国宝 雪松図と能面×能の意匠 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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年始年末の風物詩は数多くありますが、

美術界における年始年末の風物詩といえば、

やはり、三井記念美術館でお披露目される国宝《雪松図屏風》でしょうか。

 

 

 

3年ぶりにお披露目された昨シーズンに続き、今シーズンも、

三井記念美術館では、円山応挙の傑作《雪松図屏風》が公開されています。

 

 

 

約1年ぶりに目にしましたが、

“こんなにも煌びやかでしたっけ?”と思うくらいに、ゴールドが眩しかったです。

『マツケンサンバ』の松平健くらいに匹敵するほどの眩しさでした。

まさにお正月に観るに相応しいゴージャスさ。

おかげさまで良い1年が迎えられそうです。

 

さて、ただただ《雪松図屏風》を展示するだけでなく、

毎回、さまざまな切り口、取り合わせで紹介してきた三井記念美術館。

今年は、“国宝 雪松図と能面×能の意匠”と題して、

三井記念美術館が所蔵する能面と能装束の優品と併せて紹介しています。

 

 

 

見どころは何と言っても、重要文化財の旧金剛宗家伝来の能面の数々。

まとまった形で公開されるのは、約10年ぶりとのことです。

その中でも特に見逃せないのが、《孫次郎(オモカゲ)》

 

重要文化財 伝孫次郎《孫次郎(ヲモカゲ)》 室町時代・14~16世紀 三井記念美術館蔵

 

 

女性の顔なのに、なぜに“孫次郎”と男性の名前なのでしょう?

と疑問に思っていたら、なんでも、

室町時代の能役者・金剛孫次郎が、

若くして亡くなった美しい妻を偲び、彫り上げた面なのだとか。

だから、孫次郎。だから、オモカゲなのですね。

なお、この《孫次郎(オモカゲ)》は、女面の傑作と名高いそう。

確かに、まぶたや頬、鼻筋と目の間など、
顔の表面に現れている曲線のどこを取っても、繊細で優美でした。

しかも、それにより、見る角度によって、驚くほどに表情が変化します。

“能面なような表情”というと、一般に無表情であることを指しますが。
本当に素晴らしい能面は、こんなにも表情が豊かなものだったのですね!

星星

 

 

もちろん、《孫次郎(オモカゲ)》以外の能面も、

笑福亭鶴瓶ばりに笑っても目の奥が笑っていない《翁(白色尉)》や、

 

重要文化財 伝春日《翁(白色尉)》 室町~桃山時代・14~17世紀 三井記念美術館蔵

 

 

竹中直人の「笑いながら怒る人」みたいな《顰》

 

重要文化財 伝赤鶴《顰》 室町~桃山時代・14~16世紀 三井記念美術館蔵

 

 

なんとなくブルースを歌っていそうな顔の《中将(鼻まがり)》をはじめ、

 

重要文化財 伝福来《中将(鼻まがり)》 室町~桃山時代・14~16世紀 三井記念美術館蔵

 

 

どの能面も実に表情が豊かでした。

しかも、一度観たら忘れられない個性的な顔立ちをしています。

ちなみに、画像が無くて恐縮ですが、

個人的にもっとも印象に残っている能面は、《景清》

ディズニーのアニメ映画に出てくる悪役みたいな顔をしていました。

 

 

なお、《雪松図屏風》が展示されている展示室では、

《雪松図屏風》を中心にして、その脇を華やかな能装束が飾られています。

 

 

 

能装束なんて、ただの舞台衣装でしょ?と侮るなかれ!

どれも、そんな次元ではない豪華絢爛な衣装でした。

 

 

 

かつて、NHKの紅白歌合戦で、

美川憲一と小林幸子が豪華な衣装を競っていたように。

能装束にも贅が凝らされていたことを実感させられました。

 

ちなみに。

一番印象に残っているのは、こちらの《刺繍七賢人模様厚板唐織》

 

 

 

豪華絢爛は豪華絢爛なのですが、

目を凝らしてみると、ところどころに謎のキャラがいました。

 

 

 

それから、素朴な顔立ちな人たちも。

 

 

 

どういうオーダーをしたら、こんな衣装が出来上がるのでしょう。

昨年、イヴ・サンローラン展や、

クリスチャン・ディオール展で観たどの衣装よりも、

この《刺繍七賢人模様厚板唐織》のほうに、クリエイティビィティを感じました。

 

 

 

 

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