霊仙山周回 ソノド~藪谷峠~霊仙山~コザト~リョウシ バリルートオンリーイベント | 強化人間331のブログ

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サイボーグである強化人間331の、つれづれ山行記録。
さしておもしろくもないのは、ご愛嬌。

タイトル長ない!?

 

長ったらしいタイトルの作品は駄作である。これは古今東西、不変の事実です。昨今の凋落著しいラノベ業界なんて典型的ですよね。お母さんが二段攻撃だとか転生したらなんたらだとか、タイトルで露骨に作品内容を説明するのはあまりにもセンスがなさすぎる。

 

センスのあるタイトルとは以下のようなものを言うのです。「ぼくがハリーズ・バーガーショップをやめたいきさつ」、「マーズ・ホテルから生中継で」、「世界の中心で愛を叫んだけもの」、「おれには口がない、それでもおれは叫ぶ」、「そして目覚めると、わたしはこの肌寒い丘にいた」などです。

 

ん? なんか全部長くない……?

 

ああ長いともさ! なんだったら全部海外SF小説さ! でもセンスあるでしょ? そこが凋落著しいラノベ業界との相違点であります。誤解を受けやすいので「世界の中心で~」を補足しておきます。一般的には日本の恋愛小説「世界の中心で愛を叫ぶ」の印象が強かろうかと思います。言っときますが「世界の中心で愛を叫んだけもの」の初出はアメリカのSFマガジン〈GARAXY〉誌で、1968年です。

 

要するに日本のほうがタイトルをパクっているのですね。これだけは声を大にして伝えておきたい。本作の作者である故ハーラン・エリスン氏の才能はまったく驚嘆すべき水準でありました。「世界の中心で~」はあまりに難解なため、編集者が勝手にいじって出版してしまったのですが、これに対して「わたしはご婦人や子ども向けに本作を書いていない。読者はほんの少しの努力で物語を楽しめるはずだ」と言い切り、編集者をクソミソにこき下ろして批判してます。カッコええなあ。

 

前述の「おれには口がない、それでもおれは叫ぶ」も氏のタイトルですし、「北緯38度54分、西経77度0分13秒 ランゲルハンス島沖を漂流中」なんてもう作品内容なんかどうでもいいほどのセンスであります(実際内容を全然覚えていません)。

 

最近ついにわたしも証券口座を開設し、個人投資家デビューを果たした関係でほとんどSF小説を読めていません。投資関係の本や経済系の本ばかり集中的に読んでおり、いささかグロッキー気味。久しぶりにSFを読みたくなってきますなあ。

 

さらに脱線するけれども、投資を始める前は個別株をやるつもりはなかったんですけど、幸か不幸か余剰資金がけっこうある。テンバガー(10倍株)などという夢のような話もある。テンバガーとまではいかずとも、2~3倍程度なら投資のタイミングにもよりますが、個人投資家でも拾える可能性は十分ある(と信じたい)。

 

2倍株ですよ2倍株! 投資リターンでいえば、2倍ですら100パーセントとなります(一般的な株式のリスクプレミアムは5~7パーセント程度)。グロース系の小型株を想定、1株あたりの株価が1,000円程度だとして、夢を託して5単元ほど買ったとする。購入価格は50万円ですね。これが2倍となれば百万円、瑞光みたいにテンバガーを達成すれば五百万円、MONOTAROみたいに100倍株ともなれば、なななんと五千万円ですよ!

 

いや、つーかそんなうまくいかんから(笑)

 

わかってますよ。それでも俺はやる! 個別株投資を俺はやる! SF小説のタイトルを借りれば、「おれには経験がない、それでもおれは投資する」となりますね。なぜ株式投資に挑戦するのかといえば、確率的に勝てる可能性が(ゼロサムゲームのギャンブルに比べて)高いからです。

 

株式の大当たりで得られる売却益は、(わたしのリスク許容限度から考えて)100万円を原資とすれば、テンバガーで1千万円です。いっぽう宝くじでこれに匹敵する額は2等となり、これも1千万円ですね。

 

次に確率ですが、上場している日本株は東証プライム、スタンダード、グロース合わせても4,000社程度ですよね(厳密には4,042社)。いっぽう宝くじは当選確率を公表しているので、それを引っ張ってきます。

 

株式投資の大当たり=1/4000=0.025% ……①

年末ジャンボ宝くじの2等当選確率=0.00004% ……②

 

