弱小チームの良いところ。 | 徒然に。

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思ったことを気ままに。

 今日書かせていただく内容は、私の経験で書くような根拠のない全くの暴論です。

 おそらくほとんどの子どもたちは、レベルの高いチームで質の高い指導を受けた方がサッカーが伸びるのだと思います。

 ただ、私自身が「変わった子」だったこともあり、そんな変わった子にも、それなりにチャンスはあるということを書きたいと思うのです。

 

 以前何度か書かせていただきましたが、私は小学時代は県大会地区予選1回戦負けのチームで、土日しか練習がないチームでサッカーをやっていました。コーチは素人でサッカーの勉強をしているとは思えないパパさんコーチでした。だったら自由にやらせてくれればいいのに、むしろそういうコーチほど、やたら怒鳴りつけてきたりします。「とにかくコーナーフラッグに向けてロングキックを蹴れ!」と怒鳴られまくり、バックパスをしようものなら殴られました。当時は体罰当たり前の時代でした。

 父はサッカー鬼親でした(笑)。サッカーの知識は何もない父でしたが、とにかくリフティングだけはやらされました。泣きながらリフティングをやらされました。おかげでというかなんというか、小3までにリフティングは1000回できました。ただ、練習に行けばコーチに怒鳴られて殴られ、家に帰れば父に泣きながらリフティングをやらされて、私はサッカーが好きではありませんでした。小3まではしょっちゅう練習をさぼっていましたし、父とのリフティング特訓以外、サッカーをやっていた記憶がありません。

 小4に上がるとき、県境の隣町からK君が引っ越してきました。彼は引っ越してきてからも隣町のチームに所属していましたが、そのチームも都大会出場は夢のチームでした。

 ただ彼もすでにそのときリフティング1000回以上できました。

 それで自然とお互い練習がない平日、二人で放課後練習するようになりました。

 まさに「二人練習」でした。

 やったことは、数を言って相手にリフティングで渡し、受けた方は言われた数だけリフティングして返す、というリフティングと、あとはひたすら1対1です。

 3年間、二人でやり続けたのですが、なんと卒業時のセレクションで、K君は浦和レッズジュニアユース、私は三菱養和巣鴨に合格してしまいました。

 

 私は小学時代の経験から思うことがいくつかあります。

 

 まずは、小学生3年までの、大人のあまりにうるさい要求によって、今に至るまで「サッカーをプレーするのが嫌いになった」ということです。

 私は養和ユースにも昇格できたのですが、途中でやめました。レベルが追い付いていないということが表面的な理由でしたが、考えたらユースは少数精鋭ですので、先輩方と混じるわけです。その頃の養和の先輩には日本代表にまで上り詰めた永井雄一郎さんがいたりして、ついていけないのもしょうがなかったのでした。自分が高3になるまで続けていれば、レギュラーを取るくらいはいけたかもなと今では思います。

 本質的には、私はサッカーをプレーするのが嫌になっていたのでした。

 その後高校の部活でやり、都大会でベスト8くらいまでいったので、それなりには高校サッカーもやれました。

 ただ正直に書くと、サッカーをやることは楽しくなくて、最後の選手権東京都予選、負けてほっとしていた自分がいたのでした。「やっとサッカーから解放される」という思いでした。

 「プレー嫌い」は実は今でも続いています。

 プレーしようとすると、いまだにミスをすると親父に怒られるような気になってきます。小学時代、大してサッカーを知りもしないのに、毎試合ビデオで私のプレーを撮影し、家で一緒に見ながら「これは違うだろ!」と怒鳴り散らされるのでした。

 その光景が蘇り、今でも「親子サッカー」とかの遊びのサッカーでさえ、プレーしたくありません。

 サッカー研究やコーチはめちゃくちゃ好きですが、プレーするのは心底嫌いなのです(笑)。

 その点、養和スクールは、私は日本一のスクールだと思っています。

 とにかくコーチが細かいことを言いません。

 私は小学低学年で、あまりにうるさい大人たちによって早くも本質的には「サッカープレー嫌い」になったので、中学高校時代の養和での練習前、養和スクールでサッカーを楽しむ小学生たちを見ていると、心底うらやましかったのです。

 「自分もこんな風に小学時代にサッカーをやりたかった」という気持ちでした。

 弱小チームで、コーチがおおらかな人だったら、きっと養和スクールのような環境になっている気がします。

 そこに弱小チームの良さがあるでしょう。

 うちのチームも弱小チームです。そしてこんなマニアックなブログを書いているので、細かい指導をしていると思われるでしょうが、特に低学年のうちは、細かいことは言いません。まずは楽しむことだと思っています。

 そしてその楽しむ気持ちが、中学高校以降、かなりの差になってきます。私は自身を失敗例として経験済みなのです(笑)。

 

 次に「果たして小学時代に、レベルの高いところでプレーする意味はどのくらいあるのだろうか」「質が高く集中して取り組む意味はどのくらいあるのだろうか」ということです。

