没後120年 ゴッホ展 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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本日最初にお聴き頂いたナンバーは、平井堅で 『太陽』 でした。
実は、こちらのナンバー、国立新美術館で開催されている
“没後120年 ゴッホ展-こうして私はゴッホになった-” のオフィシャルテーマソング。
平井堅がゴッホをイメージして描き下ろした曲なのだとか。
きょうび、気合いの入った美術展は、テーマソングまで作ってしまうのですね。


さてさて、日本で一番人気の画家・ゴッホの大々的な回顧展。
気合いが入っているのは、主催者側だけではありません。
観客の皆様もまた、気合いが入っています。
会期が始まって、まだ1ヶ月も経っていませんが、早くも会場はヒートアップ!
“ちょっとは空いてたりして” と、ごく淡い期待をしていましたが、
平日にも関わらず、美術展会場は、パルコのグランバザール並の混雑っぷり。
予想を上回るほどの混みように、

「あはははっ、見ろ!人がゴッホの描く渦のようだ!」

と、思わず泣き笑いしたくなりました。



というわけで、ほぼゆったりとは観れませんでしたが。
それでも、混んでても行くだけの価値がある美術展でした。
星星星
出展作品のレベルの高さという点だけ考えれば、今年最高の美術展かも。


何と言っても、今回の美術展のポイントは、
ファン・ゴッホ美術館とクレラー=ミュラー美術館という、
2大ゴッホ美術館のコレクションから作品が出展されている点。
ゴッホ関連の書籍で見かける作品が、多数登場しています。

例えば、 《灰色のフェルト帽の自画像》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-灰色のフェルト帽の自画像


初めて、この絵を生でマジマジと観ましたが、
ゴッホ本人よりも背景部分のパワーに圧倒されました。
‘ねるねるねるね’ を食べた時の魔女と同じくらいに目立つ背景です。




《サン=レミの療養院の庭》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-サン=レミの療養院の庭


こちらの作品も、画像で観るのと実物で観るのには、大きな差がありました。
実物は、絵の具の関係もあるのでしょうが、だいぶキラキラと輝いていました。
そのキラキラさが、自然や太陽光の美しさを直接的に表現しているかのよう。
観るだけで、元気が出る絵というのは、こういう作品のことを差すのでしょう。


僕が、今回一番印象に残ったのは、 《アイリス》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-アイリス


どこか 《燕子花図》 を連想させるところがあり、
日本人の心に、スーッと入ってくる作品です。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-燕子花図・右


・・・・・が、1分ほど観ていると、妙に圧迫感が。

“んっ、何だ何だ?《燕子花図》 を観ていた時はそんなこと無かったのに??”

おそらく、画面いっぱいに対象が描かれているのが、その原因かと。
余白に美を感じる日本人とは対照的に、
“空白恐怖症なのでは…?” というほどに空白を埋め尽くそうとするゴッホ。
明らかに、このアイリスの量は、花瓶のキャパを越えている気がします。
画面いっぱいに描いたというよりは、
画面内に無理やりアイリスを押し込めて描いたという印象。
ちょっと怖いです。。。


他の絵も、また然り。
《ゴーギャンの椅子》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ゴーギャンの椅子


これまた、椅子がだいぶキツキツに画面に収められている印象。
背もたれと画面上のスレスレ感は、もはや手に汗握るほどのスリルです (笑)


今回の目玉の一つ 《アルルの寝室》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-アルルの寝室


こちらも、やはり無理無理に室内の全景を、
キャンバスに収めようとした印象を受けました。
広角レンズでないと、こんな風には収まりきらないでしょう。
この絵の場合は、画面の左の椅子のスレスレ感に、スリルを覚えます (笑)


ちなみに、今回の美術展会場には、
完全に再現された、この 《アルルの寝室》 が。
このまんまを再現しているので、

「狭っ!」

ってことになっています。
実際は、あそこまで狭くなかったでしょうが、
あんな狭い寝室をあてがわれたら、それはゴーギャンも怒ります。
ゴッホとゴーギャンの仲違いの原因は、寝室の狭さだった・・・のかもしれないですね。





ランキングでは1位スレスレを狙っています
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