馬琴と国芳・国貞 八犬伝と弓張月 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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今年2017年は、江戸の大ベストセラー作家・曲亭 (滝沢) 馬琴が生誕して250年の節目の年。
それを記念して、現在、太田記念美術館では、
“馬琴と国芳・国貞 八犬伝と弓張月” という展覧会が開催されています。

ちらし


曲亭 (滝沢) 馬琴の代表作と言えば、
『ドラゴンボール』 の元ネタにもなった 『南総里見八犬伝』。
1814年から1842年まで28年もかけて書かれた全98巻106冊にも及ぶ超長編小説です。
そして、馬琴の出世作ともいえるのが、『椿説弓張月』。
こちらは、“保元の乱で自害した源為朝は実は生きていて、琉球に渡っていた・・・” というお話。
どちらもあまりの人気のため、歌舞伎化 (2.5次元舞台化?) 、
さらには、人気絵師によって浮世絵化 (漫画化?) もされました。
まさに、江戸時代のメディアミックス。

今回の展覧会では、そんな馬琴の2大小説を題材とした浮世絵の数々が紹介されています。
どちらも、アクションシーン満載の小説なので、
題材として選ばれるのは、やはりそうしたシーンが多め。

歌川国芳「讃岐院眷属をして為朝をすくふ図
歌川国芳 《八犬伝之内芳流閣》

歌川国芳「讃岐院眷属をして為朝をすくふ図
歌川国芳 《讃岐院眷属をして為朝をすくふ図》


しかも、より盛り上げるべく、レーザービームのようなものも飛びまくっていました。
(きっと、今の時代だったら、CGで付け加えるのでしょう)

歌川芳艶 為朝誉十傑 白縫姫 崇徳院
歌川芳艶 《為朝誉十傑 白縫姫 崇徳院》

国定
歌川国貞 《豊国揮毫奇術競 蒙雲国師》


そういう意味では、見るのにちょっと疲れる、
カロリーを消費する浮世絵展だったように思えます。
万全の体力で臨まれることをオススメします。
星


元ネタが元ネタなだけに、ユーモアある浮世絵は少なかったですが。
気になった作品をいくつかご紹介いたしましょう。

まずは、歌川国芳の 《義勇八犬伝 犬江親兵衛》
主要メンバーの名前全員に “犬” の字が入るほどに、やたらと犬推しの 『南総里見八犬伝』。
だからって、何も服まで犬柄でなくても・・・(笑)

歌川国芳 義勇八犬伝 犬江親兵衛


めちゃめちゃダサいです。
というか、人面犬みたいで、むしろ怖いです。
ダサ怖い。


同じシリーズのうちの1枚 《義勇八犬伝 犬坂毛乃》 も気になった一枚。

義勇八犬伝 犬坂毛乃


刀の持ち方が、なんか妙。
無理やり手首を捻っているような。。。
それよりも妙なのが、左上に描かれた鳥。
顔が逆さまになっています。
こちらも首を一捻り。


鳥が妙だったと言えば、国芳の 《為朝と鬼夜叉》 という作品も。

為朝と鬼夜叉


連続写真みたいな感じになっています。
こんな気持ち悪い飛び方をする鳥なんて、実際にいるのでしょうか。
鳥が気味悪すぎて、手前の戦闘シーンが全然入ってきませんでした。




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