知らない滋賀を楽しく学ぶ。
2000人以上の園児が遊ぶ「滋賀コレかるた」。
群馬県で半世紀以上親しまれている郷土かるた『上毛かるた』のように、滋賀の魅力を『かるた』で紹介していく滋賀コレかるたプロジェクト。『みどりの並木 メタセコイアが500本』『にんにんじゃじゃーん甲賀忍者は薬の術』など、馴染みのある名所をはじめ、地元民にとっては近すぎて知らなかった文化や歴史、そして地元企業のとりくみなど、いろんな滋賀を『かるた』で紹介している。本プロジェクトの大きな特長は、かるたを県内の企業が購入し、保育園・こども園をはじめとする施設にプレゼントする仕組みがとられていること。現在までに24団体（１社で複数参加分含む）が支援。企業は１組の絵札と読み札を作って、自社をPRできる。
園ではかるた贈呈式が行われるだけでなく、支援企業が会社見学や工場見学に招待したり、自社製品をプレゼントするなど、かるたを通じて子どもたちと地元企業の新しいつながりがうまれている。ある企業は、社長の子ども時代を紙芝居じたてで子どもたちに披露。ゲームばかりしていた子ども時代を経て、大好きなゲームをつくるプログラマーに成長し、現在はインターネットをさらに便利に使えるようにする仕事をしていると企業のなりたちを紹介した。ほかにも、子どもの頃から嫌いだったきゅうりを、自分でも食べられるようにしたいと、きゅうり栽培企業に就職した社員の話など、子ども時代の経験がどのように今につながっているか、地元で働く大人たちの思いを伝える貴重な場が『かるた』から広がっている。
滋賀コレかるたを企画・制作しているのは、草津市にあるデザイン事務所、スマイルデザインカンパニー。代表の松井栄里さんは結婚を機に京都から滋賀に居を移した。「住んでみると自然は豊かだし、食べ物は美味しい。歴史深い神社やお寺、お城がたくさんあって、京都よりいいところやん！」と。滋賀を知ってもらうツールとしてかるたを選んだのは、当時4歳になる松井さんのお子さんが、お気に入りの『お魚かるた』で魚にくわしくなったことがきっかけ。「かるたなら時間がないときは枚数を減らしたりして調整できるので、忙しいパパママがちょっとだけ遊んだり、ひらがなを覚えるカードとしても使ったりできるかなと思いました」。
屋内だけでなく、公園を会場に、A３判に拡大した絵札を走り回って探す『かけっこかるた』と題したイベントも各地で開催。現状のかるたに湖南市の情報を追加する『こにゃんかるた』も製作中と、いろんなスタイルになって、県下のこどもたちのもとに届く。来たる2024年7月には、産業支援プラザで本プロジェクトに参画した企業のオンリーワン札と滋賀コレかるたを展示する予定。また、各地の保育園・子ども園などで、子どもたちとかるたで遊んでくれる学生ボランティアも募集中。保育や教育分野を目指している学生にとっては、現場を知る大きなチャンスだ。
昨年までに、2000人以上の子どもたちへプレゼントされた。子どもたちは日常的にかるたで遊び、滋賀の知識を蓄えている。「子どもの記憶力はすごくて、「メタセコイヤは何本？」って聞くと「500本！」と、一度遊んだだけで自分のお気に入りの札を覚えてくれます」と、松井さん。「子どもたちに滋賀の素晴らしさを伝えていければ、その子達が大人になったとき、たとえ進学や就職で県外に出たとしても、大好きな滋賀に戻ってきてくれるはず。大好きな滋賀をもっともっとよくしようって思ってくれると思います」。
【profile】
滋賀コレかるたプロジェクト
2019年、滋賀県起業家応援補助金に採択。滋賀コレかるたの試作を開始。
2019年、 大津・女性ビジネスプランコンテストでファイナリストに
2020年、クラウドファウンディングで目標金額を達成、商品化へ。
2021年、草津市、立木神社で「新春 滋賀コレかるた会」を開催、草津川跡地公園で「かけっこかるた」実施、保育園等19カ所で「出張かるた会」開催
2022年、群馬大学 総合情報メディアセンター中央図書館の郷土かるたコレクションに掲載
2022年、2023年近江神宮 勧学館にて「滋賀コレかるた 夏休み小学生大会」開催
2023年、「健康しが」の助成事業に採択。こにゃんかるたを制作。
2023年、滋賀コレかるたプロジェクト、子どもたち2000人にプレゼント達成
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