60玉鬘 壱伍 | 吉備路残照△古代ロマン

吉備路残照△古代ロマン

吉備路自転車道を回って以来すっかり古代吉備国の残り香に取り憑かれました。
歴史と神話が絡み合っているから多くの遺蹟の故事来歴が謎に包まれています。
鬼ノ城・温羅伝説・鳴釜神事等の謎に新しい解釈を加えていけるので楽しみです。

源氏物語名場面

 

 

玉鬘 壱伍

 

 

長谷寺本堂遠望

『真言宗豊山ぶさん派』総本山

西国三十三所第8番札所

奈良県桜井市初瀬

 

大和と伊勢を

結ぶ『初瀬街道』を見下ろす

初瀬山の中腹に【本堂】が建っている。

石山寺と長谷寺

道綱の母『蜻蛉日記』

清少納言『枕草子』 紫式部『源氏物語』

菅原孝標女『更級日記』

などの女流古典文学作品に登場する。

 

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少しずつ解きほぐれてくると

右近

玉鬘の居所を早く知りたいと気が急いて

三条を呼んだが

三条は食事中でなかなかやって来ない。

 

ひどく憎らしく思ったが、

それは右近の勝手というものである。

 

やっと、やって来た。

 

 

右近が京ことばで玉鬘の居所を尋ねると

三条

「何を仰っておられるのか分かりません。

20年近く

筑紫で過ごした下衆のわたし

都の方がご存知のはずがありません。

人違いでございましょう」

 

話がつながらない。

 

わたしの顔をよ~く見て」 

 

右近が顔を近づけると

三条は驚いた様子で手を叩いた。

 

 

「あら、右近さまではございませんか。

どちらからお参りに来られたのですか。

夕顔さまも、ご一緒ですか」

 

三条

思いが溢れて声を上げて泣き出した。

 

三条の気持ちが収まるのを待って、

右近がたずねる。

 

乳母さまも、ご一緒ですか。

姫君/玉鬘は、お元気ですか」

 

ただ

右近夕顔のことを口にしなかった。

 

 三条

姫君は立派に成人されました。

乳母さまに右近さまが

いらっしゃることをお知らせします」

 

乳母の驚くまいことか。