今回は、渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで、
5月6日まで絶賛開催中の “ルノワール+ルノワール展” をご紹介いたしましょう。
“印象派の殿堂” オルセー美術館が所蔵するルノワールの名画がたっぷりと公開されるとあって、
全国のルノワールファン、印象派ファンが、昨年から “まだか、まだか” と待ち続けていた美術展。
僕は2度も行ってしまったのですが、平日ながらも、その両日ともに大盛況。
ルノワールの作品だけでなく、もれなく日本でのルノワール人気の高さも鑑賞することが出来ました。
さて、このルノワール+ルノワール展。
何といっても、見どころは、そんなルノワールの名画の数々を、
彼の実の息子である映画監督ジャン・ルノワールの作品と対比して鑑賞してみようという点。
絵画の横に、映画が映写されているという、
今までにありそうでなかった斬新な手法で展示がなされています。
ただ個々の作品を観て楽しむだけでなく、ルノワール親子の作品を見比べて、
その共通項を探るといった楽しみも。
こればかりは、世界中探しても、この美術展ならではのお楽しみと言えそうです。
ちなみに、僕個人の意見としては、
並べて展示されたルノワール親子の作品に、そこまで共通項を感じませんでした。
あえて似たような作品を持ってきたという感じで。
それぞれ、生涯で数多くの作品を制作しているわけですから、
“そりゃ、探せば似ているようなものはあるだろ” と。
ジャン・ルノワールが実際どう思っていたかはわかりませんが、
たいていの男子は「父に似てる」と言われるのは、あまり嬉しくないもののような気がします。
誰しも、心の奥底では “父を超えてやる” と思っているのではないでしょうか。
だからこそ、ジャン・ルノワールは、父のルノワールとは違い、
絵画よりもさらに新しい表現方法である映画の世界に飛び込んだのではないかと思うのです。
と、まぁ、そんな風に勝手にジャンサイドに立って弁明をしてみました(笑)
ただ“父に似たくない”と思っていても、趣味嗜好や言動などは、つい父に似てしまうもの。
知らず知らずのうちに、影響を受けているのでしょう。
僕も、伸びの仕方や「もしもし」の言い方が父と全く同じと、母に指摘されたことがあります。
2人のルノワールの作品も、全体の雰囲気には似たものを感じました。やはり親子なんですねぇ。
さてさて、ここからは父のピエール=オーギュスト・ルノワールのお話。
今回、ルノワールについて、いろいろと調査をした結果、
僕はとんでもない仮説にたどり着きました。
なんと、ルノワールは、【アキバ系】 の元祖だったのです!
ガ━━━━(;゚д゚)━━━━━ン
おそらく、多くのルノワールファンが、こう感じたことでしょう。
確かに、印象派の巨匠・ルノワールと 【アキバ系】 というのは、
似ても似つかないような気がします。
印象派と言えば、お紅茶やクラシック音楽が似合いそうな上品なイメージ。
とてもとても 【アキバ系】 のイメージとは…。
ところが、そもそも、この“印象派”自体に、 【アキバ系】 と深い関係があったのです。
美術史において花形の存在である “印象派” 。
しかし、それは、あくまで今においての話。
時代の一歩も二歩も先を行く表現だった “印象派” は、
登場した当初、美術界はもちろんのこと、一般市民にすら理解されないものでした。
それは、現代で言うならば、これまた時代の一歩も二歩も先を行く 【アキバ系】 の流行に、
一般市民がついていけないようなもの。
アングラの烙印を押された印象派の画家たちは、作品を発表する場がありませんでした。
そこで、ルノワールやモネ、ドガらはある画期的な方法を思いついたのです。
ルノワール 「モ、モネ氏。僕らだけで作品展をやりますぞ」
モネ 「ルノワール氏!それは名案ナリ!」
…と、こんな会話があったかどうかは知りませんが、
こうして、美術史上初のグループ展 “印象派展” を開催することにしたのです。
これは、当時としては、とても画期的なこと。
自由な作品発表の場として、グループ展を開催する。
これは、まさに 【アキバ系】 の面々が集って、
自作の同人誌の即売会を開催するという発想と同じもの。
つまり、第一回印象派展は、歴史上初のコミックマーケット(通称:コミケ)だったと言っても
過言ではないのです。
そんな時期に、ルノワールが描いた絵が、今回展示されているこちらの絵。
女性の肌に当たった光を表現するために、
ルノワールはそれまでにない独自の方法でこの絵を描きました。
それは、実際に絵に近づいてみるとよくわかるのですが、
モデルの肌の色に緑や紫を使うというもの。
この手法によって、光がものすごくリアルに表現されています。
ちかちかして、眩しささえ感じるほどに。
ところが、この絵を見た当時の人たちの感想の多くは、
“キモッ!” “萎え~” という散々なもの。
「緑や紫を使った肌の色なんて、まるで死体のようだ((((;゜Д゜)))」と気持ち悪がられたのです。
『ちかちかとした光を描いた作品は、少し離れたところで見ないと、気分を害する恐れがあります』
ルノワールは、そうテロップで注意書きをしておくべきでした。
では、そんなルノワールがどうやって一流画家にまで登りつめたのでしょうか。
はじめのうちは、他の印象派の画家たち同様、
「光」の表現にこだわっていたルノワールですが、
のちに、女性や子供の絵を描くことにこだわるようになります。
その結果、ついに彼は、 “萌え~” な絵という新たな境地を開くことに。
この路線で、大ブレイクをすることになるのです。
実際、ルノワールの絵には、現在でも通じる “萌え” ポイントが多く描かれています。
ルノワール+ルノワール展にも、見ているだけで “萌え~” となる絵はたくさんあるのですが、
このBlogでは、ルノワールの “萌え” 絵画の中でも傑作中の傑作の一枚をご紹介いたしましょう。
東京・ブリヂストン美術館に所蔵されている
《座るジョルジェット・シャルパンティエ嬢》 という作品。
どうですか?
