第百七十一話 国宝ハンター、反省する! | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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前回までのあらすじ~

日本にある国宝をすべて目にしたい。
そんな欲望のパンドラの箱を開けちゃった男がいるんだよね。
その男の名は、国宝ハンター・とに~っていうんだよね。
彼が企画を始めた時、国宝は1082件しかなかったんだけど、
年々増え続けて、現在は、なんと1116件になっているという事実。
彼にゴールさせまいという何らかの陰謀が働いているんだよね。
ヤバいでしょ?
国宝ハンターが、これまでに目にした国宝の数は、999。
この数字を鏡に移すと、666。
ということは、彼もフリーメーソンに関係しているかもしれないよね。
信じるか信じないかはあなた次第です。



2011年8月1日から始まった 「国宝ハンター」 という企画。
ついに1000件を達成する日が来ようとは!
自分自身が一番ビックリしています。

記念すべき、1000件目。
そこは、やはりスペシャルな回にしたいものです。
“さて、どこにするべきか?” と、数か月前から悩んでいたところ、
昨年10月に、「沖縄の建造物、初の国宝指定へ」 というニュースが飛び込んできました。

これだ!!

1000件目の国宝は、自分へのご褒美もかねて、
人生初沖縄、それもリゾート気分でハンティングする。
うんうん。スペシャルな感じがします。
(ただし、スケジュールと予算の関係上、日帰りですがw)


ということで、1か月以上前から入念に準備をしていました。

・・・・・・・・ところが!!

出発前日、まさかのハプニングが発生。
帰りの飛行機の予約が取れていないことが判明したのです。
あれっ?嘘?何で (汗)??

慌てて、航空券の予約を取り直そうとしましたが、
当然のように、希望とする時間帯の便の空席は見つかりません。
1時間以上、探してみるも、空振り続き。。。
1000件目のハンティングを祝うはずが、
999件もハンティングして、何も成長していない自分に愕然とさせられました。
反省も反省です。
“これはもう明日キャンセルだな・・・” と諦めかけた瞬間、奇跡的に1席見つかりました!
国宝の神様、ありがとうございます!!




そんなわけで、なんとか無事に沖縄にやってくることが出来ました。

人生初の沖縄。
見るものすべてが、新鮮でした。
「へー、本当にシーサーがあるんだキラキラ」 とか、




「わー、郵便局や交番も沖縄風だキラキラ」 とか、




「うひょー、ローソンも沖縄風だキラキラ」 とか、




いちいちテンションが上がりまくり。
おかげで国宝のことを、すっかり失念してしまいました。
またまた反省です。


気を引き締め直して、沖縄のシンボルへと向かいます。
こちらは、二千円札でもお馴染みの守礼門。




そして、その先にあるのが首里城です。




沖縄の国宝建造物と言ったら、
その2つのうちのどちらかであるような気がしますが。
実は、どちらも国宝ではありません。
(正殿はかつて国宝に指定されていましたが、戦後に解除)

昨年10月に国宝に指定されたのは、
首里城のほど近くにある 《玉陵》 (ジャンル:建造物) です。
読み方は、『たまりょう』 ではなく、『たまうどぅん』 。
史上最も難読な国宝といえましょう。




国宝に指定されたばかりなので、
入り口の表記は、まだ “重要文化財” のままでしたが。
券売所兼資料室の建物内では・・・





謎のキャラクターが国宝指定を祝っていました。
ちなみに、このキャラは、“たまちゃん” という名前なのだとか。
どちらかといえば、「うどぅん」 のほうを活かした名前にしたほうが良いような気が・・・。


何はともあれ、いよいよ 《玉陵》 へ。
ガジュマルの樹を抜けると・・・




要塞のような、古代遺跡のような建造物が姿を現しました。




まずは、石造りの門。




それをくぐると、さらに石造りの門。




そして、その先にあるのが、《玉陵》 です。




大きすぎて、全景を写真に収めるのは至難の業。
そのスケールにただただ圧倒されました。

さてさて、《玉陵》 とは、琉球王国、第二尚氏王統の歴代国王が葬られている陵墓。




この扉の向こうに歴代の国王たちが、眠っているのです。
それゆえ、シーサーたちも万全の態勢でお墓を守っています。




『たまうどぅん』 という響きから、古墳のような大らかな場所を想像していたのですが、
信心深くない僕ですら自然と手を合わせてしまうほどに、厳かで神聖な雰囲気の場所でした。
しかも、敷地内には拝所があり、
そこでおばあちゃんたちが、地元の言葉で熱心に祈りを捧げています。
想像していた以上に厳粛な空気が漂っていました。



・・・・・・・・・・・・。


とてもではないですが、

「ついに1000件目達成したぞー!」

と、はしゃぐ気持ちにはなれませんでした。




敷地に一歩足を踏み入れた瞬間、お祝いムードはどこか彼方へ。
終始、無言。終始、神妙な空気。
最後は、静かに深々と一礼して、《玉陵》 をあとにしました。


なぜ、1000件目にこの国宝をチョイスしてしまったのか。
猛省しています。


今現在の国宝ハンティング数 1000/1116




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