちらもチャレンジしてみたいものです。

白谷越からは難所が連続します。まずはこのザレ場。踏ん張りの効かない足場と急登で非常に歩きにくい。申し訳程度に杭のようなもので補助されてますが、焼け石に水です。

ザレ場の頂点はけっこう痩せてます。登りはあまり気にならないけれど、下りはかなりの高度感にビビること請け合い。

ザレ場をクリアしたと思ったら、お次は急登と来たわ! →お次はターザンと来たわ! byシンディ。その角度はすさまじく、身体が後ろへ常時引っ張られているかのようなレベル。踏み跡も錯綜しており、道は自分で見つけていかねばなりません。

11:35、急登の頂点である962メートルピーク着。メモには「坂の傾斜ヤバい」とありました。相当ヤバかったようです。見づらいですが写真真ん中付近にトラロープが張られており、本ルートの通行が推奨されていないのだと判明しました。その割には下部に指導標がいくつも建立されてましたけどね。滋賀県の行政態度はようわからん。

急登を終えれば傾斜はなだらかになり、一気に視界も開けます。鈴鹿は低山域のくせに山脈が幾重にも重なっていて、なかなか見応えがありますね。

傾斜は比較的緩くてよいんですけど、馬酔木と思われる藪のディフェンスがうっとうしい。しっかりラインを見定めれば漕がなくてもよいように道は通されています。道を探すのが面倒なら無理やり突っ切ってしまってOK。

もう少しで竜ヶ岳に接続するメイン稜線です。写真右端に指導標が写っています。

11:55、鈴鹿山脈の主稜線に合流。風が強く寒かったようです。一昔前はここが分岐点であることを示すものなんかなにもなく、GPS片手にウロウロしていたものです。いまや立派な指導標が設置されるまでになりました。こうして少しずつ滋賀県側トレイルが安全になっていくのは喜ばしいと思いつつ、一抹の寂しさを覚えますね。

ほい、12:05、竜ヶ岳(1,099メートル)着。竜へ至る道中、稜線は崩壊してるとかで通行止めになってまして、代わりに巻き道が作られてた。素直に指示に従えないのが山屋の性であります。警告を無視して主稜線を辿ってみたところ、別段危険か所はなくスイスイ行けちゃった。

御池岳がドドーンと。鶴仙流の殺し屋みたいですね。→ドドン波あ! by桃白白。

四日市市、遠くには伊勢湾も。さて帰り道はおとなしく巻き道を使ったのですが、これがまあひどい。急勾配あり、粘土質で足場は最悪、歩きにくいことおびただしい。歩行禁止の旧ルートのほうがはるかにましでした。本事例での学びは、登山道は人からの伝聞で判断することなく、体当たりで調査しないとホンマの状況はわからんということですね。

掲載ルートは序盤に核心部があるため、あとはもう極楽一般道を脳死で歩くだけです。重ね岩も久しぶりに見ました。ド平日だったにもかかわらず、けっこう人がいて驚きです。この人たち平日までなにやってるんでしょうね?

 

あ、ブーメラン刺さってました。せっかく有休がとれたというのに休んでまで山って……。とはいえ1週間以上山に入ってないと、なんとなく体調が優れないような気がするんですよね。婚活で土日がつぶれた場合はジムでエアロバイクをひたすら漕いでお茶を濁すわけですが、あんなモンでは運動したうちに入りません。山屋は山に呪われている。はっきりわかんだね。

12:50、石榑峠です。このゲートはいつ来ても強烈なインパクトを与えてくれます。トンネル開通に伴い三重県側は通行禁止となり、残念ながら廃道扱いとなってしまいました。いまでは滋賀県側からのみアプローチ可能で、石榑峠~竜ヶ岳間の最短登山に多く利用者がいる由。

 

かつてトンネルが通される前、この区間は道として名をはせておりました。わたしも酷道フリークだったころ、興味本位で台風が近づいている時節に走ったことがあります。もう思い出したくもありません。稲光が轟く不気味な山奥で一人、半泣きで次々と現れるS字クランクをこなし続けさせられるという作業。それ以来でしょうか、道路走破趣味から手を引いたのは……。

 

それはともかくキリもよいので、ここでランチとしました。超高級スーパー「バロー」はわたしの御用達なんですけど、ここで買える「北欧倶楽部」なる総菜パンは一押しですよ。価格は1個100円と安く、おいしいパンが目白押し。この日もカップラーメン+北欧パンの豪華なランチでした。経費250円也。これくらいの価格帯がランチに出せる上限ですね。

