真アゲハ ~第69話 綾部 希1~ | 創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

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「アゲハ族」
それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、大切な人を奪われた悲しみ、怒り、人生に絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。



○前回までのあらすじ●
→宝石店強盗が現れ、カンナはすぐ対応し2人を逮捕することに成功したが、1人は逃げられてしまう。
 一方『アクアリウム』では、また新しい仲間を向かえていたのであった…!





名古屋港水族館には、新たなネクロハンターが到着していた

茶髪で後ろに1つに纏めている髪に、小麦色の褐色肌
眼は茶色と透き通るような水色のオッドアイ、服装は古代エジプト人を思わせるかの様な白いシルクを基調とし、青と金色の装飾がより目立つ
日本はもうすぐ冬だと言うのに、黒いサンダルを履いている
そして気になるのが、腰にくくりつけられている紐だ、紐の先はトールが持っている

ー『アクアリウム』所属 ネクロハンター
 通称 “マンタ” ナイル・アメミット(20)ー

コバルト「ぅおっ、久し振りじゃんナイルくん!」

サミュエル「本当、ようやく登場って訳だね」

ナイルがようやく到着した事を聞きつけ、コバルトやサミュエル・キリマンジャロが到着した

ナイル「やぁ、“ドルフィン”と“オッタ”。久し振りだね」

サミュエル「やだなぁ、サムって呼んでよ。て言うか、今更よくここに来たね」

コバルト「まーまー、しょうがないでしょ。こいつ無自覚な方向音痴なんだからさ」

ナイル「思ったより愛知県が広かっただけだよ」

コバルト「広くねぇよ、沖縄まで行ってたくせに」

ナルミ「止めろ2人とも」

ナイル「“館長”、こちら遅れてしまったお詫びにお土産です」

そう言うとナイルは何か袋を取り出す
紐を引っ張り、袋の口を開くとドサァァー…!と音を立てて何かがこぼれ出た
それは、ネクロの灰が入ったカプセルだった

コバルト「わぉ」

ナルミ「…仕事はこなしてきたみたいだね」

ナイル「偶然出会った連中は、データに載っていた者ばかりでしたので。あとこちらも」

そう言うと別の袋から箱を取り出す
それは、愛知県のお土産の1つである『小倉トーストラングドシャ』だ

ナルミ「うん、嬉しいけど次からは名古屋以外でお土産買ってきてね?(・・;」

トール「あー、名古屋駅でお土産買ってたのはそれが理由か」

ナイル「遅れた分は働きます。またよろしくお願いいたします。」

膝をつき、改めて挨拶をする
それを見たナルミは、一旦考え込む

ナルミ「そうだなぁ…。まぁ遅れた事は仕方ないよ。まだエドワルドも向こうの仕事が終わらないみたいだからね。早速だが、仕事に取りかかってくれないか?」

ナイル「…はい」

サミュエル「おやおや、マジか。僕だってもう怪我治ったから戦えるんだけどなー」

コバルト「最近出番無かった俺も、久し振りの登場だから活躍見せられるのかと思ったけど」

ナルミ「サミュエルとコバルトにも、もちろん仕事は与えるよ。心配しないでくれ」

ナイル「では、行って参ります」

そう言うとナイルは、出入口へと動く
だが、向かった先は水族館の奥だ

トール「おーい、違うよ」

コバルト「早速か(・・;」

トールがナイルの腰に繋がれている紐を引っ張り、ナイルを止める
今の行動を見る限り、ナイルは本当に無自覚な方向音痴だ

ナルミ「…仕事をこなす姿勢は素晴らしいが、それはまた明日にしてくれないか?もうネクロの目星はついているんだ」

「やれやれ…」と言った表情で額に手を当てるが、ナイルに資料を渡す
ナイルは戻り、ナルミから資料を受けとる

ナイル「…彼を殺れと?」

ナルミ「あぁ、頼めるかな?」

ナイル「かしこまりました」

ナルミ「それじゃあ…“ショーの開演だよ、マンタ”」

ナイル「御意」

ナルミからのミッションが下され、ナイルはすぐ返事をする
だが今日はもう遅いため、明日になる

ナルミ「トール、悪いけど同じホテルでいいかな?手配はするから」

トール「はーい、ルーカスもお兄ちゃんいて嬉しいと思うので」

ルーカス「すかー…(。-ω-)zzz」

ナイル「お邪魔するよ」

トール「じゃあ行くよ、こっちだよ」

と、ナイルを紐で引っ張って宿泊しているホテルまで案内する
その姿はまるで、警察に連行されている犯人の様だ

コバルト「…プッ、炎くんや彩耶ちゃんに見せたい…w」

サミュエル「ニコールも仕事だしなぁ…そういや“シャーク”はいつになったら来るの?」

ナルミ「まぁ待て、“シャーク”には特別な任務を与えているんだ。その内ちゃんと、会わせるよ」

コバルト「え?ほんと?」

サミュエル「うーん、“館長”がそう言うなら」

コバルトとサミュエルは妙に納得したらしく、その場を去っていく
見届けたナルミは、ナイルの事を思う

ナイル(さて、ナイルにとってはこの愛知県での仕事は初めてだ。方向音痴だからトールとは一緒に行動することになるが、与えた仕事をどうこなすかな…)