久保寛子展「鉄骨のゴッデス」 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

美術を、もっともっと身近なものに。もっともっと楽しいものに。もっともっと笑えるものに。

現在、ポーラ ミュージアム アネックスでは、

“久保寛子展「鉄骨のゴッデス」”が開催されています。

こちらは、広島出身の今注目のアーティスト・久保寛子さんの最新個展です。

展覧会は、ポーラ銀座ビルの1階ウインドウからすでに始まっています。

 

 

 

一瞬、素通りしそうになりましたが、

ウインドウを覗き込んでみると、そこには・・・・・

 

 

 

タイヤ痕のある狸が横たわっていました。

誰ですか?この子を轢いたのは??

 

さてさて、久保寛子さんは、

身近な素材を用いて彫刻作品を制作するアーティストです。

と、一口に身近な素材といっても、その種類はさまざま。

例えば、工事現場で見かけるブルーシート。

彼女はそれを使って、土器のようなものを作っています(「青い尖底土器」シリーズ)。

 

 

 

また例えば、工事用のセメント。

彼女は、それを型に流し込んで、

オリジナルな魔除けのお守りを作っています(「ストリートアミュレット」シリーズ)。

 

 

 

他にも、パッと見、土嚢のように見える土器や、

 

 

 

工事現場などで目にする青いプラスチックネットや、

クリップ照明などで作られた《ヘッドライト シリーズ》など、

 

 

 

現代の無機質な素材を巧みに使用して、

古代文明や神話を連想させる作品を次々に発表しています。

なお、今回の展覧会では、それらの作品が、

緑の防風ネットで仕切られた空間に設置されていました。

 

 

 

工事現場で目にする際には、ただの防風ネットなのに。

久保さんの作品と併せて観ると、

古代遺跡の古代神殿の壁のように思えてくるから、不思議なものです。

 

そんな防風ネットの古代神殿の奥に鎮座していたのが、

本展のタイトルにもなっている最新作の《鉄骨のゴッデス》

黄色の防風ネットと、武骨な鉄の針金でできたスフィンクス(?)です。

 

 

 

『ちびまる子ちゃん』の野口さんにちょっと似た、

その表情こそは、なんともとぼけた味わいがありましたが。

 

 

 

謎の神々しさがありました。

頭では久保さんによる美術作品だとわかっているのですが、

まるで太古の昔から存在していた神像のように思えてしまうのです。

 

 

 

しかも、作品の内部に、光源はないはずなのに、

内側から光輝き、オーラを解き放っているようにも感じられるのです。

いやはや、完全に脳がバグりました。

まさに新感覚の鑑賞体験です。

星星

 

 

ちなみに。

個人的に一番お気に入りなのは、

《ホモエレクトス》と名付けられたこちらの作品です。

 

 

 

猿人か何かの頭蓋骨が剝きだして置かれているのかと、思わず二度見。

しかしながら、その正体は、軍手でした。

この発想は無かった。

 

 

 

 

1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ にほんブログ村 美術ブログへ