真アゲハ ~第65話 落合 蛍4~ | 創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

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「アゲハ族」
それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、大切な人を奪われた悲しみ、怒り、人生に絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。



栗栖「輝人、日奈子ちゃん達の文化祭行かなくていいの?」

一方、斑目探偵事務所では、珍しく輝人が事務作業をしていた
その横には、作業を手伝っている航平とカンナの姿があった

輝人「行かね、体育祭も行ったし。そしてそこにいる2人の面倒見なきゃならねぇし」

航平「面倒見なきゃって…」

栗栖「まだ許してないのか?」

2人の面倒を見る理由、それは先日の事だ
千晴の事を調べてこいと伝えたのに、あっさり捕まり、戻ってきたのだから、今お仕置き中らしい

カンナ「と言うかあれは貴方にも非があるでしょう?鏑木くんがアゲハ族だなんて、なんで言ってくれなかったんですか?」

輝人「俺アゲハ族じゃないから知らねぇもん」

栗栖「どー考えても輝人、お前が悪いだろ?そもそも千晴を調べろだなんて、なんで俺に言わないんだよ」

航平「栗栖さんは、千晴くんの事知ってたんですね…」

輝人「だってお前に質問したら余計にこじれそうだなって思っただけだ」

栗栖「あのなぁ…」

カンナ「はぁ…今日だって母校の文化祭だと言うのに、行けないだなんて…」

航平「そうですよ!千晴くんから、大事な情報を聞いたんですよ!?なんで動かないんですか!」

輝人達には千晴から聞いた「謎の動物」の情報を伝えた
現場に向かった方が言いはずだ
しかし

輝人「いや動かねぇよ」

航平「なんでですか!?」

輝人「依頼じゃねぇからな。それに関する物もねぇし、調査の必要もない」

「依頼ではない」と言う理由で、出動しない事にしている

栗栖「そう言うと…まぁ確かにそうだな」

カンナ「栗栖さんまで!」

栗栖「その目撃されているって言うのは俺も知ってるけど、人に害を与えたりしてないし、何よりそれに関しての依頼がうちに届いてないんだ。向かう訳にはいかないよ」

航平「もしこれがネクロの仕業だとしたら…!」

輝人「それは炎や屍人対策課の管轄だろ?ある程度は出来るハズだ」

カンナ「…輝人さんが、こんな人だったんだなーって改めて実感しました」

輝人「うるせぇな!てか口より手を動かせ、手を!」

栗栖「やれやれ…」

助けてやりたいのはやまやまだが、今回は依頼と言うことではないので動けない
栗栖は溜め息をつくのであった





日奈子「わぁ~!風城賑わってるね!」

一方日奈子達も風城大学附属高等学校に到着した
花巻女子学園同様、賑わっている

千晴「よく見ると鳥校や月校の生徒もいるね!」

梓希「あ、あれ?鳥校の男子…」

人混みの中にいる千鳥工業高等学校の男子生徒に注目する梓希
その男子生徒のほとんどが、丸坊主だ
思わず吹き出しそうになるが、堪える

千咲「アッハハ……!マジで、マジでやったんだ…!丸坊主…!w」

梓希「な、何か可哀そ……ププッ…!w」

日奈子「ちょっと2人とも、笑ったら失礼だよ?……プッ、クククッ…!w」

千咲「ひ、日奈子だって笑ってんじゃん…!w」

日奈子「い、いやごめん…!w」

梓希「流石鳥校の生徒会長ッス、有言実行ってやつッスね…!w」

千鳥工業高等学校の男子生徒が丸坊主なのは、先日の体育祭の事だ
月見山高等学校の小林涼が借り物競争で「他校のイケメン」を引いてしまい、誰か代表を選ぼうとして呼び掛けたら何人もの男子生徒が押し掛けてきた
それに怒った千鳥工業高等学校の生徒会長天雨克幸は「明日から全員丸坊主だぁ!」と怒りの宣言をした
それが、現実になってしまったのだ

千晴「コラコラ、君達失礼だよ」

日奈子「あ、千晴さん!」

そこに風城大学附属高等学校の生徒会長である千晴が現れる
日奈子達の様子を見に来たみたいだ

千晴「風校の文化祭にようこそ」

梓希「こんにちは~」

千晴「今日は楽しんで行ってね」

日奈子「はい、ありがとうございます」

小真知「あ、千晴くんお疲れ様」

そこに月見山高等学校生徒会長の城戸小真知が現れる

千晴「城戸さん、来てくれたんだね」

小真知「うん、楽しみにしていたからね。うちの生徒も…何人かいるみたいだし」

千晴「そうだね、昨日も月校の文化祭楽しかったよ。ありがとうね」

小真知「うん…っ」

笑顔で小真知は頷く
心の中は、千晴でいっぱいだ

小真知(当たり前じゃん…!昨日は千晴くんのために用意したんだからね…!今日はめいっぱい楽しんでやるー!( *´艸`))

小真知は千晴の事に惚れており、今日ここに来たのも千晴にアピールするためだ

日奈子「じゃあ私達はこれで」

千晴「うん、また後でね」

小真知「ねぇ、千晴くん。良かったら…」

「一緒に回らない?」と千晴に向けて言う
その様子を遠くから見ていた人物がいた





遥「……まさか会長がいるとはなぁ……」