第百七十話 国宝ハンター、捕まる! | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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前回までのあらすじ~

日本全国の国宝を見て回る。
そんな負荷・・・もとい、試練を自身に課して、早8年。
ついに997件の国宝をハンティングしました。
あと約120件しかできません!
十分、自分を追い込めたと思います。
国宝は裏切らない・・・



福岡から佐賀へとやってきました。
人生初佐賀県です。




はなわのせいで、建物といえば民家しかない、
車なんてめったに通らないというイメージを佐賀県に抱いていましたが。
そんなことは全くなかったです!
駅前は、他の街と大差なく、普通に栄えていました。

ただ、他の街と違ったのは、街中にやたらと佐賀の偉人の像が設置されていたこと。
建築家、辰野金吾と曾禰達蔵に、




日本を代表するお菓子メーカーの礎を築いた森永太一郎と江崎利一に…etc




その数、実に25体も設置されていました!
駅前近くの交差点に至っては・・・




10体の像が、密集して設置されています。
若干ホラーめいた光景です。


と、街中の像に気を取られて、国宝のことをすっかり忘れていました。
余計なことが気になってしまうのが、僕の悪い性 (SAGA) です。
今回の目的地へ向かいましょう!




やってきたのは、徴古館。
旧佐賀藩主・鍋島家に伝わる美術工芸品や古文書を展示する博物館です。
佐賀県で最初に開館したという歴史ある博物館なのだとか。

そんな徴古館で、現在10年ぶりに公開されているのが、
佐賀県唯一の国宝 《催馬楽譜》 (ジャンル:書跡・典籍) です。




催馬楽 (さいばら) とは、一般庶民の間で発生した歌謡が、
平安時代になって雅楽の中に採り入れられ、宮廷歌謡となったもの。
《催馬楽譜》 は、催馬楽の譜面です。
つまり、平安時代のヒットソングの楽譜が掲載された歌本のようなものといえましょう。


さてさて、スケジュール的には、徴古館には30分ほどしか滞在できず。
ササッと 《催馬楽譜》 だけを観て、帰ろうかと思っていたのですが、
展覧会場の入り口に入るやいなや、いきなり館の人 (=年配の男性) から声を掛けられました。

「どちらからお越しになられたんですか?」

「あ、東京からです」

「そんな遠くからわざわざ・・・」

そう言うなり、マンツーマンのギャラリートークが突如としてスタート。
サービス精神で始めてくれているのでしょうから、

「そういうの結構です!」

と無下にできず。
ギャラリートークにお付き合いすることに。
しかし、10分経過、15分経過、一向に終わる気配がありません (汗)
このままでは国宝がハンティングできないので、意を決して、

「あのー・・・そういえば・・・今って国宝が公開されてるんですよね?
 それって、どちらにありますか?」

《催馬楽譜》 は下の階にありますよ。案内しましょうか?」

「あー、いえいえ、十分いろいろ教えてもらって、
 これ以上は申し訳ないので、一人で観に行ってきます。ありがとうございました!」

そそくさと下の階へと移動しました。
なんとか危機を脱出し、《催馬楽譜》 を探していると、サイドから新たな館の人 (=若い男性) が出現!
「その展示品はですね・・・」 と、再びマンツーマンのギャラリートークがスタートしました。

こっちもかーい!

向かうところ敵 (?) ばかり。
ウォーキング・デッド状態です。
一通りギャラリートークが終わり、その後、《催馬楽譜》 を無事にハンティング。
“さて、もう帰らなくちゃ!” と思ったその次の瞬間、
背後から、「この後、お近くを観光されるんですか?」 と声を掛けられました。
振り向くと、三たび新たな館の人 (=女性)。

不覚!!

結局、徴古館には1時間近く滞在することとなりました。
佐賀の人間とっても世話好きラー。


さてさて、九州から帰宅後して数日後には、千葉県の国立歴史民俗博物館へ。




こちらでは限定公開中の 《宋版漢書(慶元刊本)》 (ジャンル:書跡・典籍) をゲットしました。




・・・・・というわけで。

今現在の国宝ハンティング数 999/1116


1000件まであと1つ!




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