いかがでしょうか(上記数字が公表されているにもかかわらず、なぜまだ宝くじを購入する人間がいるのかわたしにはまったく理解できません)。実感の湧かない方は0.025を0.00004で割ってみてください。――割りましたか? 面倒くさがった読者の便宜を図り、不肖わたくしめが計算しておきます。

 

①/②=625

 

株式の大当たりは宝くじに比べて、実に625倍の確率となります(まあどのみち低確率には違いありませんが)。しかもこれはまったくランダムに株式を買った場合のケース。実際は会社四季報でのファンダメンタルズ確認、その他スクリーニングをして絞るでしょうから、数字はだいぶ改善するはずです。

 

そもそも時期にもよりますが、テンバガー株は1株とは限りません。不景気から好景気に向かっていく時期ならば2~3社くらい出ることすらある。なんだったら2倍株なんざゴロゴロ出る。以上の考察から、わたしは宝くじなどのギャンブルよりも株式のほうが遥かに勝率が高いと判断しました。いかがでしょうか?

 

あれ、このアカウントって投資奮闘ブログだったっけ?

 

ではお待ちかね、山の話題へ移りましょう。

9:40 岐阜県時山集落の林道広場に駐車~10:40 高塚山~11:50 ソノド~12:10 林道着地~12:25 藪谷峠~12:55 谷山~13:15 霊仙山避難小屋(休憩35分)~14:10 霊仙山~14:50 林道着地~15:45 コザト~16:05 リョウシ~16:30 589メートルピーク~16:50 林道着地~17:20 五僧廃村~17:55 県道時山線ゲート~18:15 岐阜県時山集落の林道広場(車回収)

 

日時 2024年3月3日(日曜日) 

天候 そこそこの晴れ

メンバー 強化人間331(単独)

装備 軽量化装備(調理器具、雨具、食料、非常食、水3リットル)

距離 約22キロメートル

推定累積標高差 約1,200メートル

所要時間 8時間35分(うち昼休憩35分、その他小休止含む)

備考 バリルートを積極的に利用

 

1 またぞろ雪!

が、確か前日に降ったような幽かな記憶が。なにぶん1か月以上も前の山行ですので、メモが頼りになってまして。そんな昔のこと覚えてるはずないですからね。

 

この日も寒くて起きられず、ダラダラしているうちにあっという間に8時台。目的地も定まらないままフラフラ出発し(まるでわたしの人生のようですね)、気づけば鈴鹿北部でした。困ったときの鈴鹿北部であります。自宅からジャスト1時間、この近さはまことありがたい。

岐阜県時山集落から林道を少し上がると、ご覧のような大広場があります。駐車スペースとしてはおあつらえ向きですね。岐阜県の田舎にはこのように、誰の土地か不明だけれども自由に停められるスペースがあちこちに点在してます。土地不足とはなんだったのか……。準備をして、9:40スタート。奥に写っているハシゴからとりつきます。

道中はひたすら尾根を詰めるだけですのでカット。過去に何度も本ルートは掲載しているので、どうしても詳細を知りたい方はこちらの記事をご参照ください。いないとは思いますが……。10:40、高塚山(730メートル)到着。この時期にしてはまあまあ積もってますが、数センチメートル程度。スノーシューの出番はなさそうです。

高塚山~ソノド間は大きくV字に切れ込んでいます。行きならそれほど気になりませんが、本ルートを下山に使うとこれがムチャクチャしんどい。疲れ果ててるところへ登り返しですからね。ソノドへは10回以上訪れてますが、上記仕様により下山に使ったのはわずか2回程度。その2回でほとほと凝りました。

11:50、ソノド(925メートル)着。この道標は近年作られたようです。しかしこれ、ホンマに合ってんの? ソノドの当て字が宋ノ堂? ホンマ? カッコ書きの霧ヶ峰に至っては初耳です。ソノドはソノドというカタカナ書きだからこそ伝奇ロマンを掻き立てるのであって、漢字にするのは無粋ですなあ。

ソノドまでは比較的道は明瞭なのですが、ソノド以北は〈山と高原地図〉に記載があるものの、ほぼバリルートです。同地図では稜線伝いに破線が引っ張ってありますが、あれを真に受けてはいけません。すさまじい藪地獄を漕ぐ破目に陥ります。

 