 

世の中の女性たちは(まあた現代女性批判が始まったぞ笑)ランチに平気で1,000円、下手すると2,000円の出費も厭わないそうで。いやあ、たまげたね! ランチに2,000円とは! それも記念日とか旅行先とかではなく、日常的に友だちと食事するのにこれくらいかけてる由。

 

さぞかし高給取りなのかと思いきや、彼女らの年収レンジはせいぜい200~400万円台(おそらく実勢は250~300万円程度でしょう※注)。これは実家暮らしが影響してるんでしょうなあ。ろくすっぽ家にお金を入れず、土日になれば遊び呆けてひたすらお金を使いまくる。

 

※注 女性の年収が低い=女性差別が横行していると短絡するのは誤りです。男女雇用機会均等法が施行されて久しい昨今、同一職種で賃金に差をつけるなんて法的に不可能です。ではなぜ女性の平均所得がいまだに低いかというと、誰でもできる楽な仕事(=一般事務などのオフィスワーク)に就く割合が高いからですね。

 

男性は昔から営業や現場などのハードワークをこなしてきました。男女平等になったのですから、稼ぎたければ女性もそうした職業に就けばよろしい。楽な仕事ばっかりしておいて給料が低い、ジェンダー後進国だとか抜かしてるのはさすがに頭が悪すぎますね。

 

男女格差はともかく、ランチの話題に戻りますよ。わたしは文明に頼り切った生活に憤りを覚えるタイプの人間です。現代はお金をかければいくらでもおいしい食事、受け身のレジャーを購入することはできるけれども、なにか非常にさもしく感じるのであります。お金を支払うことでしか満足を得られない貧しい感性だと思ってしまう。

 

わたしが子どものころは家が裕福ではなかったので、ゲーム機はある程度長じるまで買ってもらえませんでした。基本的には外で遊び、いろんな生きものと触れ合ってました。近所のドブで見つけたタニシを壁にぶつけて殺したり、水生のヒルをスコップで切り刻んで耐久力を確かめたり、蟻の巣の上空から拳大の石を落として「第n次蟻戦争」と称して殺戮したり、アリジゴクを巣から引っ張り出してムネアカオオアリと戦わせてみたり――。昭和生まれの子どもは自然と一体になって遊んだものです。

 

あえて血なまぐさい例を出したのは強化人間兄弟のサイコパス感を強調したいからではなく、子ども時代はこのように生命と直に触れ、ときにはそれらを粗末に扱うことにより尊さを学んでいくのだ、という点を強調したかったからであります(まあ第n次蟻戦争という類まれなネーミングセンスを発揮した兄はちょっとサイコパス気味かもしれませんが)。

 

30年以上も前の殺戮事例がスラスラ出てくるのは、いまでも当時の蛮行を折に触れて思い出しては悔いているからです。タニシの中身が飛び散ったコンクリート壁、5つに分断されてもまだなお蠢いているヒル、身体がちぎれて悶え苦しむ蟻たち。命を粗末にしたからこそ、やってはいけなかったのだとより一層理解できるのであります。

 

そうした経験を得られなかった若年世代、もしくは都市部育ちの女性は文明におんぶにだっこな傾向が非常に強い。アプリでよく見かける「おいしいものが好き」という文言、これを見るたびにわたしは吐き気がしてきます。

 

途上国ではおいしいものどころかまずいものですら食べられず、常時栄養失調の子どもたちがごまんといるのですよ。それに引き換えなんですか、日本女性ときたら! 2,000円もランチに使ってブクブク太り、あげくに糖尿病予備軍入りしていらっしゃる。周りに食料が溢れていようがなんだろうが、節制し、足るを知るべきなのです。食道楽を気取って恥ずかしいと思わないんでしょうか。

 

まったくこれからの日本はどうなっちまうのかねえ。文明におぼれて溺死寸前、虫1匹出ようものなら喉も裂けよとばかりに大絶叫。こういう女性に限って環境は大切にせなあかんとか言ってますからね。あんた方がお嫌いな虫も環境の一部なんですがね。環境保護が聞いて呆れらあ!