見ているだけで、 “萌え~” となりませんか?
いや、決して変な意味ではなく。
ルノワールは、人々を“萌え”させるために、この絵に様々な仕掛けをしています。
例えば、ジョルジェットちゃんは、あえて大きなイスにちょこんと座らされています。
こうすることによって、ジョルジェットちゃんの小ささ、愛らしさが強調されているのです。
女の子に、わざと大きめの男物のYシャツを着せる感覚に似ていますね。
はい、多くは語りませんが。
それから、 “萌え” なために、表情にもある画期的な方法が使われているのです。
現在の 【アキバ系】 アニメのキャラクターの表情を思い返してみると、おのずとわかるかと思います。
それは、上目づかい。
現代では、特に目新しい気はしませんが、実はルノワールが活躍した当時、
上目づかいで子供を描くというのは大変革新的なことでした。
というのも、子供とは言え、画家にとってモデルは大事なお客様。
画家はモデルと同じ目線に立って、気高さや気品溢れるように描くことが求められていたのです。
例えば、このように、
ところが、ルノワールは、そうはしませんでした。
モデルである子供がもっとも可愛らしく見えるようにと、
あえてジョルジェットちゃんが大人を見上げているような視線で描いたのです。
そして、もう一つ。
この絵には見過ごせない “萌え” ポイントが。
それは、 【アキバ系】 といったら、この方々を忘れてはいけません。メイドさんです。
【アキバ系】 の男性陣は、彼女たちの 『絶対領域』 なる部分に一番 “萌え~” を感じるのだとか。
その 『絶対領域』 とは、ミニスカとニーハイソックスの間の太ももの素肌が露出した部分。
その道のプロ曰く、 “スカート:絶対領域:膝から上のソックスの長さ=4:1:2.5” が
絶対領域の黄金比なのだとか。
…う~ん、よくわかりません。
さて、それを踏まえた上で、ジョルジェットちゃんの絵を見てみると、
何と何と 『絶対領域』 があるではないですか!
いや、正確に言うと、ソックスはニーハイソックスではないですが…。
まぁ、そういう細かいことは置いときまして。
ジョルジェットちゃんの足を組ませたことで、いやでもそこに意識が行ってしまいます。
そこまでして、 “萌え” させたいというのか!恐るべし、ルノワール。
そう、この絵は、美術史上初、『絶対領域』を意識して描いた作品だったのです。
では、最後に、ルノワールのもう一つのこだわりの話をすることにしましょう。
【アキバ系】 な方々が生んだ偉大なサブカルチャーに、“コスプレ” と “フィギュア” があります。
ちなみに、現在人気があるフィギュアに “鉄道むすめ” というシリーズがあります。
キャラクターたちが、実際の鉄道現場で用いられている制服を着ていることが人気の秘密だとか。
さて、“コスプレ” と “フィギュア” の2つに共通するものは何か。
それは、“衣装” へのこだわり。
そして、何を隠そう、 【アキバ系】 の元祖・ルノワールも、
負けず劣らず、衣装には強いこだわりを持っていたのです。
仕立て屋の父とお針子の母との間に生まれたルノワール。
それも一理あるのでしょうが、
とにもかくにも、ルノワールは、最先端の女性のファッションに大変関心を寄せていました。
彼の描く女性は、皆、オシャレな服を着ています。
今回、展示されているオルセー美術館の至宝 《ぶらんこ》 と、
《田舎のダンス》
もし、これから美術展に行かれるという方は、
その両方の絵とも、是非とも女性が着ている服に注目をしてみて下さい。
実に丁寧に柄やひだが描かれていることに、気がつかれることでしょう。
ひょっとしたら、人物よりも丁寧な筆致で描かれているのでは。
ファッションヲタのルノワールの真価が発揮されてる絵と言えましょう。
行けば、キュンキュンすること間違いなしのこの美術展。
さぁ、ルノワール+ルノワール展へ行こう!
★ from yukimone ★
アキバ系ということで、
とに~さんからは「是非ビックカ●ラの袋で!」とオファーが来ました(笑)
ベレー帽(ルノワール展公式サイトでのプロフィール写真にて被っています)は
私なりにアレンジしてみました♪
■Bunkamura ザ・ミュージアム URL
http://www.bunkamura.co.jp/museum/index.html
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