犬派?猫派? | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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現在、山種美術館で開催されているのは、“犬派?猫派?”という特別展。

誰しも人生で一度は聞かれたことがあるであろう、

この究極の2択を冠した特別展に、猫派の自分が行ってきました。

 

(注:展示室内は一部撮影可。写真撮影は、特別に許可を得ております。)

 

 

「犬派?猫派?」と問いかけているだけに、

展覧会では、犬と猫がモチーフとなった作品が紹介されています。

もちろんフェアに、それぞれほぼ同数の作品が紹介されていました。

星星

 

白と黒の2匹の仔犬が描かれた伊藤若冲の《狗子図》や、

 

伊藤若冲《狗子図》 18世紀(江戸時代) 紙本・墨画 個人蔵

 

 

モフモフした犬が大集合した長沢芦雪の《菊花子犬図》

 

長沢芦雪《菊花子犬図》 18世紀(江戸時代) 絹本・彩色 個人蔵

 

 

当時はまだ珍しかったという洋犬が描かれた、

本展覧会にて初公開となる《洋犬・遊女図屛風》など、

 

《洋犬・遊女図屛風》 17世紀(江戸時代) 紙本・彩色 個人

 

 

気になる犬モチーフの作品はいろいろありましたが、

猫派の自分としては、どうしたって猫に惹かれてしまうわけで。

足を止めてじっくり観ていたのは、間違いなく、猫の絵のほうが多かったと思います。

とりわけ絵の前から動けなかったのが、

山種美術館のアイドル、竹内栖鳳の《班猫》です。

 

重要文化財 竹内栖鳳《班猫》 山種美術館蔵

 

 

エメラルドグリーンの瞳と目が合ったが最後、

気分がポ~ッと上気し、見つめ続けてしまいました。

 

そんな《班猫》の猫に負けず劣らず可愛らしいのが、

速水御舟本人が自信作と称した《翠苔緑芝》に登場する黒猫です。

 

速水御舟《翠苔緑芝》 1928(昭和3)年 山種美術館蔵

 

 

《班猫》の猫が正統派美猫なら、

《翠苔緑芝》の黒猫はツンデレな美猫。

ちょっとだけイジワルそうな感じが、『魔女の宅急便』のジジを思わせます。

 

ちなみに。

本展では他にも、浮世絵に描かれた猫や、

 

 

 

日本美術界のトップランナー、

山口晃さんによる戯画風の猫など、

 

山口晃《捕鶴圖》 撮影:宮島径 ©︎YAMAGUCHI Akira,Courtesy of Mizuma Art Gallery

 

 

さまざまなタイプの猫の絵が紹介されていました。

どの猫の絵にも共通して言えるのは、

作者の猫への愛が、画面から滲み出ていること。

本当に猫が好きで、その魅力をどうにか、

絵の中で表現しようとしたのかが伝わってきます。

対して、全体的に犬の絵は、

必然性があるから、犬を描いているような感じを受けました。

“どうしても描きたい!”という熱は、そこまで無いような。

 

犬派で唯一例外だったのが、川端龍子。

彼は生涯で何頭も犬を飼っていたようで。

それら飼い犬の日常の姿を絵にしています。

それも、大画面で。

 

 

 

いい意味で、ホームビデオを観させられているような気分になりました。

『さんまのSUPERからくりTV』ならば(←?)、

「その後犬に何が起こったか?」的なクイズが出題されそうです。

 

 

 ┃会期:2024年5月12日(日)~7月7日(日) 

 ┃会場:山種美術館
 ┃https://www.yamatane-museum.jp/exh/2024/dogcat.htmlutsu.html

 

 

 

 

 

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