現在、調布市文化会館たづくりでは、
「共生」をテーマにした展示プログラム、
“調布×架ける×アート”が不定期に開催されています。
その第2弾として現在開催されているのが、“いのちのパレット 松本亮平展”。
大学では美術ではなく、構造生物学を学び、
洋画家の佐々木豊さんのカルチャーセンターに通って、
美術を学んだという異色の経歴を持つ松本亮平さんの最新個展です。
哺乳類に限らず、鳥も魚も虫も、
生きとし生けるものすべてが好きだという松本さん。
どの作品からも、そんな生きものへの強い愛が強く伝わってきます。
しかも、ただ生きものを写実的に描くのではなく。
ユーモアを交えて描くのが、松本亮平流。
生きものが好きな人も、そうでもない人も、
思わずクスっとなってしまうこと請け合いです。
ちなみに。
約60点近く出展された本展では、
松本さんが今のスタイルを確立する前の、
初期の作品も数点ほど紹介されています。
それらの中には、構造生物学を学んでいた頃の作品や、
(↑描かれているのは、その構造や働きが解明されて世界的に話題になったというタンパク質だそう)
人間を動物園の動物に見立てた、ちょっとダークな作風のものも。
こんな時代もあったのですね。
松本さんのエピソード0を知れる貴重な機会でした。
なお、近年の松本さんは、
日本美術をオマージュした作品を多く手がけており、
本展でももちろん、それらの作品が数多く出展されています。
その現時点での極めつけともいえるのが、
伊藤若冲の《鳥獣花木図》をオマージュしたこちらの作品です。
屏風絵の部分は、本家同様に、
升目書きで1つ1つ丁寧に描かれています。
いや、屏風の折れを表現している分、
一マスが正方形ではなく、平行四辺形となっているため、
もしかしたら、本家よりも手間がかかっているかもしれません。
それに加えて、猫のモフモフした毛並みも、
やはり筆で1本1本丁寧に描き込まれています。
とんでもなく手間ひまがかかった1枚です。
ある意味、若冲の本家の作品よりも、見入ってしまいました。
なお、松本さんは、この対となる作品をちょうど今制作中とのこと。
会期中、何度か会場にやってきては、特設のスペースで公開制作されるそうです。
(↑僕が訪れた日も、たまたま本人がいらっしゃいました!)
ちなみに。
こちらの制作スペースの右側には、
昨年、銀座画廊 美の起原で開催された展覧会、
“名画たちのホンネ展”のために描き下ろされた新作が。
左側には、カオスなWEBマガジン・ケムールでの連載、
『点灯者たち』のために制作して頂いたライターケースが展示されていました!
こんなことを自分で言うのもなんですが、
どちらも僕がきっかけで生まれた作品なわけで。
それが制作する松本さんの両脇に、
脇侍のような感じで飾られているということは、
まぁ、そういうことです(←どういうことだよ!)。
この展覧会に少なからず貢献しているのは確かなので、
少しくらいリターンがあっても良いような気がするところですが。
太っ腹にも、本展は入場料無料となっています!
なので、僕も1円も請求しないようにしたいと思います(←当たり前だ)。