熱海の起雲閣を順路順にめぐると、最初に入るのが「麒麟」と呼ばれるこちらの部屋です。

本建物の施主・内田信也が実母の静養の場所として作ったものです。
(その後、根津嘉一郎など、持ち主が変わる。)
 

持ち主が桜井兵五郎に移り、旅館用に使われる際に壁は群青色に塗り替えられました。
桜井は、石川県出身。

それにちなんでこの「加賀の青漆喰」を取り入れたようです。
韓国大統領夫人などがこの座敷でもてなしを受けました。

 

 

起雲閣を訪れた文豪たち:池田満寿夫、志賀直哉、三島由紀夫、谷崎潤一郎、川端康成、

武田泰淳、舟橋聖一、太宰治。

 

 

 

1Fの客室には今ではそうした作家たちを紹介するパネルやゆかりの品などが展示されています。

女子3人組がこれらを見て、志賀直哉イケメン!と騒いでいました♪

確かにダンディな感じかな。

 

 

 

山荘風で、前回掲載した玉渓の間に少し似ているこちらは金剛の間。

玉渓同様、根津嘉一郎が作らせたものです。

 

 

 

暖炉上上部にご注目。

トランプ模様がさりげなくあるのがポイント。

 


 

拡大。ハートやクローバー、ダイヤなど。よーく見ると象嵌でできています。

 

 

 

さらにその左手の植物模様部分も象嵌使い。

めんどうな細かい技。妥協なし。

 

 

 

暖炉脇にはやはりステンドグラス。

こちらの画像を以前見て、渋沢栄一の館にある青淵文庫のステンドグラス(作者不明ながら熟練の小川三知周辺の人の作ではないかという話)に近いなぁと感じました。

 

 

 

この部屋の続きの間。

またまたステンドグラス。

 

 

こちらの柄は軽やか。

根津氏はステンドグラスがお好きだったようで。

 

 

 

根津氏が作らせたローマ風浴槽。

その後改装されたようですが、控えめながらここにもステンドグラスがありました。

 

舟橋聖一が起雲閣で執筆した「雪夫人絵図」の映画化に際し、

氏の勧めもあって入浴シーンがここで撮影されたとのこと。

雪夫人絵図+入浴で検索したら、久我美子さんがここで入浴している画像が

実際いくつか出てきました。

雰囲気抜群。

 

 

 

音楽ホール。

見学もいよいよ終盤です。

 

 

旅館の名残たっぷりな廊下部分。

 

 

 

最後はお庭散策で締め。

建屋はこれだけでなく、庭を囲んでロの字に広がっています。

 

 

上記と直角になって広がるのがこの左手の建物。

さらにそれと直角に別の建屋が見えます(コンクリートの建物の手前部分)。

 

 

 

見どころが多く、なかなか、おなか一杯になりました。

この日は午前に千葉方面に寄ってから、午後に熱海入りするつもりだったけど、

午前の予定をキャンセルしてお昼前に行くことに変更。

お魚がおいしいといわれていた熱海のお店でランチをしたあと起雲閣へ。

午後入りでも、すべて回ることはできたでしょう。

でも、予約をしていた帰りの踊り子号に十分間に合う、という気分的ゆとりがあり、

時間に追われなかった点がよかったかな。

 

 

 

 

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