カンナの進化したエスポワールの九節鞭の先が動きだし、カンナは引っ張られる
途中で止まることは出来るが、まだ九節鞭は止まらない
武器に引っ張られるなんて、普通はあり得ない
誰かに見られたら絶対注目の的だ
そう思った日奈子は、エスポワールをカンナのバッグに入れ、先端だけは外に出して進んでいく
カンナ「怪しまれなくはなりましたけど…状況は変わりませんよ?」
輝人「エスポワールをしまえばいいじゃねぇか」
日奈子「うーん、でも突然動き出したってことは何か犯人の手がかりが分かったってことじゃないかな?」
茜「森久保…あ、カンナ様が触れた時でしたからね」
ユウナ「うーん、もしかしたら触った物の持ち主を突き止める能力とか?」
カンナ「そんなことって…」
航平「ところで、どこまで進んでいるんだろうね」
カンナ「あれ?この道って…」
カンナが進んでいくと、ある違和感を覚えた
それは、自分が良く知っている道だったからだ
日奈子「あ!ここって…!」
輝人「風城大学じゃねぇか!」
そう、カンナ達が通っていた道は、カンナと始が通っている風城大学への道だった
今日は日曜日だと言うのに、人集りが出来ている
ユウナ「わ~!カンちゃんの学校だぁ!」
航平「わー!女子大生いっぱい!(*>∀<*)」
カンナ「航平さん(-_-#」
輝人「見たところ…偶然ではねぇみたいだな」
カンナのバッグからはみ出ている九節鞭の先端は、風城大学の校舎を差している
これは何か関係がありそうだ
日奈子「ところで…この人集りは何ですか?」
茜「どうやら本日はオープンキャンパスのようですね。声優・俳優学科の…」
始「あれ?皆さんどーしたんですか?」
するとそこに始が現れた
輝人「あ?なんでここに?」
始「なんでって、俺はこの大学の俳優学科に所属していますから。今日は当番なんでここに。輝人さん達こそどうして?」
日奈子「実はかくかくしかじかで…」
何故ここにいるのか説明する日奈子
話を聞いた始は、一旦考えると話し出した
始「…なら、オープンキャンパスに入ります?」
輝人「は?」
始「その強盗が誰なのか分からないんですよね?学校の関係者かもしれないし、参加者の誰かかもしれない。なら入って探しましょう。今日はオープンキャンパスですから、誰にも怪しまれないですし」
輝人「逆を言えば、犯人にとっても最高の隠れ家になるな」
茜「まさに“木を隠すなら、森の中”ですね」
航平「俺もいいの?成人とか怪しまれない?」
始「全然、俺の学科にも20代後半の人とか普通にいますし」
ユウナ「わ~!カンちゃんの学校見てみたかったんだよね~!お友達も見たいなぁ!早く行こう!(*>∀<*)」
カンナ「ちょっと!遊びじゃないんだよ!?」
ユウナは風城大学の敷地へと入って行く
後を追うかの様に、輝人達も入っていく
その輝人達とは数秒違いで
トール「ほぉ~、ここが風城大学かぁ~」
ルーカス「あうっ」
ナイル「素敵な校舎だね」
『アクアリウム』のトールと息子のルーカス、ナイルが現れた
ここに来た理由は1つ、ネクロの存在がいると言うことだ
ナイル「…ところでなんでこれ付けるの?」
ナイルの腰には、昨日の紐とは違って、迷子紐が付けられている
トール「こんな人混みじゃ、またナイルが迷子になるかもしれないからね」
ナイル「私は迷子になんてならない」
トール「いやナイルは無自覚な方向音痴だからね…(・・;」
ナイル「むー…」
トール「…でも、こんなたくさん人がいるところでネクロ狩りかぁ…」
ネクロがここにいると言う情報が絶対ならば、絶対に戦闘になる
そうなれば大騒ぎになることは間違いない
何とかうまくネクロと一般人を切り離したいが、どうしたものかと作戦を立てる
トール「ナイルは色んな所行ってたみたいだけど、大丈夫だったの?一般人を巻き込んだりしなかった?」
ナイル「私はそんなことは…何しろ武器を使ったら“すぐに終わった”から」
トール「あぁ…そう言えばそうだよね」
ナイルの武器の話を聞いて、武器を思い出したのか納得した
だが何か良いアイデアは思い付かなかった
トール「とりあえず中に入って何か考えてみようっと。ルーカス、お腹空いたら言ってね?」
ルーカス「あーいっ」
ナイル「えっと、こっちを見て…」
トール「そっちじゃないよ、こっちだよ?」
早速迷子紐を引っ張り、ナイルを誘導するのだった