今日から始まったNHK大河ドラマ「晴天を衝け」。

この癖のある題字が気になって、作者を調べたら、半年前にブログで触れたアーティストでした。

 

半年前だけでなく、もっと以前にも、東京都写真美術館で彼の個展を見てブログにしたためていました。

その彼とは:杉本博司さん。

アメリカを拠点に活躍する、トップクラスの現代アーティストの。

 

昨年7月、日経新聞「私の履歴書」で杉本さんの半生が1カ月にわたり紹介されており、

ブログでそれについて述べたのでした。

 

 

 

なぜ杉本さんが選ばれたのか知りたいところですが。

なにはともあれ、この字、躍動感があって、江戸から明治への大変革の時代を力強く駆け抜けた男子のイメージにぴったり。

また、上へと突き刺すような動きはまさに青天を衝くかのようですね。

 

 

杉本さんは戦争意識も強く、社会性、問題意識が色濃く投影された作品もあります。

 

なかでも東京都写真美術館で2016年に見た「ロスト・ヒューマン」展は強いメッセージ性があり、人間がやがて自らが生み出したものによってしっぺ返しされるであろうという内容を時にシュールに語るもの。

 

ただこれには、人類が理想的と思うようなものをなんでもかんでも使い捨てで生み出していく社会よりも、それと対極にある世界こそが自由なのではないか、という問いも含みます。

 

不自由さがあるから自由がある、という点はやはり同感するところであって、

不便さのなかから努力することにより、至高のなにかが得られることは往々にしてあること。

 

例えば、俳句などが簡単でいい例でしょうかね。

 

これとまったく同じ思考がプルーストの「失われた時を求めて」に登場したときには思わず目を輝かせてしまいました。

 

「la tyrannie de la rime force à trouver leurs plus grandes beautés」の部分。

ざっくりとした意味としては、「脚韻のような独裁的なものは至高の美を見つけ出す原動力になる」といった感じ。俳句と韻は不自由さのなかからオプティマイズされた美を見つけていく点が似ています。

 

を踏むのもまさに韻不便さのひとつ。

 

ロシア文学者でエッセイストだった故・米原万理さんも、北風と南風を引用して、コートを脱がせる優しい南風は、実は本人の自主性を奪っているだけ。むしろ北風に負けまいと襟を立て、反旗を翻すことこそ(とまではおっしゃってなかったけど)、自由へとつながる、と言ったことを書いていて、同じ線上にある議論のように思いました。

 

 

杉本さんの作品を知ったのは結構最近のこと。

国立近代美術館で2014年に開催された”現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展 ヤゲオ財団コレクションより展”↓でした。

 

そこに杉本さんの最後の晩餐を初めて見ました。

同行した知人は、この作家のことを前々から知っていたようで彼のことをいろいろ教えてくれました。

 

 

 

 

 

この展覧会はタイトルも奇妙ながら、スタイルも斬新で、一般の鑑賞者もレセプションパーティにどうぞ、と門戸を開放していました。

私はメルマガをとっていてそれを知り、半信半疑で夜に近美を訪れてみたら、こんな感じで、軽食付きの上、自由に展示会場を見て歩くことができました。

 

 

 

ほかにブログで杉本さんのことに触れたのは東京都庭園美術館の新館オープンのとき。

新館の監修が杉本さんだったと記憶します。

このガラスは杉本さんの”作品”。

 

 

 

外の景色がひしゃげて、光があるとなお様々な方向にゆらぎます。

 

 

 

 

この時のレセプションは友人にくっついていったもの。

お土産は、ルネ・ラリックの作品をあしらったチョコレート。

 

 

これですね。

 

 

「晴天を衝け」から話がそれましたが、吉沢亮さん、透明感があるタイプと思っていたのでどんな渋沢栄一に仕上がるのか楽しみです。

 

ナレーションの守屋奈美さんも声が美しくて好き。NHKアナウンサーはどなたもそれぞれいいけれど。

 

近江友里恵さんなどは、朝の番組にふさわしい包容力ある優しい声で、退社が残念。

彼女は高校生の頃からNHKの「ためしてガッテン」のスタジオ見学するなど、高校時代からマスコミに興味を持ち積極的な姿勢を見せていたので、アナウンサーにすごく思い入れがあったはず。

(なので結婚詮索のことで簡単にやめるような人じゃないと思っています。)

やりたいことは、なんなのでしょうか。

人生やりたいことができる時期は限られるから応援しています。

 

 

話もどって、「晴天を衝け」の最後に、深谷市の自宅が映りました。

先日触れた北区にある書庫や離れとはまた全然違う雰囲気。

 

以前コメントで教えてもらった深谷市駅前の銅像も映っていました。

その銅像の清掃は、東京電力が行っているそう。

その東京電力もまた、渋沢栄一が旗揚げした企業ですからね。