源氏物語名場面㊵
藤壺宮 漆
国宝 阿弥陀如来像
光源氏はこんな顔!?
棲霞寺せいかじの本尊
★
棲霞寺/阿弥陀堂は
【清凉寺】/嵯峨釈迦堂の境内に
△
棲霞寺/阿弥陀堂
嵯峨天皇の第12皇子で
光源氏の最有力のモデルと
される左大臣源融みなもとのとおる
の山荘《棲霞観》を
融の死後
寺に改めて【棲霞寺】と号した。
□
『阿弥陀如来像』は
融の子息が
父の供養のため父に似せて造立。
🔲
疑惑と悪意に満ちた噂が、
宮廷に止まらず都中に走るだろう。
幸い杞憂に終わり
東宮は冷泉帝として即位、
藤壺は安堵の胸を撫で下ろした。
権力が
右大臣側から*左大臣側/源氏側に移る。
桐壺院は
右大臣の権柄ずくの振る舞いが目に余るので
*左大臣と力の均衡を図るため左大臣
の娘葵の上と源氏を娶せた。
■
長い間
源氏を支えてきた*太政大臣が亡くなった。
*太政大臣/上の「備考」における左大臣
しかも
その頃から藤壺が体調を崩し、
ほどなく重篤に陥った。
見舞いに訪れた冷泉帝に虫の息で、
「あなたと
ゆっくり話す機会が
一度もありませんでしたね」
冷泉帝は
病身ながら美しい母の姿に
悲しみと寂しさが胸に突き上げてきた。
■
藤壺は来し方を振り返る。
「皇女として生まれ中宮そして大后に。
女性として
最高に栄耀栄華に満ちた一生だった
と言えなくもないが、
人として味わった苦悩も苦労も尋常
ではなく何よりあの日以来ずっと
罪の意識に苛まれ続けた」
□
源氏には
息をするのも苦しげな様子で、
冷泉帝を後見してくれた礼を述べた。
源氏は
思いが余って言葉にならず
泣き出してしまう。
藤壺は
ローソクの火が消えるように、
ひっそりと息を引き取った。
次回から、浮舟