真アゲハ ~第69話 綾部 希2~ | 創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

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「アゲハ族」
それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、大切な人を奪われた悲しみ、怒り、人生に絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。



翌日、愛知県警察署
宝石店強盗の2人を逮捕したが、2人から話を聞いた捜査一課の国生は頭を抱えていた

犬渕「…何?ネットで知り合っただけだと?」

国生「はい、それに初めて出会ったのもこの前の宝石店強盗が初めてだったそうなんです」

頭を抱えていたのは、それが理由だ
強盗が3人いる事は分かったが、全員宝石店強盗が行われた日が、3人が初めて出会った日だったらしい

3人は元々ネットで知り合い、お互いをハンドルネームで呼んでいたため、お互いの素性も本名も知らず、強盗を行ったそうだ

国生「あの2人は金に困っていたらしくて、声をかけたのがもう1人の仲間みたいです。」

犬渕「つまり主犯か。出会ったネットは、調べたのか?」

国生「えぇ、掲示板の様なところでした。それで3人だけのサークルがあったから、内容を確認してみたんですが、どうやらもう1人のアカウントは既に削除されていた状態で。個別アカウントも完全に消去したみたいです。現在サイバー対策課に問い合わせています」

犬渕「そうか」

国生「前回の宝石店、今回の腕時計店に盗まれた商品を確認したところ、全部ではないみたいですね。ほとんどは恐らく主犯格の者に…」

「警部、よろしいですか?」

そこへ国生の部下が現れる
国生に耳打ちをすると、国生の眼が大きく開く

国生「…まさか」

犬渕「どうした?」

国生「例の強盗2人がまた新しい情報を吐いたんですが、その主犯格の者は只者では無かったみたいです」

犬渕「只者ではない?」

国生「それもこれは…“屍人対策課”の出番かもしれません」

犬渕「なんだって…?」





一方、斑目探偵事務所では

カンナ「これが、私の新しい武器です」

日奈子「おぉ~っ」

カンナが自身の進化したエスポワールを日奈子達に見せた
そこにはカンナの姉のユウナもいた

茜「九節鞭ですね」

輝人「良いのか?せっかくの休みに」

ユウナ「カンちゃんの行きたいところならどこにでも付いていくよ~w」

輝人(変わってんな、俺だったら嫌だわ)

航平「昨日はこれで2人を倒したんだ!すごいよカンナちゃん!」

カンナ「まぁ、姉さんのおかげですけどね」

輝人「2人倒したくらいで調子乗んなよ?」

カンナ「ムッ…輝人さんは何もしてないくせに威張らないでくださいね」

輝人「んだとお前おい…(-_-#」

航平「まーまーまー!と、ところで栗栖さんは?」

反らそうと、航平は話題を変えた
事務所内に珍しく栗栖の姿が無いのだ

日奈子「あ、そう言えば、栗栖さんの体調どうですか?」

輝人「昨日医者に行って、薬飲んで寝たみたいなんだが、どーも良くなってる様子は無くてな。後できしめん作るつもりだよ」

カンナ「輝人さん料理出来るんですか?」

輝人「師匠が何も出来なかったから、ある程度の事は出来るわ。夜食作ったりもしてたし」

日奈子「へぇ、意外」

航平「味噌煮込みうどんなら俺やりますね」

輝人「体調悪い時に濃い味付けのやつ食えるか(-_-#」

ユウナ「アハハハハ、確かに!w」

カンナ「あの…良いですか?」

話を一旦元に戻す
エスポワールの事もふまえて、強盗の事も話す

輝人「あの後2人は捕まえたが、1人は逃げられた。今国生警部が取り調べをしているが、どこまで分かるか…」

日奈子「うーん、何か犯人の手がかりがあればなぁ。ほら、たらいとか」

そう言うと日奈子はどこからか、たらいを取り出した
たらいが登場し、輝人達は驚く

輝人「お前なんでたらい持ってるんだよ」

日奈子「え?あぁこれ?一昨日あの強盗を追いかけていた時に罠にハマったって言ったでしょ?何か手がかりになるんじゃないかって拾っておいたの」

航平「よく持ってきたね」

茜「確かに気になりますもんね、あの時どこから現れたのか…」

輝人「あのなぁ、たらいが手がかりになる訳ねぇだろ」

カンナ「分かりませんよ?指紋とか付いていたり…」

と、カンナが九節鞭を持ったまま、たらいに触ったその時だった

…カチャンッ…!

カンナ「え?あ、あれ!?」

カンナのエスポワールの九節鞭の先が突然動き出した
くねくねっ…!と動いているが、光り出し、どこかへ向かう
まるでそれは、方位磁石の様だ
引っ張られたカンナは、事務所を出てしまう

カンナ「え!?あの…!」

ユウナ「カンちゃん!」

輝人「お、おい!?どこ行くんだよ!」