「1968年」 ―無数の問いの噴出の時代― | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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国立歴史民俗博物館で開催中の “「1968年」 ―無数の問いの噴出の時代―” に行ってきました。

1968年
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)


世界的にはベトナム反戦運動が展開され、
アメリカではキング牧師暗殺を契機に公民権運動が勢いを得て、
社会主義圏では、「プラハの春」 と言われたチェコスロバキアの民主化運動が起きて・・・と、
何かと世界各地で社会運動が巻き起こっていた1968年。
日本もその例に漏れず、「ベトナムに平和を!市民連合」(略称:ベ平連) や、
三里塚闘争や水俣病闘争、東大紛争や日大闘争といった学生運動など、多くの社会運動がありました。
そんな日本の1968年前後の社会運動の数々が、
約500点 (!) にも及ぶ膨大な資料で紹介されていました。

展示
鉢巻
展示


一般市民が中心となった社会運動の資料だけに、
展示品の多くは、彼らの手によって作られた配布物、ガリ版によるものでした。

ガリ版


小学校の時のテストやプリントはガリ版だったので、
“あぁ、懐かしいなァ” と感じることは、まだギリギリ出来ましたが。
自分よりも下の世代となると、おそらくガリ版は知らないはず。
世代を感じずにはいられません。


ベ平連も三里塚闘争も水俣病闘争も、
東大紛争や日大闘争といった学生運動も、昭和史を語る上では重要なトピックですし。
社会運動自体は、今でも形を変えて続いていますし。

べ
(ベ平連の若者たちがフォークソングで反戦を訴えていたのは、SEALDsの平和ラップに通ずるものがあります)


意義のある展覧会ということは、重々承知していますが、
1968年の社会運動を知らずに育った僕的には、何の共感もない展覧会でした。
世代の人には、きっとドンピシャなのでしょうが。
星

ガリ版の資料の実物を見たところで、何のテンションがあがるのか?
学生運動していた当時の学生に、どう共感すればいいのか?
そもそも、1968年がテーマなら、ちょうど50年後となる来年まで開催が待てなかったのか?
無数の問いが噴出する展覧会でした。


ちなみに。
全国の学生運動を取り上げたコーナーで、弘前大学も紹介されていたのですが。

全国


そこに、のちに 『ガンダム』の生みの親の1人となるアニメーターの安彦良和氏の名前を発見。
実は、安彦氏を中心とするメンバーは、弘前大本部を3週間も占拠したことがあるとのこと。
最終的には建造物侵入、不退去罪の疑いで逮捕され、大学を除籍処分になったのだとか。

「認めたくないものだな。自分自身の、若さゆえの過ちというものを。」

シャアのあの名言は、こんな過去から生まれたのかもしれません。



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