ソノド~霊仙山 フリー化 黎明編 | 強化人間331のブログ

強化人間331のブログ

サイボーグである強化人間331の、つれづれ山行記録。
さしておもしろくもないのは、ご愛嬌。

霊仙山へ!

鈴鹿山脈でも最北部に位置するのが霊仙山。上部は開放的で高原然としたすばらしい景観を約束してはくれるものの、下部の樹林帯にほぼ無限とも思われる数のヤマヒルが生息しており、シーズンインはむしろ晩秋から。したがっていまの時期くらいからが適期であります。

しからば霊仙詣でをしないでか! という流れになりますね(なるか?)。ところで私的なお話で恐縮だけれども、わたしは登山をやる理由としてダイエットが大半を占めております。比率で表せば、

ダイエット 6
温泉 4
登山としての楽しみ 0


となりますね。上記比率からすぐわかる通り、登山はまったく苦痛以外の何物でもありません。ダイエットのために毎度8時間オーバーの山行を強制されているのもそうした意識に拍車をかけてるふしがあり、たいへんな悪循環に陥ってるのですね。

 

ではやめればよかろうというご意見はもっともですが、独身である以上体型はスリムに保っておかねばならぬ。それが功を奏しているかどうかはこの際別問題です(いまのところさしたる戦果はあげてませんが……)。近い将来素敵な娘さんに出会ったおり、無様に太っていてはものにできたはずのチャンスを逃す可能性がありますからね。

そこで問題になるのが霊仙山登頂コース。滋賀県側から無数にルートは伸びてるけれども、どれも短めのお手軽コースばかり。これを素直にピストンしていてはとうていダイエットなんかおぼつきません。そこでわたしは岐阜県側から登るロングコースを開発しております。詳細は下記の通り。

ソノド登山口~高塚山~コル~ソノド~林道シフトピーク~林道終点~薮谷峠~名もなき尾根~名もなきピーク~谷山~柏原コース合流点~8合め~避難小屋~経塚山~霊仙山(本峰)~霊仙山(最高点)~名もなきピークまでピストン~谷山稜線~旧鳥ペナント~634ピーク~登山口~車道歩き~ソノド登山口(車回収)

岐阜県側の時山集落から霊仙山を目指すだけでなく、帰り道をべつのルートにすることによりループしないと死ぬ病(※前回の山行記録参照。読まなくていいよ)にも配慮。なかなか野心的だと自負してます。

ところが1年前に完成させた当コースは、1か所だけ致命的な弱点がありました。薮谷峠から取りつく尾根です。登れなくはないけれどもものすごい藪で、ここがあるばっかりに一般的でないコースのまま、2軍落ちしてたのですね。そこで今回の目玉は

ソノド~霊仙山コースのフリー化!

であります。フリー化とはクライミング用語でして、自然のままの壁を道具を使って登れるよう整備するという意味。語感がかっこいいので拝借しました。ずばり例の藪尾根を回避し、どうにかずるできないかというのが趣旨なんですね(なんかダサいな)。あそこさえなければ誰でも入れるメジャールートに昇格できるはず(いや、無理やろ)。果たしてフリー化なるか。

①早出!

のつもりが、めずらしく土曜日をフル活用したうえ、前回のしょうもない記事を更新したために寝たのは深夜4時すぎ。起きられるはずがありません。結局7:55発といういつも通りの展開に。本当はべつのルートを考えていたのですが、例によって時間の都合上鈴鹿北部となりました。フリー化とかいってかっこつけてますけど、実態はしょせんこの程度であります。

8:55ごろ現地着。登山口がちょっとわかりづらいので、後発のために説明を。ご覧のようにU字にカーヴした林道の上に登山口があります。車は路肩にスペースがあるのでそのへんに停めればいいでしょう。公共交通機関で登山してる人は諦めてください。こんな辺鄙な場所にはそうしたサービスは皆無です。準備をし、9:05発。

このはしごが取りつきになります。林道を上がって左手にありますので、割と目立つはず。道標等いっさいないのであしからず。こいつをよじ登れば踏み跡、ペナントはちゃんとありますので、道なりに。

10分も歩かないうちに鉄塔にぶち当たります。小さな赤い道標がくっついてるのわかりますでしょうか。ここは左手に巻き道がついてまして、そっちに引っ張られやすいためわざわざ警告してあるのですね。そのまままっすぐ急登の尾根をたどってください。この特徴的な道標はこの先もちょくちょくお目にかかります。

下部はわかりやすい尾根道。ペナントも古ぼけてはいますが巻いてあります。ざくざく飛ばし、

10:10、本日第一のピーク、高塚山(730メートル)着。木々に囲まれた実に冴えないピークであります。

鹿よけネットさえなければ眺望はそこそこ。さあどんどんいきましょう。

序盤でも出てきた例の手作り道標。書体、規格などが統一されているため、同一人物の手になるものでしょう。実は烏帽子岳界隈でも見かけました。鈴鹿北部、影の功労者といったところでしょうか。たぐいまれなるボランティア精神です。

