トラップ実践。 | 徒然に。

徒然に。

思ったことを気ままに。

 以前に「インサイドトラップにも様々なやり方がある」ということを書かせていただいたが、今回私が実際に指導しているトラップ練習を書きたい。

 

 いつも読んでくださっている方はご承知だと思うけど「こういう練習をやっていて結果、全然伸びませんでした」ではしょうがないので、実績。

 出発点は市内最弱付近が定位置のチーム3代、延べ30人弱を卒業させて、関東大学リーグキャプテン1人、副キャプテン1人。U15関東リーグ所属のフォルツァ02にセレクション合格2人。都大会出場チームのキャプテン2人副キャプテン1人。

 市内最弱レベルからこれだけ飛躍してくれれば十分だと思っているし、自分的には「子どもの将来の伸びしろ」という部分では、しっかりとした指導がそれなりにできたと自負している。J下部組織にいる子どもだって、関東大学リーグのキャプテンとか副キャプテンまでなるのは大変だろう。それを市内最弱クラスから2人も輩出できたのだから、ちょっとは練習方法には自負がある。

 

 それでトラップ練習方法だが、至って地味な「2人組対面パス」だ。

 

 だがそこに「バリエーション」をつける。

 

 1.風間八宏流トラップ。

 コーチングポイントは「ボールの絵柄が見えるくらいにボールを静止させる」「面ではなくて、ボールの上の方のある1点を触ればボールは止まる」「拇指球あたりで止める(その辺りは足首から離れていて可動域が広いので、ボールが当たったとき、自然にクッションになってボールが止まる)(ただしこの拇指球付近での止め方は、弱いボールのとき。その使い分けもアドバイスする)」「ただし止め方の感覚は個人差があるから、あまり強要しすぎない」だ。

 

 

 バリエーションとして、ボールを静止させたらその足の着く角度を変えて、身体の向きを変える。↓みたいな練習だ。

 

 

 ただ、いちいち皿コーンを置くのは面倒なので、単にトラップした足を置く位置によって、90度向く、とかで私はやっている。

 そのときのポイントは、↑田中碧のように身体の向く方向に「首振り」することだ。これは絶対に習慣化すべきだと思う。

 

 2.クッショントラップ。

 コーチングポイントは「軸足で立って、トラップする足はブラブラに」「まるでトラップする足がスポンジになったように」だ。

 ボールが当たった瞬間に足を引くのではなくて、足にボールが当たったからその勢いで足が後ろにいっちゃったというイメージだ。

 

 3.浮身トラップ。

 コーチングポイントは「来るボールに合わせて、トラップする足を浮かせて、トラップする瞬間に軸足をタイミングよく、軽くジャンプするかつま先立ちになる」「軽いけんけんでトラップする」だ。

 よくシャビとかイニエスタとかがやる、バルサの選手の定番のトラップ方法だ。

 

 

 バリエーションとしては、このトラップで身体の向きを変える。

 けんけんの2歩目で身体の向きを変えるイメージだ。

 

 4.トラップ後連続タッチ。

 コーチングポイントは(左利きを例にすると)「左足で止めたらすぐに2タッチ目を左足で触る」「右足で止めたらすぐ左足でボールを触る」だ。

 

 

 5.コントロール・オリエンタード。

 まずやり方としては、パスを出したら下がって、来たボールを触るときに一発で前に出るを繰り返す。そうすると二人一組が常に前後に動きながらパス交換をする感じになる。

 コーチングポイントは「トラップ一発で前に出る」だ。

 バリエーションとして、前に出る角度を斜めにする。

 そうすることによって、結局は↓みたいな「下がってから角度をつけて前に出る」になる。しかも二人一組なので、↓よりも単純計算、2倍数をこなせる。

 

 

 6.トニ・クローズトラップ。

 まずは↓映像を見ていただきたい。

 

 

 インサイドで止める際に、外に行くふりをしてインサイド側に止める動きだ。

 コーチングポイントは「ボールが来ると同時に肩を開いて止めた瞬間に切り返す」「止めた瞬間に止めた側の肩を落とす」だ。どちらもできるようになるのがベストだと思う。

 このトラップは特にセンターラインをやる選手は必須だ。

 これができると、たとえば上記岡田メソッドみたいな練習しかしないチームでも、変な癖がつかないと思う。

 岡田メソッド練習は、他の岡田メソッド動画を見ると、ちゃんと外側に止める以外にも内側にも止める練習を組み込んでいるから素晴らしいと思っている。

 でも「ボールを外に流すトラップしか」しないチームもけっこう多い気がしている。

 もしそういったチームだったら、ぜひ「トニ・クローストラップ」を個人的に練習して、ちゃんと内側にもトラップで抜けれるような練習をしたら、レベルが上がると思う。

 そしてその練習は、単純な「二人組対人パス」で、しっかりと身に付くと思う。

 

 「単にインサイドで止める」ということだけで、これだけある。

 それなのに、1個しか「インサイドの止め方」を知らなければ、その選手の将来の可能性を狭めることになるのは自明だろう。

 選手は、たとえば私が思う6つの止め方をできなくてもいいし、むしろ全部できたらメッシになってしまう(笑)。

 でも、指導者が自分の観点で「これが素晴らしいからこれだけ絶対にやれ!」と子どもに言ったら、子どもに罪をおかしていると私は思っている。

 

 だから私は、2人組パス練習で、上記のように設定を変えながら延々とやるのだが、できなくてもあまり言わないようにしている。

 だって自分だって全部なんか到底できないのだ(笑)。

 でもある程度うまくなって来た代になると、めちゃくちゃおもしろい現象が起こる。

 まるで子どもが「科学者」とか「研究者」のように見えてくるのだ。

 ある子は「なんで止まらないんだ?うーん」とか考え出す。

 私はそれこそが狙いだから「ほんとなんでだろうなー」とか言って、楽しむ(笑)。

 一応答えはわかっているけども、なんかそれを言ってもその子の「学び」が発動しない気がするので、直接的には言わないようにする。

 たとえば「クッショントラップ」ができない子は、常に身体が強張っている。

 だからその子には、あんまり直接的に「身体の力を抜け」と言うよりは「最近トラップ全然止まらないな、嫌なことあった?嫌なことあると身体こわばっちゃうから。相談乗るよ?」的な、わけのわからないことを問いかけて、力が抜けるようにする(笑)。

 

 こうやってコーチと子どもがグラウンドで戯れられるのがサッカーだと思っている。

 うちのチームの「単純な対人パス」は、子どもがある程度のレベルになった後は、めちゃくちゃ子どもの集中力がある練習になる。

 「あー今のミスった!」とか言いながら、延々と30分対人パスをやる風景が出てくる。

 それこそが私が最もやりたいことだ。