㊵藤壺宮 漆 | 吉備路残照△古代ロマン

吉備路残照△古代ロマン

吉備路自転車道を回って以来すっかり古代吉備国の残り香に取り憑かれました。
歴史と神話が絡み合っているから多くの遺蹟の故事来歴が謎に包まれています。
鬼ノ城・温羅伝説・鳴釜神事等の謎に新しい解釈を加えていけるので楽しみです。

源氏物語名場面㊵

 

 

藤壺宮 漆

 

 

国宝 阿弥陀如来像

光源氏はこんな顔!?

棲霞寺せいかじの本尊

棲霞寺/阿弥陀堂は

【清凉寺】/嵯峨釈迦堂の境内に

棲霞寺/阿弥陀堂

嵯峨天皇の第12皇子で

光源氏の最有力モデルと

される左大臣源融みなもとのとおる

山荘《棲霞観》を

死後

寺に改めて【棲霞寺】と号した

『阿弥陀如来像』は

子息

供養のために似せて造立。

 

 🔲

 

疑惑と悪意に満ちた噂が、

宮廷止まらず都中に走るだろう。

 

幸い杞憂に終わり

東宮冷泉として即位、

藤壺は安堵の胸を撫で下ろした。

 

権力が

右大臣側から*左大臣側/源氏側に移る。

 

桐壺

右大臣の権柄ずくの振る舞いが目に余るので

*左大臣と力の均衡を図るため左大臣

の娘葵の上源氏を娶せた。

 

 

長い間

源氏を支えてきた*太政大臣が亡くなった。

 

*太政大臣/上の「備考」における左大臣

 

しかも

その頃から藤壺が体調を崩し、

ほどなく重篤に陥った

 

見舞いに訪れた冷泉帝に虫の息で、

 

あなた

ゆっくり話す機会が

一度もありませんでしたね」

 

冷泉帝

病身ながら美しいの姿

悲しみと寂しさが胸に突き上げてきた。

 

 

藤壺は来し方を振り返る。

 

「皇女として生まれ中宮そして大后に。

女性として

最高に栄耀栄華に満ちた一生だった

と言えなくもないが、

人として味わった苦悩も苦労も尋常

ではなく何よりあの日以来ずっと

罪の意識に苛まれ続けた」

 

 

源氏には

息をするのも苦しげな様子で、

冷泉帝を後見してくれた礼を述べた。

 

源氏

思いが余って言葉にならず

泣き出してしまう。

 

 

藤壺

ローソクの火が消えるように、

ひっそりと息を引き取った。

 

 

次回から、浮舟