真アゲハ ~第73話 天雨 克幸7~ | 創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

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「アゲハ族」
それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、大切な人を奪われた悲しみ、怒り、人生に絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。



克幸が人質として体育館の中に入ったその頃

輝人「…つー訳で、協力して欲しいんだわ」

『却下だ!(#`皿´』

輝人が彩耶華のスマホを通して、ネクロハンター達に救出作戦のため協力を求めたが、即答だった

サミュエル『ネクロの言うことなんて誰が聞くかよ!』

ニコール『つか…今からあんたの事殺しに向かってもいいのよ…?』

トール『そんなの嫌だね!』

ナイル『と言うかよく連絡してこれるよな?』

炎『だから言っただろ、お前の作戦じゃダメだって』

輝人「それは初めて聞いたんだが?(-_-#」

彩耶華『利害は一致していると思いますわ。それにネクロを止めたいって気持ちも…』

コバルト『いやいや!ネクロに指示されるのが嫌だって言ってんだよ!』

スマホを通してネクロハンターからブーイングの嵐が聞こえる
やはり輝人からの提案を受け入れてくれるわけが無かった

日奈子「ダメだと思ったんだよなぁ…」

サミュエル『悪いけど、ネクロの作戦に乗るって言うなら俺はここから撤退させてもらう!』

ニコール『逃げるなんてずるい。……私も逃げる』

トール『ルーカス、お眠になったから退散する』

ナイル『ネクロから作戦貰うなんて、考えられない』

と、次々にネクロハンター達が通信を切る

炎『…だからお手上げだと言ったんだよ』

輝人「お前も少しは考えろよ!(#`皿´」

炎『貴様に言われたくない』

日奈子「電話越しで喧嘩しないで!」

コバルト『…ネクロを止めたい気持ちはあるけど、俺も協力なんて出来ない。ネクロハンターとしてね』

コバルトも反対で、その場を去ろうとする

彩耶華『先輩…!』

コバルト『彩耶華、そのスマホ変えた方が良いよ。ネクロと連絡先を交換してるなんて、“館長”に知られれば次は謹慎じゃ無くなるよ?炎くんも』

炎『……俺らは輝人の暗殺を禁止されている。連絡を取るなと言われてないだろ』

コバルト『おいおい…そんなこと言って…!』

鮮斗『…僕はその作戦、乗っても良いぞ?』

輝人「!」

次々にネクロハンターが通信を切っていくと思われたが、1人だけ輝人の作戦に乗る人物がいた
那取鮮斗だ

輝人「え、えーと…その声なんだっけ?サメだっけ?」

鮮斗「“ピラニア”だ。そして…今は那取鮮斗と言う名前だ」

輝人「…!」

鮮斗の声が近くに聞こえたと思ったら、鮮斗がこちらに現れた
サミュエルに解放されたのだろう
輝人は警戒するが、鮮斗は攻撃を仕掛けてこない
それどころか

鮮斗「勘違いしないでもらいたいが、僕は克幸様を助けたいだけだ。我が那取家は以前から天雨家に仕えてきたんだ。これ以上天雨家に被害を加えないためにも、俺は戦う」

日奈子「そ……それをどうして私に言うんですか?(・・;」

輝人に言う台詞を、日奈子を見つめながら話し出した

茜「那取家と言えば、室町時代から武家に仕えてきたと言う伝説の…」

鮮斗「はい、今は天雨家に仕えています。今回の事件、僕は克幸様を救わなければなりません。もう2度と…“奥様”の二の舞にはなりたくないんです」

日奈子「奥様?」

茜「!……そうでしたか」

鮮斗「それで、作戦を説明して欲しい」

輝人「…あぁ」

コバルト『あーもう!知らないからね!』

ネクロに協力する者の気が知れないのか、コバルトはその場から離れる
鮮斗が目の前に現れた事で、輝人は作戦を話し出す

輝人「まず、俺が円を呼ぶために黒羽先生の“フリ”をする。これはあくまでも、円を体育館から引きずり出すためだ」

始「それは…なんで?」

輝人「“烈怒羅夢”の幹部で1番怒らせては行けない奴が円だからだ。アイツがどんなに危険性が高いか俺は知ってるし、アビリティも厄介だ。だから俺が奴を黒羽先生の“フリ”して、なるべく離れた場所まで連れていく」

カンナ「バレません…かね?」

輝人「名前を知ってるところを見ると、聞いたのは確かだ。顔は見たかどうか分からない。もし見ていたとしても、顔は離れた場所にあるから近寄らないと確認できない。だからあくまでもって話」

日奈子「なるほど…」

鮮斗「声はどーするんだ?お前の声だと、バレるんじゃないのか?」

輝人「心配なく、そこは俺が細工するよ。そんでその間に、お前らは校舎に侵入してほしい」

輝人が円を引きつけている間に、他のメンバーが校舎内に侵入する
校舎内に見張りがいる事は分かっているが、そいつらを倒すのは容易だ
それと同時に騒ぎを起こして、輝人同様に他の幹部も引きずり出す
そうすることで、体育館の警備はアビリティを持ってない部下だけとなり、畳み掛けることでその間に救出出来る

輝人「なるべく校舎側に幹部を誘き寄せたいから、校舎側から攻めるならネクロハンターのお前らが適任だ。救出は日奈子達に任せる。まぁだから…俺らじゃ難しいって言ったんだよ」

鮮斗「なるほどな…」

炎『だが待て、どうやって校舎に入るんだ?さっき双眼鏡で見たが、入り口全てには車が積み重なってて入れないようになっている。どうやって中に侵入するんだ?』

電話を通して作戦を聞いていた炎は質問した
すると、鮮斗が小さく挙手をした

鮮斗「それなら…僕ピッタリな“カプセル”、持ってる」

炎「え?」