 

暑い、寒い、虫、その他普遍的に環境に遍在するファクターに対する耐性の欠如。こうした傾向は自然と触れ合わなかった代償として現代人にビルトインされてしまったようです。花粉症を筆頭とするアレルギーもアレルゲンにさらされていないのが原因だという説がありますね。子どもを無菌室みたいな場所で培養し、免疫に仕事をさせなかった反動がこうして襲いかかってきている。

 

文明人を気取る軟弱男女の根性をたたき直すにはどうしたらよいか? そら決まっとりますがな。山へ連行したらいい。夏の暑さは苛烈、冬の寒さは酷寒、虫はごまんといる。これが本来われわれ人類が暮らしていた環境だと連中にわからせてやるのです! さすればUSJやらTDLやらなんて所詮人工的に作られただけの、まさに〈夢の国〉であるとわかり、行く気も失せるでしょう。

 

あとは最近の軟弱男女どもをどうやって山へ連行するかですが、正直組織的に誘拐するくらいしか方法が……

結局オチが思い浮かばないままランチタイム終了。13:25発でした。石榑峠から南はあまり歩かれていない縦走路があります。ものすごく久しぶりに歩きますが、はてさて。

バッチリ整備されており、歩きやすい。苔が彩を添えてくれます。最後に本ルートを歩いたのは確か、鈴鹿山脈をテント泊で縦走するという試みだったはず。あのときは縦走路の途中で日没し、気力と根性だけで踏破したのでした。今回は陽も落ちてないし体力に余裕もあるため、ウグイスの鳴き声を聞きながら鼻歌交じりで歩けました。

一部ザレ場も。水曜日のド平日ということですれ違う人間は皆無だろう――という予測を裏切り、高齢者の大部隊、ソロの若者が通行してました。こいつらなにやってんの? →ブーメラン。

一定の起伏をくり返すような登山道です。アップダウンを経て徐々に標高をあげていきます。あまり苦にならないタイプの縦走路ですね。わたしが嫌いなのは中央アルプスのようなやつ。ピーク間の標高差が200メートルだとしても、一気に下って一気に登り返すのは精神的にしんどいですよね。

 

よく縦走は登ったり降りたりが小刻みにくり返されるのでえらい(=東海地方の方言。意味はしんどい)、縦走は上級者向けだと言われてますが、読者はどう思われますか。わたしはまったくそんな風に感じないんですよね。

 

たとえば累積標高差が300メートルだとして、岐阜市の金華山を一気に登るとだいたいこのくらいです。所要時間はおよそ1時間。1時間ずっと登り続けるわけです。これに対して縦走路の場合、20~30メートル登って降りて、徐々に標高をあげていって最終的に300メートル稼ぐ。心理的負担は後者のほうが少なくないですか? なんであれとにかくピークに到達すれば、「とりあえず終わった」という安堵が先立ちますよね。いかがでしょうか?

珍しく山の話題をマジメに論じてしまった。縦走路はご覧の通りたいへん雰囲気がよい。心地よい疲れをふくらはぎに感じながらどんどん詰めていきます。

あっという間に竜が遠くに。縦走の醍醐味は山座同定が容易な点でありましょう。さすがにさっきまで自分がいた山くらいはすぐに特定できますのでね。

14:40、三池岳(974メートル)。メモには「微風が吹き渡る、春の気配が充満」とか書いてありました。よほど心地よかったのでしょうが、ちょっと宗教染みてて怖いですね。

ここまで来ればもう終わったようなものです。美しい縦走路を10分ほど歩けば杠葉尾分岐。14:50でした。ここから八風谷へ向かってドロップとなります。

前回の記事では八風谷INでしたが、今回は八風谷OUT。下りは下りでまた違った雰囲気を味わえます。沢のせせらぎを聞きながら下っていきます。やはり人のいない山は最高ですね。

道自体は高巻きにつけられており、入渓するようなポイントはほぼゼロです。安全圏から美しい八風谷を楽しめる、非常に贅沢なルートでありましょう。なぜ誰も歩いていないのか不思議でしょうがない。これもおそらくYAMAPなどの山岳アプリの影響だと思われます。

 

こないだから標高差や歩行距離の記録用にYAMAPをダウンロードして使い始めたのですが、アプリ内で課金すれば山岳地図を取得できるのですね。ちなみにわたしのような無課金勢は月2枚まで。オレは財布事情的に2枚で十分……! (つーかこれが限界)→オレは太刀の間合い(半径4m)までで十分……! (つーかこれが限界)byノブナガ)。

