●ステンドグラスの模様の意味/制作に関わったのは延べ125人!/受注は高島屋呉服店

 

 

昨日金曜日、NHK朝ドラ「虎に翼」で再び裁判所の壮麗な階段が大写しになりました。

突如疑問がふつふつと・・あのステンドグラスの意匠は何を型どっているのかな?

実際現地で見たときは、なんとなく花籠かな、と思って通り過ぎたけれど、

なんらか意味を持たせている可能性があります。

 

先述のとおり、裁判所ロケに使われているのは名古屋市市政資料館(旧名古屋高等裁判所)。

(できた当時は高等裁判所は控訴院と呼ばれていたので、正式には旧名古屋控訴院・地方裁判所・区裁判所庁舎というようです。)

名古屋市市政資料館のHPを改めて見てみました。

 

 

 

正面のステンドグラスに関して、こんな記述が:

左右を走る桟の下に、白い団子のようなものが二つ載っておりますが、これは罪と罰を表しています。「罪を犯せば罰が与えられる」ということから、公平な裁判が行われることを示しています。

 

白い団子??

 

 

 

しばしわからず困惑。やがて納得>赤丸で囲った部分かぁ。

「天秤が描かれています」、とひねらず書いてくれたほうがすぐわかったのに!

いずれにせよ、裁判所らしく天秤が描かれていたことに気付きました。

さらに天井部分のステンドグラスについてもチェック。

 

 

 

この丸い模様は、日輪で、「公明正大」を表す、とのことです。

 

 

 

 

ここでステンドグラス関係の必読書を引っ張り出してみました。

 

 

 

思った通り、こちらのステンドグラスは、その分野では草分け的存在・宇野澤辰雄氏の

系列工房が手掛けており、見開き4頁にわたり写真と文章が載っていました。

(あくまで系列公房作で、宇野澤氏自身が手掛けたものではなく。)

 

そこには、控訴院に関する説明も:旧帝国憲法の時代に札幌、宮城、東京、名古屋、大阪、高松、広島、長崎と全国8か所に置かれた控訴院(現在の高等裁判所)で、いまなお当時の建物が残っているのは札幌と名古屋のみ。

この中では名古屋が最も古いとのこと。

 

さらに、控訴院がこの庁舎に移転した大正12年、陪審法が制定。

庁舎西側に陪審法廷が新築され、その際、天井にステンドグラスが設置されました。

 

それがこちら。

 

 

こちらは黄色ベースの幾何学模様で、象徴的意味は特に述べられていませんでした。

電灯もお洒落です。

 

 

 

上述の本を参照してみて、意外だったのは、
ステンドグラス/ガラス工事の元受けは「高島屋呉服店装飾部大阪店」だったこと。

高島屋が、織物・絵画など意匠分野で随分貢献していたのは知っていましたが、

建築に関係する仕事まで引き受けていたようです。

 

そこから制作の下請けは宇野澤系列の工房へ。

ステンドグラスに関わった人数は125人ということなので

宇野澤系の複数の工房が関与していたとみられます。
 

高島屋の受注金額は1728円29銭。

明治大学女子部の校舎の建築費用が600円です。

ガラス関連だけでその3倍の費用!?

階段には大理石も使われているので、全体の費用は相当のものだったでしょう。

 

 

 

ちなみに明治大女子部の費用(600円)を知っているのにはわけがあります。

今日、明治大学で聴いた三淵嘉子さん関連のシンポジウムで公表されていました。

ドラマの監修を担当している教授の話もあり、史実とドラマのリンクについても実感した次第。

長くなったので今日はこのへんで。

 

 

 

 

 

本ブログ「虎に翼」関連記事: