キャロルは、ニューヨークで仕事で成功していたが、夫エリックの故国ドイツに行くことにした。
しかし、ドイツではナチの嵐が吹いていた。そしてエリックの大学の学友というフリーダという女性が現れた。
エリックはフリーダと浮気した。二人ともナチであった。
製作年:1940、監督:Irving Pichel、脚本:Oscar Schisgall、Oliver H. P. Garrett
■ はじめに
登場人物(キャスト)
キャロル・キャボット・ホフマン(ジョーン・ベネット)
エリック・ホフマン(フランツ・レデラー) 夫
リッキー(ジョニー・ラッセル) 二人の息子、7歳
ハインリッピ・ホフマン(オットー・クルーゲ) 夫の父親
ホフマン夫人(-) 本作当時死亡
フリーダ(アンナ・ステン) エリックの学友
ケネス・デレイン(ロイド・ノーラン) アメリカ人ジャーナリスト
ヒューゴ・ゲルハルト博士(ルドウィッグ・ストッセル) 哲学者
ゲルハルト夫人(マリア・オウスペンスキー) 博士の母親
ジョーン・ベネットにしては毒気がない役柄(笑)である。本作の内容は政治的なものではなく、むしろ個人的な視点から描かれている。
■ あらすじ
◆ キャロルはドイツに渡った
1938年。キャロル・キャボットは美術評論家。ドイツ人の夫エリック・ホフマンと結婚しており、七歳の息子リッキーがいる。
知人からキャロルは事前にナチの地に行くことには警告されていたが、三人はドイツに行くことにした。
補足。一時的な旅行なのか、引っ越しなのかはセリフでは明示されないが、後の経緯から見ると引っ越しのようである。
◆ エリックの父親は反ナチ
ベルリンに到着するとエリックの父親ハインリッヒではなく、エリックの学生時代の知人フリーダが出迎えた。
ハインリッヒは工場の経営者であるが反ナチであり、会社を売ってベルリンを離れたいらしい。
ホフマン家の執事はナチであり、家族の会話に聞き耳を立てていたりする。
◆ エリックはナチ
一方フリーダは熱心なナチである。エリックをナチの集会に誘う。エリックの父親の工場を維持してほしいと思っている。
そして今までは分からなかったが、エリックも熱心なナチであった。家族や使用人が集まって、ラジオのヒットラーの演説を聞いた。
早くもキャロルはドイツに留まることに不安を覚えるようになった。
◆ キャロルはケネス・デレインと会った
キャロルはアメリカ人のジャーナリストのケネス・デレインと知り合った。ケネスは「ナチは滅ぶ」と言っている。知人がいないキャロルにとってケネスはよい相談相手になった。
ナチに反対していた哲学者のヒューゴ・ゲルハルト博士はダッハウ強制収容所で殺された。
キャロルはアメリカでゲルハルト博士の知人から、彼に金を届けてくれるように頼まれていた。母親のゲルハルト夫人に会って金を渡した。その金はアメリカに渡るための金であったが、夫人はドイツに残る。
キャロルはナチの残酷・軽蔑的な行動をしばしば目にするようになった。
◆ キャロルはアメリカに帰ろうとする
キャロルは「エリックとフリーダが不貞を働いているのではないか」との疑いから、エリックを追求した。エリックは肯定した。
キャロルは「リッキーを連れてアメリカに戻る」と宣言する。しかしエリックが反対した。「リッキーを置いて行け」と言う。
◆ エリックの母親
キャロルとエリックの対立は続いた。フリーダはエリックに味方した。
しかしハインリッヒは沈黙を守っていた。
だがある日、ハインリッヒはエリック、キャロルを自分の部屋に呼んだ。フリーダもいる。
フリーダは「私たちの愛には偽りはない」と居直っている。
ハインリッヒは自分の妻すなわちエリックの母親の秘密を明かした。「エリックの母親はユダヤ人」。
エリックは自分に軽蔑するユダヤ人の血が流れていることを知って泣いた。
そしてフリーダはエリックを罵倒して出て行った。
キャロルとリッキーはアメリカ行きの船に乗った。
■ 出演作
◆ ジョーン・ベネット
(1933)若草物語/Little Women
(1940)私はナチと結婚した/The Man I Married/I Married a Nazi
(1941)マン・ハント/Man Hunt
(1944)飾窓の女/The Woman in the Window
(1945)緋色の街/スカーレット・ストリート/Scarlet Street
(1947)浜辺の女/The Woman on the Beach
(1949)無謀な瞬間/The Reckless Moment
◆ ロイド・ノーラン
(1945)Gメン対間諜/The House on 92nd Street
(1945)ブルックリン横町/A Tree Grows in Brooklyn
(1947)湖中の女/The Lady In The Lake