以前何度か、我がチームに入団してきた1年生R君について書かせていただきました。
私は延べで10年くらい少年サッカーコーチをやっています。
私が見た中では、うちのチームで歴代最も才能があるんじゃないかなと思います。
関東大学リーグキャプテンになったW君や副キャプテンになったS君の少年時代より、明らかに上だと思います。
ということは、そのまま成長すれば、、、と、勝手に期待してしまいますが、意識的に期待を抑えるようにはしています。
過度な期待は、子どもにとっては重荷でしょう。
それで今回は、R君に絡めて、低学年練習について私が考えていることを書いてみたいと思います。
私は低学年のうちは、ラダートレーニングと鬼ごっこ、リフティングとドリブルをとにかくやります。
小学年低学年は、神経系を発達させるべく、いろいろな動作をやってみること、大きな動作でのびのびやることが大事かと思います。
神経系は、10歳や11歳(小学4年か5年)くらいで完成します。
つまり、11歳くらいまでに、多様な動きを経験することによって、動きの素地を作ることが大事だと思っています。
そういった神経系の発達の意味で、特に低学年のうちは私はラダー、鬼ごっこ、リフティング、ドリブルをやっています。
ラダーは↓の種目を主に、他にも5種類くらいいれています。
うちのチームは、市内でも弱い方なので、特に低学年のうちはボール扱いが覚束ない子が半分以上です。
そういう子どもたちに、ボールを使うコーディネーショントレーニングはけっこう難しいのです。
ですが、ラダートレーニングならば、ボールを使う練習よりも比較的簡単に覚えられるのです。
鬼ごっこも、神経系を向上させるのには定番でしょう。
と言いますか、低学年のうちは、下手に技術の反復練習をやるならば、私は鬼ごっこをやった方がいいとすら思っています。
結局、相手を追いかける、相手から逃げる、というのはサッカーの攻守の本質であり、野生動物の生死を分ける本質でもあると思います。
そして鬼ごっこは、その本質をよく反映していると思います。
私がよくやる(というか、ほとんどこれしかやらない)のは「手つなぎ鬼」です。
いろいろなローカルルールがあるようですが、私がやっているのは以下のルールです。
だいたい①をやりますが、子どもたちが飽きたなと思ったら②を入れています。
①鬼一人から始める。鬼が逃げる人をタッチしたら手をつなぐ。4人になったら2人づつに分裂する。これを繰り返し、最後に残った人が勝ち。
②鬼二人から始める。最後まで分裂しない。最終的に、鬼の二組のうち、人数が多い方の鬼が勝ち。
なぜ手つなぎ鬼ばかりやるかというと、状況が変わるからです。
最初は鬼は1組しかいません。それがだんだん2組になり3組になり、、、と増えてきます。
そうやって鬼ごっこの中でも状況が変わっていきます。
周りをしっかり把握するようになります。
鬼も増えるに従って、仲間と連携したりするようになります。
そういうのがおもしろいし、いいトレーニングになると思うので、私は手つなぎ鬼をやっています。
リフティングは、最初はワンバウンド合計100回、できたらノーバウンド、でやっています。
まずはワンバウンドでしっかり足の甲にボールを当てる感覚を掴みます。
ノーバウンドは「毎回最高記録を出せ!」「単純だけど、何度もやらないとできるようにならないよ!」と、声掛けしています。
ドリブルです。
まずはコーンドリブルです。
私は永井雄一郎さんのコーンドリブルの一部を、低学年にやらせています。
私がやっているのは、コーンを8枚ほど、2列に並べます。
1セット目は、行きは右足だけ、帰りは左足だけ、です。
2セット目は、行きはインサイドだけ、帰りはアウトサイドだけ、です。
3セット目は、自由です。
これを、1セット5分として、15分くらいやります。
けっこう長くやります。
さらにボールコーディネーションもやります。
低学年では最も簡単なものから始めて、↓の興国高校のようなボールコーディネーションが小6の段階でできるように、少しづつ種目を増やしていきます。
あとはフェイントです。
とにかくマシューズフェイントを徹底します。
なぜかといえば「歩幅変え」の基本はマシューズフェイントだからです。
↑ディ・マリアならば、右足をけんけんすることによって、歩幅を変えます。
詳しくは過去記事を読んでいただければと思います。
私の考えでは、メッシがなぜあんなにドリブルで抜けるかといいますと、ドリブル中に頻繁に歩幅変えを行っているからです。
たとえば↓動画の10秒から、短い時間で2回歩幅変えをすることによって、相手のタイミングをずらして、抜いています。
こんな練習を私は低学年のうちはメインにやっています。
そしてR君は日に日に上達しています。
昨年末、イベント的に「コーンドリブル記録大会」をやりました。
コーンドリブルの時間を測るというものです。
うちの6年で、ドリブルが最もうまい子が6秒でした。
この子は身体が小さく試合ではどうしてもフィジカル負けしてしまいますが、技術だけなら私はJ下部に入ってもおかしくないと思っています。
4年で最もうまい子が9秒。
そして1年生の怪物R君は10秒でした。なんだそりゃ(笑)。
小学1年なのに、見事にコーンを抜いていくのです。
試合をやらせても、けっこうすごいです。
3年生相手でも、うまく相手の逆をとって抜いていきます。
惚れ惚れしてしまいます。
ただ、今は移籍が活発な時代なので、いつまでうちにR君がいるかはわからないところです。
ただ、私は才能ある選手は幼少期は弱小チームにいるからこそ選手が伸びると勝手に考えています。
ですからうちで卒業までやってほしいし、それなりに育てる自信もあるのです。
W君やS君が関東大学リーグ(プロ一歩手前)のキャプテン副キャプテンならば、R君がもし順調にいけば、プロになるのではないかと思います。
ただ、どうなるかはわかりません。
それでも、やっぱり才能の原石を見ることは、喜びです。