高塚山以北からはコルへ向かって下っていきます。上部は尾根の幅が広く、西へ分岐する支尾根もあるので迷い込まないよう気をつけましょう。降り始めはペナントも少なめです。幸い進行方向は真南ですので、方角がそうなっていればOK。

 

最近アナログのコンパスが機能しなくなったので、もう新しいの買うのやめました。端末に最初から入ってる電子コンパスを使ってますね。はっきり言ってめちゃくちゃ使いやすく、いままで意地を張ってアナログでやってのたが阿呆みたいです。だって起動した瞬間、自分の向いてる方角がわかっちゃうんですよ。便利ですなあ。

10:30、高塚山・ソノドのコルに。ここからはソノドまでノンストップで登り続けます。前回靴を新調したのですが(1品めは盗まれたので2個買ったけれども)、今回もかかとに多少の痛みが。靴擦れというほどではないものの、快適とは言いがたい。早く柔らかくなってほしいものです。

登りが始まりました。今回も快晴、晴れ男の本領を発揮してしまった。ところでこの「晴れ男」とか「雨女」とかいう尊称(もしくは蔑称)、みなさんどう思われますでしょうか(まあたなんか始まったな)。使っといてなんですけど、わたしははっきり言って大嫌いですね。なんとなく血液型占いに通じるところがあるので。

わたしは占いやら風水やら代替医療やらについて一家言がありまして、こうした非科学的なコンテンツに対しては嫌悪を通り越し、もはや憎しみに近いものを抱いてるのですね(強固な無神論者なので)。とくに代替医療(オルタナティヴ医療とも呼ばれており、英単語を使うことによって意味を悟りにくくする意図があるのだとわたしは邪推してます)。巷ではがんが気功で治っただの妙な祈願で治っただの、針灸で治っただのいう怪しげな商売が横行してます。

がんはご存じの通り、体内の細胞が分裂エラーを起こし、無制限に増殖して腫瘍を形成する病気です。したがって外科手術や抗がん剤投入による寛解を目指すのがもっとも治療可能性が高い。どう考えてもハンドヒーリングやありがたい僧侶の祈祷が功を奏する分野じゃない(これはがん以外の疾病にも当てはまります)。

この手のいかがわしい商売をやってる連中は代替医療で治る! だから西洋医学お得意の切った貼ったをやったり、髪の毛が抜けるほど副作用の強い抗がん剤を投与する意味なんかない! とかなんとか唾を飛ばしてますね。よろしい、こうした主張を頭から否定せずに真剣に考えてみましょう。

山の話題からどんどんそれていってるので、お急ぎのかたは本編だけ読み進めていってください。だいぶ登ってきました。尾根は顕著になり、気持ちのよい稜線歩きが楽しめます。人っ子一人おらず、広大なフィールドを独占。

まず科学的根拠から。患部に手をかざして人間に内在する(と主張されている)オーラとやらを照射するとあら不思議、がんがきれいさっぱり消えちゃった! という治療がもし有効であれば、手のひらからなんらかの放射線かそれに類するしろものが出てるのを観測できるはずです。

もちろんそんなものは存在しません。せいぜい出てるのは人体が発する赤外線くらいのものでしょう(じゃあそれが有効なんじゃないのと思われるでしょうが、赤外線なんかみんな発しております。ですからその論法でいくと事実上、誰もが潜在的オーラ治療師であるという供給超過状態になってしまう。地球上すべての人間が提供できるサービスにお金を払う消費者がいるはずはないので、価格はゼロにまで低下しますね。したがって赤外線を治療根拠にするとオーラ治療師は失業するでしょう)。

そうなりますとよく耳にするように、科学的観測では識別できない人知を超えた〈なにか〉が効果を発揮してるという話になります。もうこの時点で相手にする必要はないのですが、あえて一歩踏み込んでみましょう。人知を超えたスーパーナチュラル的能力は、いったいどうやってがんに作用するんでしょうか。いやしくも代替「医療」と名乗るのであれば、なんらかの作用機序があるはずでしょ。

ところが詳しいメカニズムにお目にかかることはない。口先だけの適当な説明なら誰だってできますよ。俺のオーラ力(ちから)は高まってるんだとかいう「聖戦士ダンバイン」的なたわごとならいくらでもね。わたしのような懐疑論者が求めてるのはそうした無価値な主張ではなく、実験と追試によって確かめられた確固たるデータなのですよ。

外科手術や抗がん剤、放射線治療は技術や知識の積み重ねによって、一定の効果があると医療関係者一般の同意を得ているからこそ、どの病院へいっても同じ治療を提案されるわけです。これが科学であります。疾病の原因を究明し、効果のある治療を模索し続けるという地道な試み(臨床医とはべつに研究医という疾病対策の専門家がいますね)。

もはやこれは山行記録なのだろうかというみなさんの疑問はもっともです。11:20、ソノド(926メートル)登頂。代替医療批判をどのように落着させられるかいまから戦々恐々としております……。

