ロングキックについて。 | 徒然に。

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 以前何度か書かせていただきましたが、ロングキックについて書きたいと思います。

 前回、指導した市内最弱になったこともある代6人中2人が、関東リーグ所属クラブチームにセレクションで合格したことを書きました。

 そして2人とも、ロングキックを武器にしていました。

 特に1人の子はセンターバックだったのですが、ワンステップでフォワードに合わせるドンピシャのロングフィードをバンバン蹴っていました。そのロングパスが認められてセレクションに合格したのだと思います。

 私は小4まではドリブルばかりを練習させています。コーンドリブルやボールコーディネーション、ドリブル鬼ごっこやフェイント練習、そして1対1、とにかくドリブルドリブルです。

 ですが小5からガラッとメニューを変えるようにしています。

 ここからは3対1やポゼッション練習、そしてキック練習を中心にやるようにしています。

 3対1については↓で書いています。

 これはバルサカンデラでやっている3対1の練習をアレンジしたものです。けっこう成果がでると思います。

 おもしろいと思った方はやってみてはどうでしょうか。

 

 

 ところで「ドリブル重視」か「パス重視」かというのは、熱い話題になりやすいようです。

 私はその点、上記したように「小4まではドリブル重視、小5からはパス重視」でやっています。

 本質的な狙いとしては、自分の空間での1対1で優位に立てれば、パスもドリブルもできる。そのためにはまずドリブルを磨いて、その後はパスの選択肢を付け加える、という形です。

 もうちょっと違った観点としては、人間には発達段階があると思うのです。

 まずは自分のことということで、いろいろなボールタッチができたほうがいいかなと考えています。

 次は目の前の相手を倒すことです。それはドリブルやフェイントを磨くことだと思います。

 その次の段階が味方を考えたプレーです。そこでパスの要素が入ってきます。

 私はコーチをやってきて、小5くらいから実感としてパスに切り変えるのがスムーズにいく気がしています。もちろんドリブル禁止ではありませんが、パス回しの練習を増やすと、自然と試合でもパスが多くなってきます。

 パスといっても、味方ではなくて相手を見てのパスです。だから本質的にはドリブルもパスも変わりません。現象としてパスが増えるという感じです。

 ただ、強豪チームでは小3くらいからパス重視でもできるのかもしれません。

 

 それでロングキックです。

 私はまず大前提として、↓トニクロースの言うようなことを指導しています。

 「つま先を外に向けて、足裏を後ろに向ける」です。

 

 

 このことをわかりやすく言っているのが、日本初のプロキックコーチの上船さんです。

 

 

 さらにポイントとして、上半身の連動があります。

 右足で蹴るならば、左腕を上に挙げます。

 フォロースルーも大事だと思います。

 練習のときは、右足で蹴るならば大げさに軸足の左足よりさらに左に着地するように指導しています。

 ↓34秒のレアルマドリード、バルベルデのような感じです。

 

 

 キックで使う最重要筋肉は腸腰筋と大殿筋だと私は考えています。

 そしてどちらの筋肉も、身体の中心から左右に斜めについています。

 

腸腰筋 に対する画像結果

 

 

 

大殿筋 に対する画像結果

 

 ざっくり言えば、腸腰筋と大殿筋を使ってボールを蹴っているのならば、足は真っすぐにはでないはずなのです。

 どちらかといえば、振り足の軌跡は回転運動に近くなるはずです。

 そう考えると、蹴り足が例えば右足ならば、着地が軸足の左足より左にあるというのは回転運動に近いのだと思います。

 現にバルベルデもそうやって蹴っていますし、レアルマドリードの地球上でサッカーが一番うまいかもしれない人たちは、だいたいがそのような蹴り方をしています。

 

 このようなキックを身に着ける方法として、私はその市内最弱の代を教えていたときには「居合切りキック」と名付けてやっていました。

 蹴り足を右足とします。

 ボールの位置から極端に左側に助走1歩で蹴れる位置に立ちます。

 姿勢としては、まるで右の腰に刀が鞘に収まっていて、左手で刀の柄を持っている感じです。練習は極端な動作をやった方がいいので、そのときは背中を蹴る方向にできるだけ向けるようにします。

 1歩の助走で左足を踏み込みます。

 踏み込んだと同時に「左手の刀で、相手を上方向に切り上げろ」と指導します。

 さらにボールを蹴った瞬間「左手の刀を、自分の鞘に入れろ」と指導します。

 上記したレアルマドリードの34秒のバルベルデのシュートの際の、左腕に着目していただきたいと思います。

 踏み込んだ瞬間、まるで刀を上に切り上げるように左手を上げて、蹴る瞬間、まるで右腰の刀の鞘に刀を戻す感じで、左手を下げています。

 つまり上半身を上手に使えているのです。

 

 このキック練習は徹底的にやりました。

 それで上記したセンターバックの子は、最終ラインから一歩の助走でバンバン素晴らしいロングキックを蹴れるようになったのでした。上半身の連動を使えば、助走は1歩しかいらないのです。そして小学生でも、練習すれば助走1歩でいくらでも素晴らしい球筋のロングキックを蹴れるようになります。

 足で蹴るイメージではないのです。

 どちらかと言いますと、上半身を動かして、それにつられて下半身が動くイメージです。

 

 キックはドリブルのフェイントほど種類が多彩ではないですが、最も本質的なコーチの感覚や知識が問われるところだと思っています。

 なにしろ動作としては同じようなものです。

 だからこそ、そこでの指導は知識が必要だと思います。

 キックにおいては結局は使う筋肉を何と考えるかでしょう。

 もしくは物理学的な法則でしょう。

 そう考えると、インサイドキックにも、いろいろ考える余地があるのです。

 パス配給に関しては史上最高かもしれないブスケッツのインサイドキックです。

 

 

 ブスケッツは回転運動でボールを蹴っています。

 インサイドキックで、つま先を外側に向けて真っすぐ足を振り出せ、という指導が日本では一般的だと思います。

 ですが、ブスケッツはそういうキックをしていません。

 インサイドキック1つとっても、非常に深い理論があると私は思っています。

 だからこそむしろ、あまり低学年のうちにインサイドキックをやらせたくないのです。

 変な癖がつくと思っているからです。

 ただしそれも私の考えにすぎません。