Film:74『フリーダ 愛と痛みを生きた肖像』 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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■フリーダ 愛と痛みを生きた肖像

 

監督:カーラ・グティエレス

出演:フェルナンダ・エチェバリア・デル・リベロ

2024年製作/87分/アメリカ

 

象徴的なアーティスト、フリーダ・カーロの人生や考え、

精神を通して彼女の生の姿に迫る魔法の旅へ。

日記や赤裸々につづった手紙、エッセー、

そして出版されたインタビュー記事から、

抜粋された彼女自身の言葉で初めて語られる物語は、

彼女の忘れがたい芸術作品にインスピレーションを受けた叙情的なアニメーションにより、

生き生きと命を吹き込まれた。

(Amazonプライム・ビデオHPより)

 

 

「メキシコを代表する女性画家フリーダ・カーロを描いた映画といえば、

 サルマ・ハエック主演で2002年に制作された『フリーダ』がありますが。

 こちらは、今年の3月よりAmazonプライム・ビデオで配信されているドキュメンタリー。

 フリーダ本人や周囲の人々の言葉だけで構成されたものです。

 編集のテンポの良さに加えて、

 時おり挟まれるフリーダの作品を用いたアニメーションが良い感じで、

 最初から最後まで飽きることなく、一気に楽しむことができました。


 本作を通じて何より印象に残っているのは、フリーダの口の悪さ(笑)。

 セレブが気に食わないらしく、まぁまぁ汚い言葉でののしっていました。
 また、その怒りの矛先は、ニューヨークやパリという大都市にも。

 毒舌ぶりが痛快で、“いいぞもっとやれ”と思いながら視聴しました。

 そんなフリーダの晩年の言葉が、こちら↓

 

 「死んだら私は世界一のクソ大物になるでしょう」

 

 ロック歌手でさえ、こんなロックな言葉は残せないのでは?
 フリーダの人生が今なお多くの人を引き付けているのがわかった気がします。
 

 ちなみに。
 本編の冒頭では、学生時代にフリーダが行った“いたずら”が紹介されていました。

 それは、爆竹をくくりつけた犬を学校の中に放すというもの。

 現代だったら、完全にコンプライアンス的にアウトです。

 しかも、その様子を見て、フリーダは腹を抱えて笑っていたとか。

 ・・・・・ちょっとだけフリーダの好感度が下がりました。

 

 とはいえ、フリーダよりも好感度が下がるのが、
 フリーダの夫であった画家のディエゴ・リベラでしょう。
 女癖が悪いのを自認しており、

 開き直るような発言を繰り返していました。

 さらに、フリーダの実の妹にも手を出す始末です。

 

 他にも、この映画を通じて好感度が下がる人は多く。
 例えば、ソ連の政治家トロツキーは、
 メキシコに亡命した際に、妻がいながらも、
 ディエゴの妻であったフリーダに恋をしてしまい・・・。

 つまり、W不倫ですね。

 ところが、フリーダは半年で冷めたらしく。
 その後、トロツキーは未練がましく、

 別れて欲しくない旨の長文の手紙を送り続けたそうです。

 

 また例えば、シュルレアリスム宣言をおこなった詩人のアンドレ・ブルトン。
 メキシコを訪れて、フリーダの作品を観た際に、

 これはまさにシュルレアリスムの作品だと絶賛し、

 パリでの個展開催を約束したそうです。
 ところが、いざフリーダがパリを訪れたところ、
 何一つとして準備をしていなかったことが判明。
 ブルトンって意外と適当な人間だったのですね。

 

 極めつけは、イサム・ノグチ。
 彼もまた、フリーダと不倫をしていたそうです。
 ある日、フリーダと情事をしていたところ、

 そこに、銃をもったディエゴが乗り込んできたそうで、

 「また見かけたら撃ってやる」と脅し付けられたとか。

 修羅場にもほどがあります。

 

 フリーダに深く関わった人は、好感度が下がるようです。

 スター スター スター 半分星ほし(星3.5つ)」

 

 

 ~映画に登場する名画~

《ヘンリー・フォード病院》

 

 

 

 

 

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