それを避けるには、稜線に並行して走る林道へ着地するという裏技を駆使する必要があります。

この手作り指導標も最近つけられたようです。この通りに鹿よけフェンス伝いに下っていくと、林道の終点が右手に見えるはず。あとはフェンスの破損しているか所を見つけてなんとか向こう側へ乗り越してください。林道をタラタラ歩くだけで藪谷峠へ自動的にたどり着けます。

 

一応補足しておきます。このソノド~林道ルートは指道標がつけられるはるか以前から、わたし一人で構築したオリジナルルートであります。指導標を作った人物が、過去のわたしの記事を読んだ可能性すらある。

 

林道を経由しない場合は先述した通り、藪地獄を経なければならない。本ルートは藪をなんとか回避しつつ、岐阜県側から快適に霊仙山を目指そうという著者の弛まない努力の結晶なのですね。自画自賛を臆面もなくやらかしてしまうほど、本ルートの構築に全力を傾けたのだとご理解ください。

12:10、林道に着地しました。この林道はいったいなんのために通されているのか、使用用途がまったく不明であります。地方は公共事業などの財政出動でしか潤わないと言われてますが、そうした税金支出の一環なのでしょうか。用途がなんだったにせよ、ありがたく利用させてもらいます。

12:25、藪谷峠着。稜線通しで歩くと(藪との格闘により)1時間は覚悟せねばならないところを、わずか15分程度で着いてしまった。本林道は鈴鹿北部のハイウェイといっても過言ではありません。

ここからもしばらく林道を歩きます。前掲写真の正面の尾根が稜線通しの本道なのですが、例によってすさまじい藪なので別ルートから霊仙山を目指します。林道は影になっているせいか積雪が豊富で、幻想的な雰囲気でした。

とりつきは写真正面の支尾根から主脈に至ります。今回は手前の沢をそのまま詰めました。このあたりは傾斜もなだらかで、どこでも適当に歩けます。藪が濃いのは主脈の一部分だけのようです。

沢を詰めていきます。やっぱり雪があると映えますなあ。4月になって低山からはすっかり雪が消えてしまいました。日本アルプスへ行けばまだまだ堪能できるんですけど、4月でも3,000メートル級の気象条件は十分地獄ですからねえ。

12:55、谷山(993メートル)着。霊仙台地からコルを隔てた位置にある、ひっそりしたピークです。近年物好きなフリークが谷山へのルートを整備してくれたようで、真新しいペナントや指導標があった――はずなんですが、根こそぎなくなってました。

 

鈴鹿北部は行政の手が回っておらず、あちこちに有志がボランティアで作った指導標があるのですが、いつの間にか落ちていたりなくなっていたりする。悪意ある登山者が〈バリルートに案内は不要〉という信念のもと、撤去しているのではないか? ――という妄想を恐怖譚仕立てで書いたことがあるのですが、もしかしたらホンマにそうなのかもしれへん……。
谷山は樹林帯に囲まれて眺望ゼロ。代わりに雪のおかげでなんとなく北欧のような雰囲気です。行ったことないけど。
 
谷山から尾根を下り、霊仙台地とのコルへ降りていきます。カレンフェルトの岩がゴロゴロしており非常に歩きにくいのですが、ペナントは巻いてあるのでうまこと追尾してください。
霊仙山の一般道と合流すると、なんとまあこんな恐ろしげな警告が。滋賀県側からのメインルート、梓河内道が通行止めである由。確か別の谷道もずっと通行止めになってた気が。滋賀県は税収が乏しそうだし、山なんか整備してる余裕はないようです。
 
税収がなくても際限なく国家は借金をしてよい、という経済理論があるようです。人呼んでMMT(Modern Monetary Theory:現代貨幣理論。な、なんだってー!? →それはMMRやろがいっ!)。 MMTの主張は以下の通り。
 
国債を自国通貨建てで発行している限り、デフォルトに陥ることはない(日本がよい例である)。したがって国家は不景気にどんどん国債を発行し、経済を支援することができるし、それが義務ですらある!
 
