真アゲハ ~第71話 星浦 綺堂1~ | 創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

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「アゲハ族」
それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、大切な人を奪われた悲しみ、怒り、人生に絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。



栗栖がアンメディック病の手術を終えたその日

千咲「日奈子、メール見たら豆鉄砲みたいに教室出ていって、どうしたんだろう?」

梓希「もしかしたら、あの栗栖さんって人に何かあったんスかね?」

紬麦「心配ですね」

日奈子が輝人から連絡を受けて、出ていった後の教室
千咲達が心配する一方、彩耶華は隣で話を聞いていた

彩耶華(栗栖さんが…?)

千咲「日奈子に後で聞いてみようか。もし手術成功したら、明日お見舞いに行こうよ」

紬麦「それは良いですね!」

梓希「お花やお菓子、持っていくッス!」

千咲「あ、ねぇ彩耶華!彩耶華も明日行く?」

彩耶華「!…そうですわね、行きますわ」

千咲に答えると、彩耶華のスマホにメッセージが入る
『アクアリウム』の仕事だ

彩耶華「…!すみません、これから私予定がありますので。ごきげんよう」

千咲「あ、うん。バイバーイ」

気付かれないようにすぐ花巻女子学園を出ていく
これからネクロハンターとして動く
途中で着替え、名古屋港水族館へと向かう

彩耶華「遅くなりましたわ」

コバルト「おっ、彩耶ちゃんやっほー」

ナイル「やぁ」

彩耶華の他に、コバルトやサミュエル、最近現れたナイルを含め、ネクロハンター達がいた
いないのは、炎だけだ
炎は名古屋市総合病院にいる

彩耶華「あら?炎先輩は?」

サミュエル「何でも急用とかで」

ニコール「こうして皆で集まってるのに1人だけサボりとか…ムカつく」

トール「まぁまぁ!しょうがないよ!」

オクトパス『…既に切り替えてある』

ハルナ「皆さん、お待ちしていました」

炎以外が集まったところで、“館長”ことジョー・ナルミ、ナルミの秘書のハルナ・ジョーンズ、そしてもう1人見慣れない人物が入ってきた
黒にエメラルドグリーンのメッシュがかかった髪の20代後半くらいの男性で、ラフな服装に肩掛けの鞄、貝殻のブレスレットをしている

ー『アクアリウム』専属情報部隊“サーディン”
 漆島 杜和(27)ー

ナイル「誰?」

ハルナ「こちらの方は、“サーディン”の漆島杜和です」

トール「あ~君がかぁ!聞いたことあるよ!なんでも“サーディン”で有力な情報を提供してくれるって噂の“サーディン”の中でリーダー的存在の人でしょ?」

サミュエル「へぇ~、優秀なんだね!」

漆島「そんな、優秀だとかリーダーだなんて…まだまだ半人前ですよ」

ニコール「顔もまぁまぁイケてるし……ちやほやされてムカつく」

コバルト「おいおい、“サーディン”の子にまで妬かないで?」

彩耶華(このような方もいたのですね。でも有力な情報なら千晴先輩の方が…)

ナルミ「…炎はいないけど、始めようか。杜和、お願い出来るかい?」

漆島「はい」

漆島は自分の肩掛けの鞄からあるものを取り出す
それはiPadで、すぐiPadの画面を指でなぞる
するとネクロハンター全員のスマホが鳴り、とある資料が届いた
全員は触れて、内容を確認する

その資料には、新聞の切り抜きやネットで公表された事件の内容が描かれていたが、載っている写真は、死体の写真ばかりだ
それも、変わり果てた物ばかり

漆島「皆さん渡りましたね?こちらは、先日起きた事件の内容ですが…」

サミュエル「うっわぁ…グロ…」

トール「ルーカス、見ちゃダメだよ?」

ルーカス「うー?」

彩耶華「…!」

その中で、彩耶華はとある事件の資料を見つけた
その資料の写真を見ると、彩耶華は青ざめる

彩耶華「あ…の…!」

漆島「…?何か?」

彩耶華「こ、この…5番目の…!」

漆島「5番目?…あぁ、焼死体ですか」

iPadの画面をスライドで切り替え、5番目にする
そこに載っていたのは、『焼けた漁師、海に飛び込まず』と言うタイトルの新聞の切り抜きで、その横の写真には、焼死体が載っていた

その焼死体に、彩耶華は見覚えがあった

彩耶華「っ…!うぅっ!」

コバルト「彩耶ちゃん!?」

突然口を抑えだし、彩耶華はその場を飛び出す
耐えられなかったのだろう

ナルミ「…彩耶華…」