源氏物語名場面㊾
玉鬘 漆
観世音寺本堂 梵鐘日本最古 国宝
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【太宰府政庁正殿跡】の近くに
菅原道真ゆかりの【観世音寺】がある。
道真は
大宰府に流されて以来
屋敷の門を閉じて蟄居していたが、
部屋からは
【都府楼】の楼閣の瓦が見え、
【観世音寺】の鐘の音が聴こえる。
○都府楼纔看瓦色 観音寺只聴鐘聲 『大鏡』
都府楼はわずかに瓦の色を看る 観音寺はただ鐘の声を聴く
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ほどなく
病に臥せていた太宰少弐が亡くなった。
妻子は不安や悲しみを払拭するため
に一刻も早く帰京したかったが
当地の豪族との確執があり
出立できないうちに年を越してしまった。
■
二十歳を迎えた玉鬘は
母夕顔にもまして
輝くばかりに美しく成長していた。
父右大臣/頭中将の血筋を引いて
いるからか気品に溢れている。
気立てもいい。
■
玉鬘の噂を聞きつけ
た有力者たちからの求婚
が殺到するが乳母は断り続けた。
「孫娘には身体に不具合がございまして---」
■
そうこうするうちに
乳母一家は都とは反対方向の
*肥前国へ移り住むことになった。
*肥前国 佐賀・長崎県
ほどなく玉鬘の噂に
魅かれた大夫監たいふのげんという
肥後国に勢力を張る求婚者が現れた。
*肥後国 熊本県
肥前国に乗り込む際
財力にものを言わせて乳母の
三人の息子たちを篭絡しようとする。