……補足しておくと、中央銀行が金利を調整しつつそれを行えばインフレも起きないのだそうです。現に日本はここ10年以上、財政支出を際限なく拡大し、日銀はマイナス金利どころかETFやREITといった金融商品すら買い付けはじめ、天文学的なお金が市場に放出されていたけれども、消費者物価指数はせいぜい外的要因のコストプッシュインフレが起きた程度。内発的なインフレは全然起きていない。てことはMMTの言う通りじゃね? と言い始める輩がチラホラいるようです。
 
みなさんどう思われますか? 申しわけないけれども、わたしは非常に懐疑的です。たとえMMTが正しいとしても、そもそも国が財政出動して盛り上がる経済ってなんでしょうね。コロナ禍のような緊急事態ならともかく、景気というのはもともと上下するものでしょ。そのたびに国が財政出動って……。興味のある向きは参考文献をあげておくので、ご一読ください。
 

作品名 「国の借金は問題ない」って本当ですか? ~森永先生! 経済ど素人の私に、MMTの基本を教えてください。

著者 森永康平

ジャンル 経済学

おススメ度 ★★★★(5点満点中4)

一言コメント いささかバランスを欠くが、前提知識がほとんど要求されない点は評価

 
まだまだわたし自身も勉強を始めたばかりですので、今後評価は変わるかもしれません。がしかし、最強の自己責任論であるリバタリアニズムを座右とする著者としては、そもそも国の関与を前提とするケインズ経済学をバックボーンに持つMMTを手放しで称賛することは一生涯、ないでしょう。国の借金、現在1,000兆円。どうなりますやら……。
霊仙山を目指してもうひと踏ん張り――の前に、空腹が限界に達したためランチです。写真を撮り忘れたのですが、霊仙台地の北東には避難小屋があります。かなりしっかりした造りでして、強風の吹き荒れる冬季はまことに助かる。
 
ありがたく内部で快適なランチとしゃれこみました。とはいえ十分室内も寒く、吐く息が白い靄となって立ち昇ってました。電波が入ったのでダラダラマッチングアプリあるあるの動画を視聴しながらラーメンをすすります。やっぱり冬季はラーメンに限る。→この手に限る。byジョン・メイトリクス。
 
13:50、出発です。この時点でまだ下山ルートを決め切れていないという信じがたいほど杜撰な山行。とりあえず山頂まで行ったら天啓が得られるのではないかという希望的観測を胸に抱き、強風の吹き荒れる霊仙台地を突っ切ります。
経塚山の銘板はエビのしっぽで覆われてました。なんでここ、いつもこうバカみたいに風吹いてんですかね? 穏やかだったためしがない。
しかしまあ、何度来ても霊仙台地のスケール感には圧倒されます。とても1,000メートルそこそこの景色とは思えません。
疑いようもなく、霊仙山は冬がベストシーズンですね。ヤマヒルもいない、積雪もべらぼうに多いわけでもない、澄み渡った空気に白一色の白銀の世界。たまらんぜよ……。
霊仙山本峰が目前に。積雪は時期も時期なので少なめですが、山の骨格が浮き彫りになっていて無骨な雰囲気。時間も遅かったせいか人もほとんどおらず、遠くの稜線に1~2人、いる程度でした。
最後の登りをやっつけにかかります。写真左側は岩が軒並みエビのしっぽを形成しており、蔵王のモンスターを彷彿とさせます。なんとモンスターを見るには滋賀県で十分でありました。
14:10、霊仙山(1,098メートル)着。とにかく風が強く、長期間の滞在は不可能です。写真撮影のためにグローヴを外すのですらキツイ。
霊仙山からも雄大な景色が拝めます。撮れ高は十分だし、このまま谷山までピストンして県境稜線を辿るいつもの定番ルートにしましょうかね。
などとのんびり構えていたら、あにはからんや天啓が下りてきてしまったのですよ! リョウシ・コザトのバリルートを使って下山したらどうか?
御池岳ですね。鈴鹿北部は伊吹山、霊仙山、御池岳と山頂が平坦で広い山が多いですね。甲乙つけがたいのですが、秋は御池岳、冬は霊仙山が僅差で勝るでしょうか。
伊吹山ですね。まあこの子はホンマに目立つ。こうして見ると非常に裾野が広い山であることがわかります。
 
さてリョウシ・コザト稜線はなじみのない読者が大半でしょうから、下記にてお示ししておきます。
本ルートはバリルートではあるものの、一部の好事家によってコンスタントに歩かれてはいます。ペナントもそれなりに充実しており、GPSさえあれば踏破は十分可能。核心部は霊仙山直下の等高線が目詰まりを起こしているポイントです。ここはまあ大概ですわ。
核心部を見下ろした1枚。尾根が異様に広く、もはやこれは尾根と呼べるのかどうかも怪しい感じです。メモにも「ドロップ斜度キツイ、10分くらいで尾根は平坦に、主稜線に着地するの気を遣う」とありました。写真奥に写っている顕著な尾根に着地せねばならないのですが、これけっこう難易度高いですよ。
 
