真アゲハ ~第72話 烈怒羅夢5~ | 創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

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「アゲハ族」
それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、大切な人を奪われた悲しみ、怒り、人生に絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。



事務員「うぅ~~…随分寒くなったなぁ。もう冬かぁ」

千鳥工業高等学校の昇降口
そこの近くに事務室がある
事務室には3人の事務員がいる

?「すいませーん、シロウサ宅急便でーす」

事務員「?は、はーい」

すると受付のところに、宅配業者を名乗る3人が現れた
大きなダンボールを台車に乗せて運んできたところを見て、かなり重そうだ

事務員「今日って何か配達ってありましたっけ?」

?「はい、注文した鉄をお持ちしました」

事務員「鉄…?そんなの発注したかな?ちょっと待っててくださいね、確認して…」

?「いやしなくて良いですよ、必要ないんで」

事務員「え!?」

事務員が振り返ると、事務室内に宅配業者の1人が、いつの間にか入っていた
扉は閉まったままなのに、入って来たことに驚く
さらにもっと驚いたのは、その宅配業者は、手に銃を持っていた

事務員「な、あ、貴方は…」

パァンッ!パァンッ!パァンッ!

…ドサッ、ドサッ、ドサッ

?「ふぅ。よし、殺したぞ」

銃の引き金を引き、あっという間に事務員3人の頭を狙った
事務員3人は死亡してしまった

円「…シロウサ宅急便なんて名前、吐き気するわ。白なんて嫌いだし」

帽子を取ると、その下から円の顔が出てきた
このシロウサ宅急便を名乗る宅配業者は偽者だ、全員“烈怒羅夢”のメンバーだ

鹿島「潜入はとりあえず成功だな」

宗方「近距離で外すわけ無いが、早業過ぎるだろ。お前銃の腕前とかあったのか?」

円「いーや?偶然。でも鹿島さん、この銃良いね。勧められて海外から取り寄せて良かったよ」

銃を揺らして、円は笑顔を見せる
この銃は、サイレンサーが付いているため、銃独特の大きな音が出ない
そのため先程も音がでなかったのだ

鹿島「序盤から騒ぎを起こすわけには行かなかったからな」

円「さて…“鉄”は持ち込んだし、次は多部達の出番だな」

円達が持ってきたダンボールを開ける
そこには、とんでもない物が入っていた

丸原「…円さん達、入ったみたい」

一方別の方では、丸原と多部を中心に他の“烈怒羅夢”の仲間がいた
円達の方の仲間から連絡を受け、動き出す

丸原「校庭には授業中の生徒が…動くなら今です」

多部「よし、じゃあ俺も…」

多部は自身の胸に拳をぶつけ、身体を筋肉質に変える
“力(パワー)”のアビリティだ

多部「フンヌッ…!」

「うおっ、やっぱすげぇな…!」

丸原「静かにお願いします…!こ、こっちです…!」

多部がアビリティを発動して、あるものを持ち運ぶ
それは、千鳥工業高等学校の駐車場にあるマイクロバスだ
両手で軽々しく持っているその姿を見て、他の仲間達は開いた口が塞がらない状態になる

このマイクロバスをゆっくり持っていき、体育館と校舎が繋がっている渡り廊下へゆっくり降ろす
授業中のため、誰も気が付かない

丸原「よし、後は反対側だ」

多部「オウッ」

宗方「来たか?」

そこに侵入した宗方が現れる
ここから多部と丸原達は別行動に移す
多部は渡り廊下に残り、さらにそこに教師の車を持ってくる
丸原達は宗方と校舎内を進む

丸原「円さん達は?」

宗方「職員室へ向かった。後は計画通りに行くぞ」

宗方はそう言うと、懐から赤いバンダナを取り出し、顔半分を覆い隠す
丸原達もそうだ、顔を隠してさらに進み出す

「っべぇな…緊張する…!」
「こんな大きな事やるの初めてだもんなぁ…!」
「やっちゃおうぜ…!」

仲間から声が上がるが、一応これは遊びではない
本気で行うつもりだ

鹿島「…今のところ黒羽と言う教師はいなさそうだな」

円「…」

円の表情は集中しているみたいだったが、触れると火傷では済まされないくらいの恐い表情になっている
余程来海を殺されたことが、許せないのだろう

円「…鹿島さん、ここらで良いかな?」

鹿島「!…あ、あぁ…」

鹿島から許可を貰い、円はあるものをある場所に設置した
それと同時に、キーンコーンカーンコーン…と千鳥工業高等学校のチャイムが鳴った
授業が終わった時間だ

ゆに「はぁ…はぁ…つ、かれた…全身死んだ…(|||´Д`」

飛鳥「ゆにお疲れ、やれば出来るじゃん」

千種「ほんとだよ、補習免れたんだし」

真緒「次の準備をしましょう」

ゆに「早く着替えて…っと」

体育の授業を終えたゆに達は、すぐに着替えに入る
着替える前に、スマホを手にし、連絡が入っていないか確認する
しかし

ゆに「…あ、あれ?圏外?」

スマホは、圏外の扱いになっていた
ゆにのスマホだけじゃない

千種「あれ?あたしもだ」

飛鳥「えー?なんでー?」

真緒「私もです…どうして?」

他の生徒達もスマホが使えない事を知ったその時だった

ズガァンッ!

ゆに「…!?」