高校サッカー選手権で、昌平高校がベスト8に勝ち残っています。
その昌平高校の下部組織と言えるのが、FCLAVIDAです。
私はyou tubeで、発見できる限りの育成年代の練習を見漁りましたが、興国高校と並んで、FCLAVIDAが素晴らしいと思っています。
まず、監督の村松さんの思想が、私には非常に共鳴できます。
ー指導において一番大切にされていることを教えてください。
村松 『仕掛けること』ですね。うちのチームでは、ボールを大事にすること以上に、ゴールを奪うことに重きを置いているので、試合ではボールを受ける際も常に相手を見て、次のプレーをイメージしながら『ゴール』を意識してポジションを取ることを強く求めています。
これはたびたび書いていますが、私が師匠だと勝手に思っているM監督のチーム(この15年でU18日本代表を2人輩出し、毎年のようにJ下部に選手を輩出)の思想でもあり、弱小ながらうちのチームでも、その思想でやっています。
そして、村松さんはヴェルディ下部組織でコーチキャリアを始められたようです。
実はM監督は、読売クラブ時代の選手でした。
さらに私は養和巣鴨時代、何度もヴェルディと対戦し、正直なところ、敵ながら「こんなサッカーをやれたらいいな」と思っていました。
「自分から仕掛ける」を志向するコーチは、けっこうヴェルディに影響された人が多いように思います。
さらに、村松さんもM監督も強調しているのが「ドリブルもパスも出せる選択肢を持つ」ということです。
たとえば↓FCLAVIDAの練習動画での、4分20秒付近からの練習での「4対4+サーバー」での、サーバーの役割です。
ボールを受けたサーバーは、単にフリーマンとしてボールをパスするのではなく、サーバー自身がパスを出したりドリブルをしたりで、パス回しに加わります。サーバーにパスをした選手が代わりにサーバーになっています。
意味としては「サーバーはパスもドリブルもあるよ」ということを具体的なメニューに落とし込んだということだと思います。
そしてドリブルが常に選択肢にあると、試合の質が変わってきます。
どちらがいい悪いではないですし、たとえが適切ではないかもしれません。
それでもあえて勝手に例えれば、ドリブルを常に選択肢に入れると、スペイン代表みたいなサッカーから、アルゼンチン代表みたいなサッカーに変わってきます。
たとえば↓のFCLAVIFA対横浜マリノスJYの試合です。
マリノスの選手たちは、局地でドリブルを見せるものの、ゴールへの太い線みたいなのがないように思います。ただし、それは良し悪しではないと私は思っています。
パスワークで崩そうということでしょう。
それとは反対に、FCLAVIDAの選手たちは、まずドリブルが選択肢にあるので、トラップから次の一歩目で身体が前に出ています。ですから、非常に力強い印象を受けますし、実際に球際も強いです。
そして具体的にそういうプレーを目指して、M監督は低学年のうちから口を酸っぱくして「とにかくゴールに向かえ!」「敵と敵の間を抜け!」「前へ出る推進力を使え!」「一人でシュートまでドリブルで行け!」とコーチングしているのだと思います。
実際にM監督のチームの子どもたちは、FCLAVIDAの選手たちのようなボールの持ち方をするのです。
そしてこういうサッカーは、あまり「レベルが高いところ云々」は関係がないのです。
弱小チームで一人だけ飛び抜けていれば、自分一人でゴリゴリ行けばいいのですから、結局は自分の問題です。
むしろ、たくさん自分がボールを触れて、楽しいでしょう(笑)。
そして本質的なことがあります。
まずドリブルでボールを運ぶからといって、パスをできない選手になるわけではないのです。
これは、サッカーをフォーメーション図のような「静止画」で捉えるかどうかの違いです。
というのは、まずパスありきだと、相手はパスに対応するわけですから、それは「静止画のサッカー」なのです。
ですが、自分がドリブルで仕掛けると、相手が自分に食いついてきます。
そうなると、パスコースの見つけ方が「動画」になります。自分の動きによって相手が反応し、そのことによってスペースが生まれるからです。
ですから、M監督のチームのように、市内でも中位から上位くらいのチームからでも、次々にいい選手が出てくるのだと思います。
さらに弱小チームのうちからでも、関東大学リーグキャプテンと副キャプテンを輩出できたのは、それが理由の一つだと思っています。
「パスもドリブルもできるボールの持ち方」をできるようになれば、チームのレベルは大して関係なくなってきます。
どこまでも自分の問題になるからです。
弱小チームに所属していて、同じような弱小チームと試合をするならば、3人4人と抜いていけばいいわけです。
そこまで抜けない強い相手と当たったら、ドリブルで引き付けてパスを覚えるチャンスです。
実際にそれで選手は伸びたのを私は見てきました。
FCLAVIDAとはちょっと違いますが、私の出身である三菱養和についても書いておきたいと思います。
↓はFCLAVIDA対養和調布(私は巣鴨出身で、養和は中学年代に2チームあります)です。
養和調布が勝ちましたが、どう見てもFCLAVIDAが格上で、たまたま養和調布が勝ったようにしか見えません(笑)。
ですが、これは代々の養和の感じなのです(笑)。
私の時代から変わったなと思ったことは、やたら養和のコーチのコーチングが聞こえることでしょうか。
ですがそれ以外は変わっていないなと思います。
「放し飼いのサッカー」です(笑)。
その中で養和調布のハーフっぽい子の「天然のがんばり」とかを見ると、養和っぽいなと思います。
ですが養和では、そういう中から将来伸びる子が出てきます。
現日本代表で、左ウイングでは三笘薫の次の実力者にまで上り詰めた中村敬斗は養和出身です。
彼は養和の自由な雰囲気のなかで、伸び伸びサッカーをやったということが記事で出ていました。
まとめると、私は子どもがサッカーを上達するのに、特に子どものうちは高いレベルでやる必要はないと思っています。
「ドリブルとパス、両方の選択肢を持った身体の向きを作る」
「まずは自分でドリブルで行く」
「自由に好きなサッカーをとことん楽しむ」
そこが大前提で、それだけは徹底すれば、どんなレベルでサッカーをやっていても、上達すると私は思っています。