土平ドンペイさん FILE No.136 ART STYLE SHIGA  | ART STYLE SHIGA(アートスタイル滋賀)

ART STYLE SHIGA(アートスタイル滋賀)

「滋賀には魅力的なアーティストがたくさんいる。
この素敵な事実をみんなに伝えたい」、そんな想いで始めた"アートスタイル"。
ミュージシャンやモデル、俳優、お笑い芸人、芸術家、建築家など幅広いジャンルのアーティストをご紹介。

目標は、名脇役。

作品に込める魂の熱さは、

誰にも負けません。


 

 そのルックスと、バランス感覚のある演技力で個性的な役柄を数々演じている土平ドンペイさん。現在放映中の大河ドラマ『軍師官兵衛』では、主人公・黒田官兵衛の義兄、上月城城主・上月景貞 役でご存知の人も多いだろう。


 学生の頃から、何事もやるならとことん!の性格。野球部の特待生として比叡山高校に入学。ケガのため、レーシングカヌーに転向してからは、わずか9カ月で国体にも出場した。  俳優の道に進んだのは高校3年のとき、通学途中で見つけた東映京都俳優募集ポスター。就職後も休みを利用してエキストラの仕事を続けた。わずか数秒しか映らないエキストラ。しかし、それぞれに人生があるんだと思うようになると、与えられたエキストラに自分で役名を付けたり、演技プランを考えたりした。「行商人をやるときも、一日売り歩いて売れた日と売れなかった日では、自分の中の感情も、歩き方も変わってくる。しかし、エキストラなので誰もそんなことには気づかない(笑)。でも、こだわりながらのエキストラがすごく楽しかった。その頃のこだわりが、今もいろんな役を演じるときの基盤になってると思います」。  撮影日程が延びると、嘘をついて会社を休むこともあった。お世話になっていた会社だけに罪悪感が募る。自分なりに納得いくまで専念しようと、役者一本に絞ると決めた。3年でダメなら諦める。周囲が大反対する中、奥さんだけが快諾してくれた。


 それからは滋賀でアルバイトを掛け持ちしながら、東京での売り込みに励む生活が続いた。東京までの移動は在来線。1日乗り放題の切符などを利用して、片道9時間、8回乗り継いでの移動だ。  どんな小さな役でも次につなげる。その気概を持ち続け、年間50本以上のVシネマに出演し、『平成でいちばん死んでいる役者』という異名も得た。  約束の3年まで、あと半年という時に、当時人気絶頂だったお笑いコンビ・猿岩石が主役の映画『一生、遊んで暮らしたい』のメインキャストに抜擢。これをきっかけにオファーが増え始め、生涯の目標としていた大河ドラマにも出演することになる。1作目の『功名が辻』では、エキストラ時代からの創意工夫と、やるべきことを一生懸命やる姿勢を貫き、最終回まで出演し、現場スタッフとの信頼関係もできた。大河ドラマには、その後も『龍馬伝』『平清盛』『軍師官兵衛』に出演している。


 作品に対する魂の込め方は、誰にも負けないと語るドンペイさん。その姿勢は、現場を共にした有名俳優たちやスタッフたちからもリスペクトされている。「一生懸命やる。役に大も小もありませんから、それはエキストラ時代から変わりません。日頃から五感を研ぎ澄まして、街で行き交う人を観察したり、ジムで会話や動きを観察したり、生活のすべてが演技の勉強になるんです」。  拠点が東京になった今も、京都でラジオ収録の際は滋賀の実家に寄っている。「通ってるジムのおばちゃんたちから“ドンペイちゃんて、芸能人ぽくないなぁ”って言われるから、“関ヶ原でスイッチオフにして帰ってますねん”って答えてます(笑)」。  目標は名脇役。笑顔が人を呼ぶ。人なつこい笑顔の裏は、俳優としての熱意があふれている。

 

【土平ドンペイ オフィシャルサイト】