嘘やん、一直線に降りたらええだけやん、とお思いでしょう。この手の崖に近い地形は安全に下るだけで精一杯でして、現在地なんか二の次です。気づくと大幅に逸れてしまっていた、なんてことはざらに起こる。写真やや右よりの樹林帯に沿っておりていけばまず大丈夫でしょう。木々にはペナントも巻いてあります。ここは短いながらも肝を冷やしました。
崖エリア、木々に巻かれたペナントです。融け始めた雪と水分を吸うと粘土質になる独特の地質で足場はこれ以上ないほど悪く、斜度も相まってまあ滑る。わたしのネタも裸足で逃げ出すほど滑る。本ルートを辿る際は軽量化された装備で行かれるのをお勧めします。
だいぶ降りてきました。これは登山道なのでしょうか。ご覧の通り道はありませんので、安全に降りられるラインを見定めてください。こういうのがバリエーションの醍醐味でもあるのですが。
主脈に着地しました。ホッと一息。ここからは嘘のようになだらかになります。そのまま尾根通しに降りていけば、
14:50、林道に出ました。霊仙山の胴回りにこうして林道が走ってるなんて、つい最近まで全然知らなかった。例によって用途は不明ですけどね。
 
ここはコルなので対岸の尾根に登ってもいいんですけど、林道をしばらく道なりに歩いたほうが無難です。どうせまた似たようなコルと合流するので、尾根を無理に歩く必要はありません。このへんは林道の記載が現場と一致していないので、地形図をマジメに読めば読むほど泥沼にはまっていきます(1敗)。どういうことかというと、
地図にはないけれど、ご覧のように尾根の側面を這うように林道がまあ1本まあ1本と走ってるのですね。尾根がワヤになってしまった、林道もいかんわ、歩きやすすぎるもん! →まあ1本まあ1本と! たいがいにしとかないかんよ! 今晩のおかずがワヤになってまった。鎌倉さんもいかんわ。うますぎるもん!
鎌倉ハムのCMパロディはこれくらいにして、雑然とした尾根をひたすら南下します。そのどん詰まりが
消えかかってて見えづらいんですけど、コザト(829メートル)ですね。この頂をご自分の足で踏まれたことがあるのなら、遠慮なく鈴鹿北部マニアを名乗ってよろしいかと思います。それくらいものすごい僻地であります。
 
コザトからは尾根が西へ直角に振っていますので、間違えないよううまいこと降りてください。リョウシに至る直前、
なにやらお団子とキャラもののぬいぐるみがお供えされてました。こういうのホンマ怖いんでやめてもらえませんかね……。
16:05、リョウシ(722メートル)着――のはずなんですけど、絶対! このピークには過去来たときは絶対山頂を示す銘板が設置されてました。跡形もなくなってます。これはもはや意図的に撤去されたとしか思えない。それが設置したのと同一人物であればなんら問題はないんですけど、先述した〈バリルートこだわりおじさん〉の仕業だとしたら……?
わたしの被害妄想でない証拠を提出しておきます。→仮にきゃつが6人めの補欠であれば、証拠として浦飯かイチガキ戦の若い女の死体を提出してもらう! by死々若丸。これは約1年前にリョウシのピークを踏んだ際に撮影したもの。ね、ホンマだったでしょ。これがないとますます本エリアの山岳名が一般に膾炙しにくくなってしまう。銘板の復活求む(いや、お前がやれよ)。
 
何度も似たようなことを書いて恐縮だけれども、ホンマこの界隈はこの世の果てのような雰囲気であります。両サイドを山脈に阻まれ、登山者もめったに訪れない人跡未踏のエリア。サンカにでも出くわしそうな塩梅です。
実はこのあたりフクジュソウの群生地として密かに名が轟いておりまして、一部の好事家が足を運んでいるようです。この日はまだつぼみでしたが、
生えてるわ生えてるわ。足の踏み場もないほどです。あまり記憶も定かではないんですけど、リョウシから下山し始めて割とすぐに群生地があったような。
あともう少し遅ければ満開に出くわせたんでしょうけど、意識してたわけじゃないし、しょうがないね。こうした光景を目の当たりにして、今年はフクジュソウをちゃんと見に行くぞ! と決意したわたし。結局これが最初で最後でした。婚活の予定を土日両方に入れたりしてたので、山へ行けず鬱憤がまあ溜まること溜まること。
 