 

で、せっかく2枚まで無料なんだからためしにダウンロードしてみたわけです。するとまあ豪華なこと豪華なこと。目立つ赤線が引っ張ってあるのは〈山と高原地図〉でお馴染みですが、それだけではなくて歩行頻度によって太さまで変えてある。太い赤線は交通量が多く、細い赤線は人通りが皆無というわけ。ユーザーの投稿記録をビッグデータ解析してるのでしょう、まさに登山もIT化の時代であります。

 

さてそうした事情となると、臆病な登山者にとって細い線は非常に頼りなく見えるでしょう。人の多い道なら整備されている可能性が高く、万一事故が起きても助けてもらえる確率も高まります。ですから太いトレイルはますます人を惹きつけるいっぽう、そうでないトレイルは過疎化が加速していかざるをえない。

 

これはなにを意味するのでしょうか。単に登山道の二極化が進むという程度の話にとどまりません。登山者全体のレベルダウンを惹起せしめていると結論すべきなのです。太い線=安全の恒等式を念仏のように唱える登山者たちが、細い線ルートにチャレンジするとは思えません。登山は安全が一番などという誤った価値観がそうさせるのです(登山とはもともと危険負担を承知でやるスポーツなんですから、はじめから安全であるはずがない)。

 

彼らのようなファッション登山者は難易度の高いルートに挑戦する意欲もなく、ただひたすら自分たちの現在位置が赤線の上にプロットされているかだけに留意する、いわばGPS奴隷であります。本来であればGPSは補助手段であり、メインではないはずです。彼らは①赤線が太いかどうか、②踏破時間がどれくらいか、の2点しかチェックしていないと思われます。地形図に示された等高線なんてミミズが這いずった跡程度の認識でしょう。

 

いまどき山岳用GPSアプリを使っていない登山者はゼロに等しいでしょうから、近い将来全登山者のレベルが徐々に下がっていくと予想できます。紙地図でやっていたベテラン勢は年齢的に退出し始めているし、読図技術を継承する山岳会には誰も入りたがらない(わたしだって入りたくありません)。かといって自分で勉強して能力を伸ばす人も皆無。

 

近年山岳遭難がニュースで取り沙汰されているけれど、実はまだまだ序の口であり、数年後くらいから爆発的に遭難件数が上昇していく。そんな陰鬱な未来図が垣間見えるのであります……。

 

で、お前の読図能力は?

 

そうでした。人さまのことをどうこう言える立場ではなかった。せめて遭難件数を爆増させるザコどもの一人にならぬよう、精進していく所存です。まあわたしは救助要請をするくらいなら死を選ぶというスタンスですので、どっちみちその心配はないのですが。

ホンマ何度もしつこいけれども、八風谷はたいへん美しい沢であります。水音に癒されながら、

指導標を横目に見つつ、15:50、林道に降りてきました。あとは林道を歩き、国道に合流、駐車場までテクるだけ。車回収は

16:10でした。

 

9:05発、16:10着なので、7時間5分ですか。平日に気合い一発計画した登山としては十分でしょう。

 

2 コース所感など

序盤の登りに使った焼野尾根はけっこう難しいです。数年前に初めて当該尾根を下りで使った際は、陽が落ちていたこともあり、遭難一歩手前まで追い込まれたという苦い思い出が。尾根の形がセオリー通りではないため、登りでもところどころ首をかしげるか所があります。初見の際にはGPSが心強い味方となるでしょう。

 

稜線に詰め上げてしまえばもう難しいポイントはありません。ひたすら整備され尽くした極楽ロードをハイクすればよし。最後の八風谷ドロップは破線扱いのようですが、ペナントも密に巻かれているので注意力を研ぎ澄ませれば、初見でも大丈夫でしょう。不安な方はGPSをお使いください。

 

3 反省

やはり滋賀県側登山道は静かでよいですね。もう今後、時代は滋賀県IN-滋賀県OUTであります。三重県側ピストンなんてもってのほか。これからもループコースビルダーとして、変則的なルート開拓をしていく所存です。

 

さて次回予告。次はまたぞろ鈴鹿ですけれども、数年ぶりに孫太尾根を絡めたループコースとなります。反省の項で滋賀県側しか勝たんなどと書いておきながら、早速三重県側利用となりますが、そこはご愛敬。

 

おわり