 K君も私も、都大会や県大会は夢のまた夢のチームにいましたが、浦和JYと養和巣鴨に合格しています。

 そして小学4年~6年の3年間、リフティングと1対1だけは徹底したのでした。これだけは本当に毎日毎日、飽きるほどやりました。

 ということは、小学時代はレベル云々より、どのような技術を身につけるか、な気がします。

 私はドリブラーでしたが、中学時代はドリブルを武器に東京トレセンまでいけました。技術を武器にしたのでした。

 ですが「ドリブラーにはいいけど、そういう練習ばかりでは戦術眼が身につかない」という意見もあるかもしれません。

 ただ、K君は浦和JYでボランチでレギュラーを取り、中学高校両方で日本一になっています。

 つまりK君は、日本一のチームのボランチだったわけですが、そんな選手に戦術眼がないわけがないでしょう。

 私がK君との1対1で相手の逆を取るドリブルを身につけたように、きっとK君は私との1対1で、相手の逆を取ることを身につけたのだと思います。それを守備だけでなく、パスにも生かしたのだと思います。

 「質が高い練習」にも、実は私はけっこう懐疑的なのです。

 ただこれは、非常に難しい観点もあります。

 というのは、レベルが上がれば「今日の練習は〇時から〇時まできっかり1時間半」でいいし、むしろそうしなければいけないと思います。

 ただ、小学生くらいのときは、学ぶ能力が違う気もするのです。

 それは「遊び」から入るということです。ただ、時間無制限は本質的によくないと私は思うので、たとえば土曜日練習などでは、極端に長い練習時間を設定したり私はしていました。13時~17時の練習時間とかです。

 4時間も練習があります。

 どうやってオーガナイズするかというと、たとえばまず「鬼ごっこ」をやります。

 めちゃくちゃ盛り上がったら、違った種類の鬼ごっこをやったりして、とことん鬼ごっこを楽しみます。

 これだけで30分くらいたっています。子どもたちはへとへとです。なのでここで10分くらい休憩を取るのです。

 次に単純な「対面パス」です。

 10分くらいひたすらやります。

 休憩を入れて、また対面パスです。

 ですが、そこで技術の種類を入れるのです。

 

 

 トラップだけでも、いろいろあるのです。

 ほかにも「3対1」などでも、いろいろバリエーションがあり、これだけでも1時間くらいやろうと思えばできてしまいます。

 

 

 そうやっていろいろな練習をしているうちに、けっこう時間がたっています。

 それで、最後はゲームをやります。

 うまくなった代ほど、延々と楽しんでやります。

 だから4時間練習といっても、けっこうあっという間に時間が過ぎるのです。

 

 「余白の時間」を多くとると集中が続くのです。子どもたちが疲れているなと思ったら、休憩時間10分とか15分とか取るのです。

 そうやって「短い時間で集中して」というよりは「1分でもいいから集中する時間を見つけて、あとはたっぷり休憩しよう」という感じです。休憩といっても子どもたちは走り回りはじめます。それがいいのだと私は思います。

 そういう自然的な子どもの遊びの中から、1分でも多く集中する時間を作ればいいのだと私は思っています。

 

 先日、試合をしたチームに、うちから移籍した子(A君)がいました。

 元々うちのチームで一番うまかった子です。

 10点差でぼろ負けしました。

 ただ、たとえばうちで一番うまい子B君(当時は移籍したA君の次にうまい子)がボールを取りに行くと、A君は簡単にボールを回します。それでB君が空回り気味になります。

 最後は一人でボールを追い回していたB君、チームメートに「おまえら一緒に取りに来いよ!」と叫びました。

 私はその瞬間「この代は絶対に良くなるし、みんな伸びる!」と確信しました。

 私的にA君とB君に焦点を合わせて試合を見ていました。

 パスはA君の圧勝です。

 ですが、私の見立てでは、B君だってA君のチームくらい味方が上手ければ、同じようなパスを出せるでしょう。

 そんな中、B君は来たボールを、味方が上手くないから全部自分でやるしかないのです。

 対してA君は味方がうまいから、簡単にパスに「逃げます」。

 私はこの辺のことは、けっこう上の年代で差になってくると思います。

 B君だって、簡単にやろうと思えばできるのです。

 ですが自分でやるしかないから、毎回数的不利の状況で、一人で突破しようともがいています。

 どんどん数的不利の状況でのプレーメモリがたまっていくのです。

 

 さらに私は「おまえは、攻めたらディフェンスに下がって守れ」と言います。

 うちの子たちは運動が苦手な子が多いので、ディフェンスラインでも数的不利です。

 そこで守らなくてはいけないのです。

 その子の守備のプレーメモリは必然的にたまります。

 

 こんな環境で上手くならない子がいるでしょうか。

 ただ、こういうことをできる子というのは「俺がこのチームを勝たせる!」という気持ちを持った子だけです。

 強豪チームで役割分担に慣れた子は、こういうことはやりません。

 ですが実は、チームを勝たせるという熱い気持ちで走り回ることが、自分のプレーレベルを上げるのだと私は思っています。

 

 うちのチームからこうやって、関東大学リーグキャプテンと副キャプテンを輩出できたと思います。

 さらに、私が尊敬するM監督のチームも同じような方針(といいますか私がパクった)で、U18日本代表を2人輩出しているのです。