科学的だろうがそうでなかろうが、代替医療は実際に治療効果がある、だって治った人がこんなにいるんだから! という(大いに怪しい)宣伝文句がまるっきり嘘っぱちでないとしても、そうした事例はごく少数にとどまるでしょう。プラシーボ効果、自然寛解などオーラ力なんぞを持ち出すまでもなく、治癒した理由を見つけるのはたやすい。

自然寛解についてはさらに突っ込んだ議論が可能です。この現象の確固たるメカニズムは知られていないのですが、たとえば身体が細胞の分裂エラーをみずから是正し、がん化自体をキャンセルしてしまうと考えてもあながちまちがいではないでしょう。

 

がんはがん抑制遺伝子、すなわち分裂回数が適正に保たれてるか監督する遺伝子が破損した場合起きますので、その破損か所がなんとかリカーゼとかのDNA修復酵素で修理されれば、表向き手術なしで治るはずです。

ソノドからは緩やかに下っていきます。この下りも尾根が振ってるので注意してください。1年前にはなかった真新しいペナントがひるがえってますので、それにつられていけばOK。

いっぽう代替医療にすがる人というのは西洋医学に見放され、もう死を待つばかりの患者さんであることが多い。わらにもすがる思いなら怪しげな商売もメシアに見えるのでしょう。つまり代替医療にかかったときはもっとも病状が重い状態であると推測されます。

そこで自然寛解が起きたのならどうでしょう。あたかも代替医療が奇跡的な効果を発揮したように見えてしまうのではないですか。だって患者が門をたたいたときにはこれ以上悪くなりようがないんですから、あとは亡くなるか回復するかのどちらかでしょ。

 

亡くなれば死人に口なしで代替医療を批判する意見は出てきませんし、回復すれば〈奇跡の声〉としてホームページに記載され、新たな犠牲者を呼び込む触媒になる。この流れは詐欺師にとって好循環を形成しており、このへんにいつまでも代替医療が駆逐されない根源があるのかもしれません。

さて落ちをどうやってつけようか非常に悩みながらも、本編は序盤の佳境に入ります。ソノドからいったん下ったのち、登り返したピークに11:40着。この地点が林道終点へシフトする本ルートのかなめであります。西に伸びる鹿よけネットに沿って降りればいいんですけど、まずはネットの反対側へ。

ほんの1分ほども進むとネットがたわんでるところがあります。

こんな感じで倒壊してるわけ。言っときますけど反対側へいきたいがために、わたしが破壊行為を働いたんじゃないですからね。ここ1~2年ずっとこうなってるのです。ありがたく通過し、ちょっと戻って尾根沿いに西へ下降すること1~2分、

じゃーん! 誰がなんのために使うのかまったく謎なんですけど、ともかくソノド界隈につけられた林道に11:43、シフト完了。この林道へ降りられるかどうかで当ルートの難易度は激ムズにまで跳ね上がりますので、いかれるかたは参考にしてください。

 

以上見てきたように、代替医療はなんの科学的根拠も持たない悪質な詐欺でした。わたしがなぜ執拗に攻撃するのかというと、この詐欺が本来治っていたかもしれない患者に正統医療を受けさせず、なんの効果もないオーラ力によって間接的な殺人をやってるからです。

 

本事例のように非科学的なコンテンツはただ国民の知能水準を低下させるだけではなく、潜在的な殺人にまで発展している。われわれは代替医療の罪深さを改めて認識し、占いや風水などの有害なコンテンツも逐次、排除していこうではありませんか!

 

ところで理屈っぽい男は嫌われるそうですね。もしかしていまみたいにガミガミやってるからモテないのでしょうか。だとしたら――。

 

代替医療、許すまじ!

(こうして非モテ負の連鎖が形成されるのであった……)

どうにか落ちらしい落ちがつけられました。ああよかった。林道からは西側に大きく開けており、帰り道に通る予定の谷山稜線が見渡せます。その奥には霊仙山も。

ところでなぜわざわざ林道にシフトするのかというと、稜線は途中からすさまじい藪になってとても通れたものではないからです。いけないことはないけれども、未整備の登山道がどれほどのしろものかを思い知るだけでしょう。おとなしく林道に降りたほうが賢明です。

テクテク歩くこと数十分、これが稜線コースの出口です。一応ペナントは巻いてあるのでここが登山道であるのはわかりますが、しょっぱなでこんなありさまなのですよ。本道がどうなってるのかは推して知るべし。

そして12:07、ここは藪谷峠。地図には記載こそあるものの、いったいどれほどの人間がここを訪れてるのか。有史以来で数えても片手に余るのではあるまいか。

 

いらんこと書きすぎたせいでいい加減長くなりすぎました。お説教パートがつまらなくてすいません。ただどうしても代替医療については徹底的に攻撃しなければならない理由があったので、この場を借りてやらせていただきました。

 

次回は問題の藪尾根を辿らないよう、新たな架橋ルートを模索する予定。フリー化なるか!? 乞うご期待。

 

つづく