真アゲハ ~第68話 森久保 ユウナ7~ | 創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

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「アゲハ族」
それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、大切な人を奪われた悲しみ、怒り、人生に絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。



カンナのエスポワールが双棍から形が変わった
出てきたのは、9本の鉄の棒が、鎖で繋がれ、持ち手部分が太い鞭みたいな形をした武器だった

カンナ「何これ…?鉄製の鞭?」

?「どけぇ!」

カンナ「!」

考えている時間はない
もうすぐこちらに強盗がやって来る
カンナはすぐ鞭の様に振り上げた

…ビタァンッ!

?「っ!いでぇっ!」

カンナ「!」

振り回すと、先端が強盗の1人に当たった
見る限り、ものすごく強い衝撃を受けたみたいだ

カンナ「この感じ…」

振り終わりの感覚を、カンナは知っている
それはキャンプ場で行った釣りと同じだ
この武器の使い方が分かってきた

カンナ「なるほど…!使えるかも!」

?「なんだこの女!」

続いての強盗がやって来た
カンナとの距離は、釣りの時と同じだ
武器を振り回し、思いっきり投げつける

?「ぐわぁっ!」

カンナ「やった…!」

ユウナ「おおお~~~~っ」

遠くから見ていたユウナは、小さく拍手をする
ユウナはこの武器の名前を知っている

ユウナ(あの武器は、九節鞭。中国武術で見られる武器だけど、まさかカンちゃん“も”使うことになるとはね。やっぱ姉妹なんだな~)

?「ぐうっ!くそぉ!」

?「舐めやがって!」

強盗の2人はカンナに殺られたのが悔しかったのか、近くにあって鉄パイプを手にする
それを見たカンナも構える

カンナ「自首さえすれば許して上げても良かったですが…その必要は無いみたいですね」

九節鞭の先を振り回し、余裕をみせる
それが強盗2人は煽られている様に見えて、激昂する

?「このぉっ!」

カンナ「おっと!」

強盗が鉄パイプを大きく振り回すおかげで、動きが良く見える
カンナは九節鞭を振り回し、強盗の鳩尾に当てる
反対側にも強盗はいるが、九節鞭をカヌーの櫂を振るように動かすと、上手くくねって、もう1人に当たる

カンナ(…!まさかカヌーも役に立つなんて…!)

今回ユウナが講師をしてくれた特別講習は無駄なんかじゃ無かった
すべて今の攻撃に必要な訓練となった

カンナ「これで終わりですか?悪者の癖に、情けないですね」

?「なん…だとこのアマァ!」

カンナ「そんなに怒っていちゃ当たるものも…当たりませんよ!」

バキィッ!

?「がぁぁぁっ!」

九節鞭の先が強盗の肋骨に当たる
今の反応からして、折れたみたいだ
さらに背後から襲い掛かってくる強盗、だがカンナはすぐに気付いて九節鞭を、と思わせといて回し蹴りを入れた

?「ぐうっ!」

カンナ「残念でしたね!」

ユウナ「すご~い!カンちゃんかっこいい~!」

最後の蹴りまで決まり、カンナの表情は笑っていた
真剣ではあったものの、楽しさがすごい混み上がってくる

カンナ「さて、後は日奈子さん達が来れば…あれ?」

日奈子達を待って、強盗を警察に付きだそうとしたが、あることに気付く
最初に見た時、強盗は3人組だったハズだ
だが今自分の足元に転がっているのは、2人だけだ

カンナ「あれ?あと1人は?」

キョロキョロと周りを見る
だがその人物らしき影はいない
戦いに夢中になっている隙に逃げられてしまったのかもしれない

その後日奈子達と輝人と合流した
強盗2人は、輝人が呼んでくれた警察によって連行されたが、盗まれた腕時計は全てでは無かった





トール「ただいま~、戻りました“館長”!」

ルーカス「スヤァ……(。-ω-)zzz」

その頃の名古屋港水族館
トール・ハンセンが帰ってきた
背中には眠っている息子のルーカス、そして手には何やら丈夫そうな紐を持っていた
その紐は後ろに引っ張られている

ナルミ「お帰りトール。すまないね、仕事を頼んでしまって」

トール「いえいえ、そんなことないですよ」

ナルミ「…“ナイル”、久し振りだね」

トールの後ろに向けて、ナルミは声をかける
すると、ゆっくりと前に出てくる影があった

だがその人物は、トールが持つ紐を腰にくくりつけられていた

ー『アクアリウム』所属 ネクロハンター
 通称 “マンタ” ナイル・アメミット(20)ー

ナイル「…遅くなり申し訳ありません、“館長”」

この新たなネクロハンターが、更なる旋風を巻き起こす…!


ー森久保 ユウナー





『真アゲハ』キャラクタープロフィールの紹介



☆森久保 ユウナ

①8月19日
②160㎝
③B型
④ミートドリア
⑤キーホルダー作り
⑥バトミントン
⑦保険会社の正社員
⑧父、母、妹(カンナ)
⑨✕(シジミ部のため使ってない)
⑩天真爛漫な性格で、思いついた事はすぐにやる性格。アゲハ族だが、3年前に眼の病気で裏方に移動した。妹のカンナに比べて頼りがいは無いが、観察力があるため的確なアドバイスをしてくれる。
 実家暮らしで、いつになったら結婚するのかと両親に急かされているのは、カンナには内緒。





○NEXT●

→カンナのエスポワールの力で強盗の犯人を探そうと奮闘する輝人達。
 一方『アクアリウム』ではまた新しい仲間が増えるが、それは極度の方向音痴で!?
 目的の『トラップ野郎』を捕まえるため、再びぶつかり合う…!