現代における一般的な美人像とは、だいぶ異なっています。
では、現代の美人のイメージは、一体いつ日本に誕生したのでしょうか??
その答えは、現在、ポーラ美術館で絶賛開催中の展覧会、
“モダン美人誕生-岡田三郎助と近代のよそおい” にありました。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20190113/19/artony/d0/85/j/o1914129814338258969.jpg?caw=800)
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております)
展覧会の冒頭を飾るのは、ポーラ美術館が所蔵する 《少女像》。
ちょっと高畑充希似の少女が、物憂げな表情を浮かべた一枚です。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20190113/19/artony/2d/8d/j/o1225101114338266198.jpg?caw=800)
この絵を描いたのは、今年生誕150年を迎える洋画家・岡田三郎助。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20190113/19/artony/a4/de/j/o1705141914338262559.jpg?caw=800)
ちょっと竹野内豊似の彼こそが、今展の主役、
現代に通ずる 「美人イメージ」 を生み出したキーパーソンです。
実は、先ほど紹介した 《少女像》 とよく似た作品があります。
それが、今展の目玉作品の一つ、《ダイヤモンドの女》。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20190113/19/artony/9f/9b/j/o1170165414338268158.jpg?caw=800)
岡田三郎助 《ダイヤモンドの女》 1908(明治41)年 福富太郎コレクション資料室蔵
こちらは、日本初のミスコンと言われる、
「日本美人写真募集(良家の淑女写真コンクール)」 の告知宣伝のポスターのために描かれた作品です。
そのミスコンの優勝賞品は、ダイヤモンドの指輪。
つまり、ダイヤモンドの指輪を嵌めたこの女性は、
日本一の美人のイメージで描かれているというわけです。
明らかに、江戸時代とは異なる美人の姿。
現代の美人イメージを定着させた重要なポスターといっても過言ではありません。
ちなみに、そのミスコンの地方予選の一等賞品は、ルビーの指輪だったとのこと。
《少女像》 の手元をよく見てみると、ルビーの指輪が嵌められています。
ということは、《少女像》 の少女は、地方予選の優勝者。
《ダイヤモンドの女》 と見比べると、ややあか抜けない印象を受けますね。
おそらく、岡田は描き分けていたのでしょう。
ところで、気になるのは、「日本美人写真募集」 の優勝者。
一体どんな女性がミスに輝いたのでしょう?
岡田三郎助ら審査員が満場一致で選出したのは、
福岡県小倉市長の娘、末弘ヒロ子 (当時16歳) でした。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20190113/19/artony/3f/d6/j/o2016151214338275691.jpg?caw=800)
写真館の主だった義兄が勝手に写真を応募したという、
まさかのジャニーズ事務所にありがちなパターンでの優勝。
しかし、何も知らされてなかった末弘ヒロ子は、いきなり優勝と言われても困惑するのみ。
「はしたないから」 という理由で、泣いて受賞を辞退しようとしたそうです。
ところが、優勝賞品がダイヤモンドの指輪と聞いて、態度を一変。
優勝を承諾したのだそうです (←それが、一番はしたない気がw)。
また、今でいうデザイナーやクリエイティブディレクターの役割も担っていた岡田三郎助。
類まれなるファッションセンスを持っていた岡田は、
流行の最先端であった百貨店とタッグを組み、数多くの看板やポスターを手掛けました。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20190113/19/artony/8e/22/j/o2016151214338284586.jpg?caw=800)
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20190113/19/artony/d4/f5/j/o2016151214338285033.jpg?caw=800)
これらの看板やポスターに描かれたファッションが、
当時のモダンガールたちに、大きな影響を与えていたそうです。
と、ここで一つ気になったのは、
岡田三郎助の描く女性は、和服が多いこと。
顔立ちはわりと現代風なのに、ファッションは古風です。
なんでも岡田は、大の着物好きで、熱心な着物コレクターだったのだとか。
今展では、そんな岡田三郎助の旧着物コレクションも、
関連する絵画作品と併せて出展されています(展示替えあり)。
ポーラ美術館が誇る岡田三郎助の傑作、《あやめの衣》 も実物の着物とともに展示されていました。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20190113/21/artony/b9/d1/j/o2016151214338361579.jpg?caw=800)
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20190113/21/artony/e6/20/j/o1431218914338361671.jpg?caw=800)
岡田三郎助 《あやめの衣》 1927(昭和2)年 ポーラ美術館蔵
後姿美人の女性モデルに、この着物を着させた上で、
右肩部分をはだけさせて・・・って、いかんいかん (汗)
実際の着物があったことで、
妙に艶めかしく (生々しく?) 、想像 (妄想?) を巡らせてしまいました。
さてさて、展覧会では、岡田三郎助の作品以外にも、
明治から昭和の間で活躍した洋画家や日本画家たちによる新たな美人像の数々が紹介されています。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20190113/21/artony/d9/43/j/o1943118514338371807.jpg?caw=800)
その中で個人的に特に印象に残っているのは、
鏑木清方の門人だった榎本千花俊による 《池畔春興》 です。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20190113/21/artony/55/60/j/o1323165414338372161.jpg?caw=800)
榎本千花俊 《池畔春興》 1932(昭和7)年 島根県立石見美術館蔵
2人のファッションといい、不思議なギミックの日傘といい、
左の女性が手にするビデオカメラといい、右の女性が腕にかけてる毛皮といい。
モダンな要素はふんだんなのに、
画面の端々に描かれた花や鳥の描写は、いかにも伝統的な日本画といった感じ。
まるで2つの時間軸が並列しているような、チグハグな印象を受ける新感覚な一枚です。
絵画以外にも、当時の化粧品や雑誌、
女性の所作のマニュアル本などなど、美人にまつわるエトセトラが展示されていました。
女性は美を追い求め、男性は美人に恋焦がれ。
いつの時代も、人は美人に魅了されるものなのですね。
美人な方はより楽しく、そうでない方はそれなりに楽しめる展覧会といえましょう。
![星](https://emoji.ameba.jp/img/user/ri/rikatori/56300.gif)
![星](https://emoji.ameba.jp/img/user/ri/rikatori/56300.gif)
ちなみに、展覧会にモダンガールが多く登場することから、
『はいからさんが通る』 とコラボした撮影スポットも用意されています。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20190113/22/artony/cc/7b/j/o1895147114338383281.jpg?caw=800)
キャラ全員、足が異常に長すぎるので、
その隣に並んで撮影する勇気はありませんでした (笑)
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