ピーク時なんてあなた、土曜日午後1人、夜1人、日曜日午後1人、夜1人で計4人に会ったりしてましたからね。心身ともに疲弊し、翌日の仕事の辛いことよ……。率直に言って女性と会ってるより山へ行ってたほうが遥かにリフレッシュできますね。これもう結婚せんでもええんと違うか
16:30、589メートルピーク。このあたりカレンフェルトの岩が点在しており、非常に歩きづらい。尾根芯に岩石群が固まっていることもあり、うまいこと巻いたりして回避しました。
 
さて本ルート第二の核心部に近づいてまいりました。場所でいえば地形図の通りです。
「このあたり崖」と表現したあたり、等高線の目詰まりがえらいことになっております。なんだったら林道直下は掛け値なしに崖の記号がついてますね。したがってその記号を避けるよう、林道着地は尾根の東側へ巻きながら降りてください。
実際の現場。伝わらんなあ。ものすごい斜度です。とても直接降りられず、大きく巻きながら少しでも角度を緩和していきます。
これはだいぶ降りてきてから見上げた図。これを無傷で降りたとは、わがことながら拍手喝采ですね。短いながらも本ルートのもっともクリティカルな部分でありました。ここを下りにとりたくない方は、逆回りにしたらよかろうかと思います。下山ルートにするのはお勧めしません。16:50、林道着地でした。
ちなみにこれが登山口の様子。登山口というか、単なる林道と尾根の合流点にすぎません。こんなところから登ろうと考える人間がいることに驚きを禁じえません。さてあとはもうひたすら林道を歩くだけです。
17:20、五僧峠。ずっと電波が入らず、退屈な車道歩きが延々と続くのには閉口しました。格安スマートフォンに変えたいのですが、こうやって山中ずっとネットに接続しているとあっという間に制限を超えてしまうという話じゃないですか。ずっとバカ高いキャリアに支払い続けているという情弱でございます……。
時山多賀線は異様なほどに高規格な林道であります。ひたすら、ただひたすら歩き続け、林道ゲートには17:55、さらに駐車場までまだ歩き、18:15、車回収でした。いやつーか、車道歩き1時間25分て……。
 
9:40発、18:15着ですので、8時間35分ですか。5分の1近くが車道歩きの山行を登山と呼んでよいものかどうか不明ですが、そこそこ奮闘しました。疲れましたわホンマ……。
 
2 コース所感など
所感つーか、全線ほぼバリルートなのでまともな登山道は期待しないでください。その代わりほぼ無人であることは保証されています。人嫌いの山屋――もはやそれが山屋を名乗るための要件ですらある――には堪らないでしょうね。
 
ただし登られる際はGPSは必携、かつ基本的な読図はできないと厳しいでしょう。腕試しにどうぞ。言うまでもないでしょうけど、夏場はヤマヒル狂乱の場と化しますので、通行は冬季オンリーです。
 
どなたの記録だったか失念してしまいましたが、本ルートを夏に歩いた猛者がいたのですね。彼は所感をこう述べていました。「このコースは寒い時期に歩かれているようだが、やっぱりその時期が適期だと感じた」。行間を読んで意訳すれば、「ヤマヒルが死ぬほど出た」。まあそういうことです。
 
3 反省
今回リョウシ稜線を初めて下山ルート起用しましたが、やはり下りのほうが遥かに難しいですね。著者の登山技術が高かったため(えっ!?)無傷で済みましたが、最後の林道着地はまあ往生しました。
 
林道~リョウシあたりはほぼ道もなく、未開拓の尾根となっております。整備された登山道に倦んだ人向けの、マニアックなルート。気が向いた方はフクジュソウ目当てに来年あたり、登ってみてはいかがでしょうか。
 
さて次回予告。またぞろ雪が多めに降った3月上旬、今年最後の新雪ラッセルになると踏んだわたしが選んだ山域は……? はい、例によって裏伊吹ですね。未踏の尾根を使って北尾根へ詰め上げてみましたので、一風変わった内容になるかと思います。乞うご期待。
 
おわり