出雲-聖地の至宝- | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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現在、出雲大社は、60年ぶりに、本殿の修復や檜皮葺の屋根の葺き替えが進められています。
また、今年は、出雲大社についても語られている 『古事記』 が編纂されて、ちょうど1300年の節目の年。

そんな奇跡的なタイミングを記念して、
現在、東京国立博物館では、 “出雲” にスポットを当てた “出雲-聖地の至宝-” が開催中!
出雲大社の宝物をはじめ、島根県を代表する文化財の数々が紹介されています。


東京展に先行して開催されていた京都展が、かなり好評だったとのことなので。
かなり期待をして訪れたのですが・・・・・。

「えっ、これで終わり??」

という感じがハンパではなく、物足りないことこの上ない展覧会でした。


重要文化財の 《鹿埴輪》 や、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-鹿埴輪


国宝の 《鳥文縁方格規矩鏡》 をはじめ、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-鳥文縁方格規矩鏡


京都展では出展されていた作品の半数近くが、東京展では出展されていませんでした。
さらに、“古事記1300年 特別展” とか言いながら、
京都展では出展されていた国宝の 《古事記》 も出展されていないという現状。。。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-古事記


古事記が出展されていないのに、 “古事記1300年” の特別展とは、これいかに?!
京都展と比べて、スケールダウンしている感は否めません。

・・・と、HPを、よく観てみると、今さらながら、あることに気が付きました。
巡回展ながら、京都展と東京展では、タイトルが違うのです。

東京展のタイトルは、 “出雲-聖地の至宝-” 。
そして、京都展のタイトルは、 “大出雲展” 。

タイトルからして、スケールダウンしていました (笑)


さらに。
今回の展示の目玉の一つである出雲大社所蔵の国宝 《秋野鹿蒔絵手箱》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-秋野鹿蒔絵手箱


こちらが、東京展で展示されているのは、先週の11月4日まで。
つまり、今週からは、さらなるスケールダウンな展覧会になっています。
星


というわけで、全体的には、ガッカリな感じでしたが。
今回の展示のもう一つの目玉である出雲大社の 《宇豆柱》 は、見られて良かったです。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-宇豆柱


宇豆柱とは、出雲大社本殿の棟を支えていた柱で、
3本の杉の大木を束ねることで、直径3メートルの1本の太い柱にしたものです。
3本の大木を束ねちゃうなんて、杉だけにワイルドだぜぇ~。
たかが杉なはずなのですが、出雲大社を長年支えてきたからでしょうか。
ただの杉とは思えない神聖なパワーが発せられていました。


それと、島根県の加茂岩倉遺跡から出土した 《銅鐸》 の数々にも同じくらい感動しました。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-銅鐸


長い年月を経て、銅鐸の表面は、完全に酸化してしまっていたわけですが。
その緑青の発する色合いの美しさと言ったらないです。
まるで最高峰の日本画を観ているかのような美しさでした。
(日本画の岩絵の具には、緑青が使われています)


《宇豆柱》 や加茂岩倉遺跡の 《銅鐸》 が良かっただけに。
東京に巡回して来るのを待たないで、いっそ京都へ行ってしまえば良かったなァと、今さらながらに後悔です。




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