中国 王朝の至宝 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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東京国立博物館で開催中の “中国 王朝の至宝” に行ってきました。

こちらの美術展には、特別出品の 《阿育王塔》 をはじめ、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-阿育王塔


四川省の成都市金沙遺跡から出土した 《金製仮面》 に、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-一級文物 金製仮面


前4世紀、戦国時代に作られた高さ約1.5メートルの 《虎座鳳凰架鼓》 など、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-虎座鳳凰架鼓


中国が誇る一級文物 (=中国の国宝) の数々が出展されています。
その割合は、なんと全出展作品のうちの約60%!
つまり、出展作品の3つに2つは、一級文物ということ!!
いかに破格の美術展かということが、お分かり頂けることでしょう。


いくらか落ち着きを見せているとは言え、
まだまだ日本と中国との関係が、ビミョ~なこの現状で、
今回の美術展を無事に開催することができたのは、奇跡的なこと。
いろいろと開催まで大変だったのだろうなァと、その苦労が偲ばれます。
入場の際に、手荷物検査が義務付けられていますが、
無事に開催して頂けたのですから、それくらいの煩雑さは、なんのそのです。




・・・・・ただし。
日中関係をビミョ~にするつもりは、さらさら無いのですが。
僕的には、今回の美術展は、イマイチ乗り切れない美術展でした。
展示されているもの自体は、とっても素晴らしいのですが、
中国の歴代王朝を対決形式で紹介するという美術展のコンセプトは、とってもビミョ~。

「第一章 王朝の曙 蜀vs夏・殷」 とか 「第二章 群雄の輝き 楚vs斉・魯」 とか。
合計で、6ラウンドの対決 (?) が紹介されていたわけですが。
6×2で、全部で12の王朝が登場するので、
その都度、キャプションを通して、王朝についての知識をインプットしなくてはなりません。
そして、せっかく覚えても、1王朝につき、平均して展示品は15点くらいなので、
深い理解を得る前に、 「あ、もう次の王朝が出てきた (汗)」 となる繰り返しでした。
全体をパラパラと眺めて、なんとなく、

「中国には、こんな王朝の数々があったんだ~。ふ~ん」

というくらいに理解を留めるのが、ちょうどよい美術展だった気がします。
ディアゴス○ィーニ社あたりが、 『週刊 中国の王朝』 という雑誌を創刊したら、
1冊 (1王朝) につき、これくらいの情報量が語られるんだろうなぁという感じでした。
2つ星。
星星


さてさて、ビミョ~とは言っても、
「1級文物が60%も展示されている美術展」 というのは、ダテじゃありません。
作品1つ1つのレベルは高いので、満足度が得られるのは確かです。

個人的に印象に残っている作品を、いくつかご紹介いたしましょう。
まずは、 《跪射俑》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-跪射俑


秦の始皇帝のお墓から発見された6000体以上の兵馬俑のうちの1つ。
跪いて、石弓を構えている姿を現しているのだとか。
確かに、その眼光は鋭く、人形とは思えない威圧感がありました。
トーハクにいた警備員さんよりも、ガードする気が満々だったような (笑)


続いて、 「斉」 の都の付近で発見されたという前4~3世紀の青銅器の容器 《犠尊》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-犠尊


このフォルムは、まさにロディ!
ポップな色合いじゃないけれど、ロディです!!
ロディのルーツは、斉文明にあったのですね。


全部で12の王朝が紹介されていましたが、
個人的にツボだったのは、蜀文明の作品が多数でした。
メキシコの覆面レスラーを彷彿とさせる 《人頭像》 だったり、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-人頭像


不敵な笑みを浮かべる謎キャラ 《突目仮面》 だったり。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-突目仮面


でも、その中でも、さらに一際異彩を放っていた蜀文明の出土品が、 《人形器》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-人形器


「なんだチミは(笑)!?」




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